a.峠のトンネルを前に一句、「トンネルを 抜けて朽木(クツキ)へ 下りっぱ」、
b.ちょっと待って下さい、クルマから降りて誰かこっちへやって来ます。工事関係者かなあ、パリっとした作業服姿の中年男性、
a.なるほど、さすが地元住民の情報はきめ細かい、オジサンの話によると、びわ湖のまん中に「沖の白石」っていう小島というか、岩礁(ガンショウ)があるそうで、それを陸地から確認できる貴重な峠らしい、
b.小さい岩場やから、岸辺からは見えないんすね、
a.でも、鳥たちや船乗りには有名な岩場だそうで、格好の休憩ポイントになってるらしい、
(グーグル画像検索から、お借りしました。)
「伝え聞く 沖の白石 もやん中」、
b.じゃあ、そろそろ先へ進みますか、ちょっとだけ気味悪いこのトンネル抜けて、
a.便利でありがたいトンネルやけど、確かにちょっと怖い、神隠しに逢(ア)いそうや、
b.聞こえるはずのない電車の音とかしたら、神隠しの前兆なんで惑わされないよう気をつけて下さい、
a.だいじょうぶ、電車の音は聞こえなかった、で、これが峠のスキー場か、左手の斜面にリフトが見えてら、
b.当然ながら誰も居ませんね、草刈り機の音が遠くからするだけ、
a.クルマは来ない、そして広くなめらかな道、さあふもとの村まで300mほど一気に下るボーナスタイムや、
b.しかし、これほどトンネルの前後で路面が変わるのも珍しい、
a.ふもとにの国道は京都に直結してるし、そんでやな、
b.もはや土木というよりアートに近い法面(ノリメン)工事、かっこいいなあ、
a.ここも杉だらけで迫力あんなあ、一本ずつヒトが植えたんかなあ、
b.わずか10分でふもとの村へ降りてしまいました、ちなみに(=付け加えて言うと)、武曽(ムソ)横山の村から峠までは登って30分ちょっとでした、
a.で、時刻は11時、近江高島の駅から約2時間、広い谷を流れる広い川、
b.河川敷にクルマ乗り入れて、おおぜい釣りしてます、なんかのイベントかな、
a.右手の堤防は自転車道か、スッキリして走りやすそうや、
b.これがびわ湖西部を代表する河川、安曇川(アドガワ)です、地図によれば、こっから右へ直角に曲がって、広い平野部からびわ湖に注いでます、
a.源流はどの辺かなあ、
b.鞍馬と大原を隔てる百井(モモイ)峠あたりです、
a.じゃあこの国道と同じ谷を流れてるんか、
b.しかし、なに釣ってんのかなあ、
a.安曇川(アドガワ)朽木(クツキ)漁業協同組合のホームページによれば、これはアユ釣りでござるな、6月末にアユ釣りが解禁になるんで、
b.それで、解禁日を待ちかねた釣り人たちが集まってるんか、
a.交通アクセスもいいし、なによりこの景観が素晴らしい、びわ湖もすぐそこやし、
b.自転車道が橋を渡って上流へ続いてるようです、
a.じゃあそれで上流へ進もう、
b.釣り仲間はあんな大勢なのに、自転車仲間は見かけないっす、
a.チャリンコは解禁日とか無いしな、
b.ふりかえると、さっき渡った橋がもうあんな遠くに、
a.あの橋の左手に歴史ある朽木(クツキ)の村が広がってるはず、
b.引き返しますか、
a.国道わたんのも(=渡るのも)おっくうやし、このまま行こか、
b.そういえば職場の同僚に、ここ朽木(クツキ)で生まれたオジサンが居ましたね、
a.雪深い地方なんで、子供のころは自分たちでスキーを作って遊んだり、雪に付いた足跡をたどって野ウサギを捕まえたりしてたそうや、
b.文字通り、「ウサギ追いしかの山」やないすか、
a.ほんまやなあ、歌うか、YouTubeにカラオケバージョンまであんで(=あるぞ)、