b.親方、今度はどこ行きやしょう、
a.そうやなあ、丹波も近江も行ったしなあ、
b.斑鳩(イカルガ)は、ここんとこ御無沙汰ですが、
a.奈良か、
b.斑鳩(イカルガ)って奈良のことなんすか、
a.奈良よりずっとせまいんちゃうか、法隆寺のあたり、
b.奈良は苦手なんすか、
a.輪行はじめた最初のころはあちこち巡ってたんやけど、けっきょくあまりにクルマが多いでなあ、心静かに走れる道がそうとう限られてくるんや、
b.じゃあ、今回もその限られたコースに乗っかって行きやしょう、
a.そうと決まればさっそく出陣のしたくをせい、京都駅から西へふたつ目の新駅、桂川駅から輪行ぜよ、
b.この新駅周辺、かつてキリンビールが所有した広大な敷地が再開発されて、新しい町が生まれつつあります、
a.JRの駅まで作るだけあって、このエリアにかける人々の熱意が伝わってくる、
b.さて、京都駅から近鉄特急に乗り換えてわずか30分、近鉄大和(ヤマト)西大寺駅からの出発になりますが、簡単な旅の説明を、
a.時は2009年7月11日、自転車はジェイミスの旅の自転車オーロラ号の2005年モデル。カメラはオリンパスのアウトドアカメラ、ミュー1050SW、
b.ところで、近鉄の大和(ヤマト)西大寺駅ってどんな駅なんすか、
a.大仏様で有名な奈良公園と大阪を最短ルートで結ぶX軸と、京のみやことサクラの名所、吉野を最短で結ぶY軸、その交点置する重要な駅じゃ、
b.どおりでハンパなく人や車が行かってる、
a.駅前スペースもセマイから、輪行袋から自転車取り出して組み始めてもざわざわして落ち着かん、この辺からもう苦手意識が、
b.じゃあ一気にこのあたりは端折り(ハショリ=省略し)ますか、
a.駅名にもなってる名刹・西大寺は、広くて静かな境内が素晴らしいけど、今回は寄らんと先へ進もう、
b.で、いきなり池に架かる細い橋にやって来ましたが、
a.桂川駅から80分後の10:40、蛙股(カエルマタ)池っていう変わった名の池にトオチャコ、
b.なんで蛙股(カエルマタ)って言うんすか、
a.調べてくれたまえ、
b.日本建築に、そういう名の部材があるそうです、
a.ああこれが「蛙股」って言うんか、そういえば池の形に似てんなあ、
(グーグル画像検索より)
b.しかし、もっと驚くべきは、このありふれた池が西暦100年ごろに完成した日本最古のダムという点、
蛙股池の解説
http://www.nantokanko.jp/mytown2010026.html
a.ほう、そんないわれのある池やったんか、でも、ダムとため池、どうちがうんや、人工のため池ならここ以外でも太古から作られてるんとちゃうか、
b.確かにそうですねえ、ただ日本書紀にハッキリ記載されてる点が重要なんやないすか、
a.そう考えると、この橋からの眺めも何やら味わい深く感じられるなあ、
「蛙股(カエルマタ) 国内最古の ダムなんか」、
b.しかし、大和西大寺の駅からずっと家だらけです、
a.丘という丘がすべて宅地やさけえなあ、木が生えてる方が珍しいくらいや、
b.たまに見えてくる森はゴルフ場のそれやし、人工の極致っすね、
a.公園の木陰(コカゲ)で休憩しよう、ミドリがないせいか、ちょっと走っただけやのにダルなってきた、
b.ここまで西に向かって走ってきましたが、こっからずっと南向きですね、
a.うむ、近鉄沿線の過密な住宅街ともそろそろお別れや、こっから一気に田舎の景色になるでよ、
b.ほんまや、すぐ近くなのにえらい遠くへ来たみたいや、
a.右手に見えてきた山並みが矢田丘陵、この先っぽが「柿食えば」の法隆寺でござる、
b.じゃあいよいよ斑鳩(イカルガ)か、
a.この辺は、宅地開発が制限されてんのか知らんけど、山すそに昔ながらの素朴な風景がつづく貴重なエリア、
b.ゲゲゲの鬼太郎が出てきそうな竹やぶも、
「鬼太郎が 矢田の竹やぶ 抜けて来る」、
2014年06月28日
2014年06月22日
山あり谷ありびわ湖から(6)「三つ目の峠越えれば家路かな」
a.珍しいなあ、バイクのツーリング、オマケに原付まで入れた色んなタイプが10台以上も、
b.でも先ほどのがけ崩れじゃ、
a.教えてあげたいけど、音もスピードも出てるし、まあいいか、
b.やっぱ引き返してきました、自転車と違って持って歩くわけにはいかないようです、
a.峠もずいぶん下ったあたりやし、なおさら気の毒や、
b.さて、この峠道も今回で何度目になるのか、
a.最初の新鮮さは薄れたけど、代わりにずいぶん馴染(ナジ)んできた、居心地(イゴコチ)のいい店に居るような、くつろいだ気分、
b.しかし、びわ湖の見晴らしは無理みたいっす、
a.ギリギリこれかあ、梅雨のただ中ならまあ仕方ないか、それよりここで休憩や、なんかこの木のそばがえらい気に入ったし、
b.なんか山寺が建ちそうな風情ですね、見晴らし風通しもいいし、明るく乾いていて、
a.何寺にしようか、
b.寺の名前っすか、下の沢の流れは鵜川(ウカワ)というようなんで、鵜川寺はどうすか、
a.「うかわでら」、それか「うかわじ」か、ありふれてるけど、とりあえずそれでいこう、
b.って、建てるんすか、お寺を、
a.心の中にもう建っておるよ、白木で立派なんが、
「空想の 山寺建てて 腰かける」、
b.でかいアリたちが食べ物に反応して集まってきた、
a.お寺を建てるの大変やったからなあ、腹が減ってるんや、
b.アリが建てたんすか、
a.働きアリがなあ、空想の寺を建てたんや、
b.しかし、ここは樹木が少ないせいか明朗な雰囲気ですね、
a.それを知ってか、ときおり国道からクルマが登ってきて休憩してるな、何するでもなく、
b.いやホンマ、じっとしてるだけで気分いいっす、
a.とはいえ、そろそろ降りようか、
b.ずっと居たいような気分ですけど、帰りの電車もありますしね、
a.これで林道も終わりか、
b.これが行きも乗ったJR湖西(コセイ)線か、帰りはどの駅から、
a.北小松が最寄(モヨ)りやけど、まだ2時過ぎやし、ひとつ先の近江舞子駅まで行こう、
b.そのこころは、
a.始発の京都行きがあるし、内湖(ナイコ=びわ湖のオマケ湖)もあってながめもいい、それから、
b.それから、
a.北小松の歴史的集落が素晴らしい、この路地はホンマ気持ちいい、写真になりにくいけど、
b.たしかに写真は一枚もありません、
a.短い距離やし、あまりに家が近いんで写真も撮りづらい、でも、どことなく漁村の空気が漂ってて、クルマも入れないような路地が濃い味でとても良い、
b.というわけで、何だかんだありましたけど、きょうやっと耳にするびわ湖の波音、
a.いいねえ、この音いつ聴いても、
b.左手の少し黒いんが沖島で、
a.右手の山並みの向こうに近江八幡市、あちらも風光明媚な遊び場ビバ、はあービバノンノン、
b.そして比良(ヒラ)の山並みを背景に初老の男性が釣り糸を垂れる近江舞子の内湖(ナイコ)に到着です、
a.舞子(マイコ)の内湖(ナイコ)か、とうとう旅もおわりか、今回はえらい時間かかったような気分や、まだ3時前なのに、
b.わずかふた駅先の近江高島からスタートしたのがちょうど9時ごろか、やっぱり峠を三つも越えると時間あたりの充実感が全然ちゃいますね、
a.少なく見積もっても、平地より三倍は濃い味やさけえなあ、
b.濃縮三倍か、ヤマキのめんつゆみたいっすね、
「ドラマやな 濃縮三倍 峠道」、
2014年06月17日
山あり谷ありびわ湖から(5)「闇穴を抜けて見渡す棚田かな」
b.しかし、ここまで登って引き返すわけにも、
a.当然や、じゃあともかく足、踏み入れてみよう、暗黒のその闇の中へ、
b.たぶん少し歩いていけば、出口側が見えてくるし、そうしたら歩く方向も分かるんじゃ、
a.けれども、なんやこの冷気は、冷たい水の中に全身つかってるみたいや、
b.あきまへん、いきなり寒くて心臓止まりそうです、
a.見えない地面はでも、なめらかやな、
b.だけど、これだけ真っ暗やと、どんな落とし穴があっても分かりません、
a.っていうか、進行方向もわからへんし、左手で壁を触りながら進もう、
b.ああ、ここで死ぬんかもしれませんね、俺たち、
a.あれ、クルマの音ちゃうか、
b.ああ、ありがたい、早くそのヘッドライトでわれわれをまぶしく照らしてくんしゃい、
a.ああ、やっと見えてきた、出口の明かりも、
b.これでなんとか生き延びられそうです、
a.なんと出口の空気はやわらかく暖かいことやろう、
b.明るく暖かく、オマケにこの見晴らし、
a.あれが日本棚田100選のひとつ、畑(ハタ)の棚田でござる、
b.遠く右奥にもチラッと集落が、
a.あすこまでずっと下って、集落ぞいに右へ登っていくと、本日最後の峠道、コレを越えたら琵琶湖に出られるし、オレらを乗せて帰るありがたいJRもあるでよ、
b.しかし、わざわざそんな事せんでも、このまま出発地点の近江高島駅までゆるやかに下って行けるんじゃ、
a.それもそうやけど、やっぱり峠はドラマがあるしなあ、今度はいつ来られるかも分からんし、
b.まあ確かに、この峠からの見晴らしも、映画のワンシーンみたいやけど、
a.それにしても、登ってきて良かったなあ、怖いトンネルやったけど、
b.親方、YouTubeにもありやしたぜ、素晴らしい棚田の動画、
a.ほんまや、静止画動かしてんのか思たら、畑仕事のお婆ちゃん動いてんで、どんだけ静かな村なんや、
b.じゃあ、ずんずん降りて行きましょうか、
a.もう少しこの見晴らしのまま走りたいけど、これだけは何ともならへんしなあ、もったいないけど降りようか、
b.シカやイノシシやサルが畑を荒らすから、この道から棚田へは防護フェンスで、直接入れませんね、一回降りてからやないと、
a.そりゃ残念やなあ、もっと間近で見たかったけど、登り返す元気はないしなあ、
b.じゃあ、この辺でひと休みしますか、
a.朽ちた木からまた新緑が芽吹いてる、ってことは朽ちて無いんか、見かけほど、
「朽ちたかと 思えば芽吹く 木のチカラ」、
b.さあ、とりあえずこの橋で下るだけ下ってしまいました、あとはじわじわ登るだけ、
a.最初は集落内走行か、けっこうな登り坂やけど、お寺もあるし、歴史を感じるなあ、
b.今度の峠はどれほど登るんすか、
a.登りはじめとなる鹿ヶ瀬橋のバス停が標高224m、峠のピークが549m、で、下った先、びわ湖ぞいを進む国道161号線が88m、
b.じゃあずいぶん下り多目でお得やなあ、こりゃありがたい、
a.集落を抜けていよいよ林道へ突入、と思ったら今度はがけ崩れかい、
b.今回は巻き起こりますねえ、なにかと、
a.最近の雨は降り方エグいしなあ、計算外のことが起こるんやなあ、
b.でもギリギリすり抜けられて良かった、もう何もないことを祈るばかりっす、
a.アジサイのお寺から、こいで登って20分、今度は遠くに畑(ハタ)の棚田が見えるはず、
b.こうやして眺めて初めて分かったけど、今登ってきた手前の集落もけっこう棚田やったんすね、
a.見るのは良いけど、暮らすのは大変そうやなあ、高齢化もそうとう進んでるし、
「老いるほど ひときわえぐい 棚田かな」、
2014年06月09日
山あり谷ありびわ湖から(4)「安曇川から峠道へ」
a.さあ、上流に向かってサイクリングロードを進んで行こう、
b.残念ですが道もここまで、安曇川(アドガワ)上流へ向かうサイクリングロードはもうありません、
a.なんと、わずかここまでかい、山も雪も深いから自転車乗るヒト居てないんか、
b.どうしましょう、
a.交通量はあまりないけど、そんでも国道は走りたくないしなあ、対岸の細い道を行こう、
b.いや無理です、これもすぐ国道に合流してるし、谷が狭(セバ)まってもう選択肢がありましぇん、
a.しゃあないなあ、じゃあ死を覚悟して、携帯片手運転のドライバーと国道を併走しよう、
b.ところで、国道と関係あんのか、道べりに見たことないほど立派な四阿(アズマヤ)が、
a.きっと雪の重みに耐えられるような作りなんやなあ、四阿(アズマヤ)というより壁のない頑丈な山小屋みたいや、誰も居ないしちょっと休憩や、
b.ところで、我々はどこへ向かってるんすか、
a.もうじき左手に林道の入り口があるはず、それを登ってまた峠を越えるんや、
b.じゃあまた元のエリアへもどるんすか、せっかく峠を越えて来たってのに、
a.用事で走るわけやなし、走る道すべて回り道みたいなもんや、
「好きで行く 道はおおかた 回り道」、
b.なるほどねえ、こりゃ好きやないと、ただの拷問や、
a.しかし、分からへんなあ、どこが林道の入口や、
b.使い込まれた木製のグリップが、地味かっこよくすりへったクワをにぎる、そこのお婆さんに聞いてみましょう、
a.ああ、やっぱりコレでええんか、集落の道かあ思たけど、
b.いきなりスゴい水量の渓流ときつい坂のお出迎えっす、
a.でも、意外と路面はアスファルトでキレイやなあ、道幅もそれなりにあるし、
b.さいきん、この手の林道が増えてますね、
a.ちょっと前まで林道って言うと土の道が相場やったけどなあ、
b.さあ、登っていきましょうか、峠までの高低差はどれほどなんすか、
a.さっきと同様に今回もトンネル仕立ての峠、登りはじめの国道からトンネルの手前まで、高低差283m、けっこうあんなあ、数字にしなきゃよかった、
b.ここも杉の密集地帯ですね、オマケにかなりせまくてけわしい谷、
a.こんだけ森が深いと汗冷えで肌寒い、
b.しかし快適な道ですね、当然ながらクルマは滅多に来ないし、
a.さあこっからが本番や、スイッチバックできつい坂に入るで、
b.スイッチバックのおかげで、今来た安曇川(アドガワ)やふもとの村が少し見渡せます、
a.いっつも感じる事やけど、のぼり坂はちょっとの時間で景色が劇的に変わって楽しい、
b.ふもとからわずか10分か、
a.コレがあるから峠はやめられんなあ、
b.そして7分後、ふもとの村も見えないほど高くなりました、
a.こんな深い谷を登って来たんか、俺らもやるなあ、
b.しかし杉がびっしりですね、急斜面に、
a.なんかクラクラすんなあ、見慣れない山の険(ケワ)しさに、
b.登山なら、遠くに見える尾根づたいにテントかついで歩くんでしょうね、山で1〜2泊とかしながら、
a.ちょっと憧(アコガ)れるなあ、でもその日のうちに家でゆっくりすんのも安楽やしなあ、
b.乙女が池じゃ満開だったアジサイも、まだほとんどつぼみのまんま、
a.スイッチバックを抜けたら、ずいぶんラクやなあ、
b.ここなんかちょっと下ってますぜ、親方、と思ったらすぐ登り始めたけど、
a.地図やと昔は左手のルートで越えてたんやな、トンネルが無い分100mほど高い峠道になってる、
b.ああ、ちらっと見えてますね、土の道みたいなんが、もちろん我々はトンネルですよね、
a.そうなんやけど、なんか変やで、このトンネル、明かりが無いんか、
b.スイッチとかあるんじゃないすか、通るときだけ点(ツ)けるような、
a.いや見当たらんなあ、それに中でカーブしてて、出口も見えへんし、ほんとうの真っ暗闇、
b.どうしましょう、しんどいけど旧道で山越えしますか、
a.770m真っ暗闇のトンネルか、小さい点滅のLEDじゃ役に立たんし、クルマは来ないし、気味悪いなあ、
b.っていうか、心底怖いっす、コトリとも音がしない、
a.やっと登って、ホッとしたら今度は暗闇トンネルかい、かなわんなあ(=まいったなあ)、俺らの人生もここまでかもな、
b.残念ですが道もここまで、安曇川(アドガワ)上流へ向かうサイクリングロードはもうありません、
a.なんと、わずかここまでかい、山も雪も深いから自転車乗るヒト居てないんか、
b.どうしましょう、
a.交通量はあまりないけど、そんでも国道は走りたくないしなあ、対岸の細い道を行こう、
b.いや無理です、これもすぐ国道に合流してるし、谷が狭(セバ)まってもう選択肢がありましぇん、
a.しゃあないなあ、じゃあ死を覚悟して、携帯片手運転のドライバーと国道を併走しよう、
b.ところで、国道と関係あんのか、道べりに見たことないほど立派な四阿(アズマヤ)が、
a.きっと雪の重みに耐えられるような作りなんやなあ、四阿(アズマヤ)というより壁のない頑丈な山小屋みたいや、誰も居ないしちょっと休憩や、
b.ところで、我々はどこへ向かってるんすか、
a.もうじき左手に林道の入り口があるはず、それを登ってまた峠を越えるんや、
b.じゃあまた元のエリアへもどるんすか、せっかく峠を越えて来たってのに、
a.用事で走るわけやなし、走る道すべて回り道みたいなもんや、
「好きで行く 道はおおかた 回り道」、
b.なるほどねえ、こりゃ好きやないと、ただの拷問や、
a.しかし、分からへんなあ、どこが林道の入口や、
b.使い込まれた木製のグリップが、地味かっこよくすりへったクワをにぎる、そこのお婆さんに聞いてみましょう、
a.ああ、やっぱりコレでええんか、集落の道かあ思たけど、
b.いきなりスゴい水量の渓流ときつい坂のお出迎えっす、
a.でも、意外と路面はアスファルトでキレイやなあ、道幅もそれなりにあるし、
b.さいきん、この手の林道が増えてますね、
a.ちょっと前まで林道って言うと土の道が相場やったけどなあ、
b.さあ、登っていきましょうか、峠までの高低差はどれほどなんすか、
a.さっきと同様に今回もトンネル仕立ての峠、登りはじめの国道からトンネルの手前まで、高低差283m、けっこうあんなあ、数字にしなきゃよかった、
b.ここも杉の密集地帯ですね、オマケにかなりせまくてけわしい谷、
a.こんだけ森が深いと汗冷えで肌寒い、
b.しかし快適な道ですね、当然ながらクルマは滅多に来ないし、
a.さあこっからが本番や、スイッチバックできつい坂に入るで、
b.スイッチバックのおかげで、今来た安曇川(アドガワ)やふもとの村が少し見渡せます、
a.いっつも感じる事やけど、のぼり坂はちょっとの時間で景色が劇的に変わって楽しい、
b.ふもとからわずか10分か、
a.コレがあるから峠はやめられんなあ、
b.そして7分後、ふもとの村も見えないほど高くなりました、
a.こんな深い谷を登って来たんか、俺らもやるなあ、
b.しかし杉がびっしりですね、急斜面に、
a.なんかクラクラすんなあ、見慣れない山の険(ケワ)しさに、
b.登山なら、遠くに見える尾根づたいにテントかついで歩くんでしょうね、山で1〜2泊とかしながら、
a.ちょっと憧(アコガ)れるなあ、でもその日のうちに家でゆっくりすんのも安楽やしなあ、
b.乙女が池じゃ満開だったアジサイも、まだほとんどつぼみのまんま、
a.スイッチバックを抜けたら、ずいぶんラクやなあ、
b.ここなんかちょっと下ってますぜ、親方、と思ったらすぐ登り始めたけど、
a.地図やと昔は左手のルートで越えてたんやな、トンネルが無い分100mほど高い峠道になってる、
b.ああ、ちらっと見えてますね、土の道みたいなんが、もちろん我々はトンネルですよね、
a.そうなんやけど、なんか変やで、このトンネル、明かりが無いんか、
b.スイッチとかあるんじゃないすか、通るときだけ点(ツ)けるような、
a.いや見当たらんなあ、それに中でカーブしてて、出口も見えへんし、ほんとうの真っ暗闇、
b.どうしましょう、しんどいけど旧道で山越えしますか、
a.770m真っ暗闇のトンネルか、小さい点滅のLEDじゃ役に立たんし、クルマは来ないし、気味悪いなあ、
b.っていうか、心底怖いっす、コトリとも音がしない、
a.やっと登って、ホッとしたら今度は暗闇トンネルかい、かなわんなあ(=まいったなあ)、俺らの人生もここまでかもな、
2014年06月04日
山あり谷ありびわ湖から(3)「峠から安曇川へ」
a.峠のトンネルを前に一句、「トンネルを 抜けて朽木(クツキ)へ 下りっぱ」、
b.ちょっと待って下さい、クルマから降りて誰かこっちへやって来ます。工事関係者かなあ、パリっとした作業服姿の中年男性、
a.なるほど、さすが地元住民の情報はきめ細かい、オジサンの話によると、びわ湖のまん中に「沖の白石」っていう小島というか、岩礁(ガンショウ)があるそうで、それを陸地から確認できる貴重な峠らしい、
b.小さい岩場やから、岸辺からは見えないんすね、
a.でも、鳥たちや船乗りには有名な岩場だそうで、格好の休憩ポイントになってるらしい、
(グーグル画像検索から、お借りしました。)
「伝え聞く 沖の白石 もやん中」、
b.じゃあ、そろそろ先へ進みますか、ちょっとだけ気味悪いこのトンネル抜けて、
a.便利でありがたいトンネルやけど、確かにちょっと怖い、神隠しに逢(ア)いそうや、
b.聞こえるはずのない電車の音とかしたら、神隠しの前兆なんで惑わされないよう気をつけて下さい、
a.だいじょうぶ、電車の音は聞こえなかった、で、これが峠のスキー場か、左手の斜面にリフトが見えてら、
b.当然ながら誰も居ませんね、草刈り機の音が遠くからするだけ、
a.クルマは来ない、そして広くなめらかな道、さあふもとの村まで300mほど一気に下るボーナスタイムや、
b.しかし、これほどトンネルの前後で路面が変わるのも珍しい、
a.ふもとにの国道は京都に直結してるし、そんでやな、
b.もはや土木というよりアートに近い法面(ノリメン)工事、かっこいいなあ、
a.ここも杉だらけで迫力あんなあ、一本ずつヒトが植えたんかなあ、
b.わずか10分でふもとの村へ降りてしまいました、ちなみに(=付け加えて言うと)、武曽(ムソ)横山の村から峠までは登って30分ちょっとでした、
a.で、時刻は11時、近江高島の駅から約2時間、広い谷を流れる広い川、
b.河川敷にクルマ乗り入れて、おおぜい釣りしてます、なんかのイベントかな、
a.右手の堤防は自転車道か、スッキリして走りやすそうや、
b.これがびわ湖西部を代表する河川、安曇川(アドガワ)です、地図によれば、こっから右へ直角に曲がって、広い平野部からびわ湖に注いでます、
a.源流はどの辺かなあ、
b.鞍馬と大原を隔てる百井(モモイ)峠あたりです、
a.じゃあこの国道と同じ谷を流れてるんか、
b.しかし、なに釣ってんのかなあ、
a.安曇川(アドガワ)朽木(クツキ)漁業協同組合のホームページによれば、これはアユ釣りでござるな、6月末にアユ釣りが解禁になるんで、
b.それで、解禁日を待ちかねた釣り人たちが集まってるんか、
a.交通アクセスもいいし、なによりこの景観が素晴らしい、びわ湖もすぐそこやし、
b.自転車道が橋を渡って上流へ続いてるようです、
a.じゃあそれで上流へ進もう、
b.釣り仲間はあんな大勢なのに、自転車仲間は見かけないっす、
a.チャリンコは解禁日とか無いしな、
b.ふりかえると、さっき渡った橋がもうあんな遠くに、
a.あの橋の左手に歴史ある朽木(クツキ)の村が広がってるはず、
b.引き返しますか、
a.国道わたんのも(=渡るのも)おっくうやし、このまま行こか、
b.そういえば職場の同僚に、ここ朽木(クツキ)で生まれたオジサンが居ましたね、
a.雪深い地方なんで、子供のころは自分たちでスキーを作って遊んだり、雪に付いた足跡をたどって野ウサギを捕まえたりしてたそうや、
b.文字通り、「ウサギ追いしかの山」やないすか、
a.ほんまやなあ、歌うか、YouTubeにカラオケバージョンまであんで(=あるぞ)、
b.ちょっと待って下さい、クルマから降りて誰かこっちへやって来ます。工事関係者かなあ、パリっとした作業服姿の中年男性、
a.なるほど、さすが地元住民の情報はきめ細かい、オジサンの話によると、びわ湖のまん中に「沖の白石」っていう小島というか、岩礁(ガンショウ)があるそうで、それを陸地から確認できる貴重な峠らしい、
b.小さい岩場やから、岸辺からは見えないんすね、
a.でも、鳥たちや船乗りには有名な岩場だそうで、格好の休憩ポイントになってるらしい、
(グーグル画像検索から、お借りしました。)
「伝え聞く 沖の白石 もやん中」、
b.じゃあ、そろそろ先へ進みますか、ちょっとだけ気味悪いこのトンネル抜けて、
a.便利でありがたいトンネルやけど、確かにちょっと怖い、神隠しに逢(ア)いそうや、
b.聞こえるはずのない電車の音とかしたら、神隠しの前兆なんで惑わされないよう気をつけて下さい、
a.だいじょうぶ、電車の音は聞こえなかった、で、これが峠のスキー場か、左手の斜面にリフトが見えてら、
b.当然ながら誰も居ませんね、草刈り機の音が遠くからするだけ、
a.クルマは来ない、そして広くなめらかな道、さあふもとの村まで300mほど一気に下るボーナスタイムや、
b.しかし、これほどトンネルの前後で路面が変わるのも珍しい、
a.ふもとにの国道は京都に直結してるし、そんでやな、
b.もはや土木というよりアートに近い法面(ノリメン)工事、かっこいいなあ、
a.ここも杉だらけで迫力あんなあ、一本ずつヒトが植えたんかなあ、
b.わずか10分でふもとの村へ降りてしまいました、ちなみに(=付け加えて言うと)、武曽(ムソ)横山の村から峠までは登って30分ちょっとでした、
a.で、時刻は11時、近江高島の駅から約2時間、広い谷を流れる広い川、
b.河川敷にクルマ乗り入れて、おおぜい釣りしてます、なんかのイベントかな、
a.右手の堤防は自転車道か、スッキリして走りやすそうや、
b.これがびわ湖西部を代表する河川、安曇川(アドガワ)です、地図によれば、こっから右へ直角に曲がって、広い平野部からびわ湖に注いでます、
a.源流はどの辺かなあ、
b.鞍馬と大原を隔てる百井(モモイ)峠あたりです、
a.じゃあこの国道と同じ谷を流れてるんか、
b.しかし、なに釣ってんのかなあ、
a.安曇川(アドガワ)朽木(クツキ)漁業協同組合のホームページによれば、これはアユ釣りでござるな、6月末にアユ釣りが解禁になるんで、
b.それで、解禁日を待ちかねた釣り人たちが集まってるんか、
a.交通アクセスもいいし、なによりこの景観が素晴らしい、びわ湖もすぐそこやし、
b.自転車道が橋を渡って上流へ続いてるようです、
a.じゃあそれで上流へ進もう、
b.釣り仲間はあんな大勢なのに、自転車仲間は見かけないっす、
a.チャリンコは解禁日とか無いしな、
b.ふりかえると、さっき渡った橋がもうあんな遠くに、
a.あの橋の左手に歴史ある朽木(クツキ)の村が広がってるはず、
b.引き返しますか、
a.国道わたんのも(=渡るのも)おっくうやし、このまま行こか、
b.そういえば職場の同僚に、ここ朽木(クツキ)で生まれたオジサンが居ましたね、
a.雪深い地方なんで、子供のころは自分たちでスキーを作って遊んだり、雪に付いた足跡をたどって野ウサギを捕まえたりしてたそうや、
b.文字通り、「ウサギ追いしかの山」やないすか、
a.ほんまやなあ、歌うか、YouTubeにカラオケバージョンまであんで(=あるぞ)、