b.親方、今度はどこ行きやしょう、
a.そうやなあ、丹波も近江も行ったしなあ、
b.斑鳩(イカルガ)は、ここんとこ御無沙汰ですが、
a.奈良か、
b.斑鳩(イカルガ)って奈良のことなんすか、
a.奈良よりずっとせまいんちゃうか、法隆寺のあたり、
b.奈良は苦手なんすか、
a.輪行はじめた最初のころはあちこち巡ってたんやけど、けっきょくあまりにクルマが多いでなあ、心静かに走れる道がそうとう限られてくるんや、
b.じゃあ、今回もその限られたコースに乗っかって行きやしょう、
a.そうと決まればさっそく出陣のしたくをせい、京都駅から西へふたつ目の新駅、桂川駅から輪行ぜよ、
b.この新駅周辺、かつてキリンビールが所有した広大な敷地が再開発されて、新しい町が生まれつつあります、
a.JRの駅まで作るだけあって、このエリアにかける人々の熱意が伝わってくる、
b.さて、京都駅から近鉄特急に乗り換えてわずか30分、近鉄大和(ヤマト)西大寺駅からの出発になりますが、簡単な旅の説明を、
a.時は2009年7月11日、自転車はジェイミスの旅の自転車オーロラ号の2005年モデル。カメラはオリンパスのアウトドアカメラ、ミュー1050SW、
b.ところで、近鉄の大和(ヤマト)西大寺駅ってどんな駅なんすか、
a.大仏様で有名な奈良公園と大阪を最短ルートで結ぶX軸と、京のみやことサクラの名所、吉野を最短で結ぶY軸、その交点置する重要な駅じゃ、
b.どおりでハンパなく人や車が行かってる、
a.駅前スペースもセマイから、輪行袋から自転車取り出して組み始めてもざわざわして落ち着かん、この辺からもう苦手意識が、
b.じゃあ一気にこのあたりは端折り(ハショリ=省略し)ますか、
a.駅名にもなってる名刹・西大寺は、広くて静かな境内が素晴らしいけど、今回は寄らんと先へ進もう、
b.で、いきなり池に架かる細い橋にやって来ましたが、
a.桂川駅から80分後の10:40、蛙股(カエルマタ)池っていう変わった名の池にトオチャコ、
b.なんで蛙股(カエルマタ)って言うんすか、
a.調べてくれたまえ、
b.日本建築に、そういう名の部材があるそうです、
a.ああこれが「蛙股」って言うんか、そういえば池の形に似てんなあ、
(グーグル画像検索より)
b.しかし、もっと驚くべきは、このありふれた池が西暦100年ごろに完成した日本最古のダムという点、
蛙股池の解説
http://www.nantokanko.jp/mytown2010026.html
a.ほう、そんないわれのある池やったんか、でも、ダムとため池、どうちがうんや、人工のため池ならここ以外でも太古から作られてるんとちゃうか、
b.確かにそうですねえ、ただ日本書紀にハッキリ記載されてる点が重要なんやないすか、
a.そう考えると、この橋からの眺めも何やら味わい深く感じられるなあ、
「蛙股(カエルマタ) 国内最古の ダムなんか」、
b.しかし、大和西大寺の駅からずっと家だらけです、
a.丘という丘がすべて宅地やさけえなあ、木が生えてる方が珍しいくらいや、
b.たまに見えてくる森はゴルフ場のそれやし、人工の極致っすね、
a.公園の木陰(コカゲ)で休憩しよう、ミドリがないせいか、ちょっと走っただけやのにダルなってきた、
b.ここまで西に向かって走ってきましたが、こっからずっと南向きですね、
a.うむ、近鉄沿線の過密な住宅街ともそろそろお別れや、こっから一気に田舎の景色になるでよ、
b.ほんまや、すぐ近くなのにえらい遠くへ来たみたいや、
a.右手に見えてきた山並みが矢田丘陵、この先っぽが「柿食えば」の法隆寺でござる、
b.じゃあいよいよ斑鳩(イカルガ)か、
a.この辺は、宅地開発が制限されてんのか知らんけど、山すそに昔ながらの素朴な風景がつづく貴重なエリア、
b.ゲゲゲの鬼太郎が出てきそうな竹やぶも、
「鬼太郎が 矢田の竹やぶ 抜けて来る」、