a.ちなみに、この古びた駅のホームから、杉の植わる壁のようなきつい斜面をこれでもかと登っていくと林道の終点に出るんだ、
b.まさかそっちへ行こうというわけでは、
a.いや、力のやり場に困るMTB(まうんてんばいく)野郎にそこはお願いするとしよう、
b.じゃあこのまま道なりにおとなりの亀岡市へ越える峠を目指しましょう、しばらく進むと短いトンネルの先に断崖絶壁、現在のJR保津峡が川向こうに見えます、
a.数年前、観光名物として有名な保津川の川下り中に、このあたりの崖から落石があって、若い女性の頭に直撃する痛ましい事故があった、
b.それ以後、徹底的に落石対策を講じたそうですが、
a.できれば、事故が起こる前にやって欲しかった、
b.JR保津峡駅へ寄り道しますか、
a.いや特にいいけど、トイレと自販機があるので、その際はどうぞ、
b.では、このまま川ぞいに、
a.ここからは保津川の支流、水尾川にそって登りがつづく、
b.だんだん渓流らしくなってきた、道もうねうね曲がって流れも急に、
b.ハイカーのヒトとも良く出くわすし、ツーリングのバイクや、上流の水尾地区と保津峡駅を結ぶ小型バスもときおり、
a.自転車はどうすか、
b.ひとりが多いな、やはり道厳しいから、マニア向けなのかなあ、景色見ながら自分のペースでゆっくり走れば楽しいけどなあ、
b.途中、左へ林道の分岐がありますが、
a.こちらは、一回きつい登りがあるだけで、あとはそれほど登りもなく保津川に合流して、JR馬堀駅の対岸へ出る道、ただし後半は未舗装路でガタピシする、
b.じゃあ細いタイヤのロードバイクじゃ、ちょっと無理か、
a.行けないことないけど、軽量なフレームやタイヤまわりが気の毒、
b.さて、水尾の里へはまだっすか、
a.もう少し行くと渓流と距離が開いて、道が広くなめらかになる、
b.水の音がしなくなってきた、
a.それにつれてだんだんこころも静かになってくる、
b.登りのヘアピンカーブを3〜4回も続けると、ようやく坂も穏やかになって水尾の里っす、
a.集落に入ると広かった道も再び狭くなって、家々や畑が道の両側に迫ってくる、ここにも自販機道ばたにひとつ、
b.じゃあここで休憩しますか、
a.いや、もう少し登って、集落のはずれまで行こう、そこからの眺めが良い、
b.保津峡からいったいどれくらい登ったかなあ、トロッコ保津峡駅が62mとしてここは289mなんで、230m近く登ったのか、
a.登りはさらに続くのじゃ、
b.そういえば、いつかこのあたりでリタイアを検討中のカップル居ましたねえ、男性は先へ行きたがってたけど、女性はもう帰りたそうにしてた、
a.あと、かなり上等なロードバイクを立てかけて、ひとりしょぼんとベンチに腰掛けてたオジサンも居たなあ、
b.ヒザか腰か痛めたんすかねえ、
a.この先407m地点に神明峠という偽りの峠があって、実際はそこからさらに登るんだ、だからけっきょくホントの峠は508m地点が正解、ここからやっと下りになる、
b.じゃあ、ここが289mだからあと220mも登るのか、まだ半分やないすか、トホホ、何故にこげなキツい運動せにゃならんのですか、
a.なんでやろなあ、きっと下り坂が待ってるからじゃないか、歩きと違って自転車は下り坂最高、火野正平さんじゃないけど、
b.そりゃそうだ、自転車は上りと下りのメリハリがハッキリしてる、
a.それに峠を越えるとがらっと景色変わるからなあ、ドラマチックというか、近所でも遠くを旅してる気分、
b.でも偽(ニセ)の峠って、どう言うことっすか、
a.むかしは神明峠が最高点で、ここから谷を下って里に出たんだろう、ところが、その後50号線が敷かれるようになって、峠の位置がズレたんじゃないか、まあ大丈夫、富士登山を思えば、屁のようなもんじゃ、
b.しかし、水尾の里を抜けて本格的な杉木立の中を走ってるような、
a.最後の沢を越えて、水尾川ともお別れ、
b.水音がしなくなってさらにシーンとしてきました、
空気も気持ち乾いてきたような、
a.ここまで来るとカラダも上り坂に慣れて来て、それなりに楽だ、
b.神明峠が京都市と亀岡市の境界になるんすね、
a.しばらくきつい登りを我慢すると、左手に池を見下ろすポイントがある、ここもお決まりの休憩ポイントだったなあ、カロリーメイト・グレープフルーツ味をほおばってぼんやり池を眺めるんだ、
b.神秘的な池っすね、よこに高圧線の鉄塔そびえてるけど、
a.「にっぽん縦断こころ旅」のホームページにも投稿されてた池だ、神明峠から左手の林道を下ってくとこの池に出られる、どう考えても「蟲」の2〜3匹は居るだろう、怖いほど人の気配がしない、
b.じゃあ今日はこの池を見下ろすポイントまで、ということでいいっすか、
a.双子葉、
より大きな地図で トロッコ保津峡駅〜神明峠のちょっと先 を表示
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