2014年11月24日
御所と疎水の紅葉(3)「山科疎水」
b.そんじゃあ見ていきましょう、山科疎水(ソスイ)の紅葉、
a.ここはサクラの名所でもある、とくに半分から東にかけてスゴイ、
b.サクラも紅葉したっけ、
a.そう、じつは一年で二度おいしい、お得な樹木や、
b.しかし、山科疎水って樹木がうっそうと生い茂って、夜とかちょっと怖(こわ)いやろなあ、人通りも少ないし、
a.たしかに、それに御所と比べたら、疎水(ソスイ)にそって進むだけで、景色も一本調子、
b.一本調子?
a.大きな変化もなく同じような感じのまま、
b.それでもここが好きなんすね、
a.町中の道がクルマが多すぎっていうのもあるけど、それ以上にどこかしら魅力がある、
b.どのあたりが、
a.高台を通る道なんで、ときおり町の景色が見え隠れするし、道が相当うねうねするから、意外に多彩な表情を楽しめるんや、山歩きに近いような心静かな雰囲気もあるし、真夏は木陰(こかげ)でかなり涼しいし、真冬は森が北風をブロックしてくれる、
b.基本は同じ味やけど、そのなかで微妙に味がちがうと、
a.そう、いろんな豆腐料理を食べるような、
b.しかし、これだけ見事な紅葉なのに、ほとんど誰も立ち止まらないとは、
a.サクラの季節はそうとう混(こ)むけど、紅葉見物って、個人個人がときおりって感じで、あまり人気無いんやなあ、
b.地元のヒトも黙々と紅葉のしたを素通り、もう見飽きてるんかなあ、
a.いや、きっとポーカーフェイスで(=表情には出さないで)楽しんでるはずや、面と向かって聞いたわけやないけど、
b.なるほど、そんなもんかなあ、
「感動を こころに秘めて 素通りや」、
a.さて後半の東エリアは、紅葉のサクラも散って残念やったけど、まあこんだけはしゃあないなあ(=これだけは仕方がない)、
b.ええと、ここからはしばらく疎水(ソスイ)と分かれて、山越えですね、
a.うむ、疎水は長いトンネルに入って三井寺(みいでら)の下からびわ湖へ抜けるけど、われわれ人類はきっつい峠を越えるんや、
b.峠はこれという紅葉もなく、いつもどおり、小粒でピリリの激坂、
a.この急坂を下って墓地をすり抜けると、びわ湖はすぐそこ、しかし我々は共に歩んできた疎水(ソスイ)が気になるんで、そっちに回り込んでおこう、
b.お、こんなところに朱塗りの門と朱塗りのモミジ、
a.まるで同じ塗料、吹き付けたほどバッチリ赤いな、
b.長等(ながら)神社の楼門(ろうもん=二階建ての門)、大津市の指定文化財か、天智(てんじ)天皇の時代に作られたんやそうです、
a.1300年前、そういえば、広いお墓があったなあ、山科疎水(ソスイ)の始めのあたりに、その裏手を通って来たはずやで、右手が薄暗い森になってたやろ、
b.ああ、あすこが天智(てんじ)天皇陵(りょう)か、ぜんぜん分からんかった、
a.長等神社といえば、しだれ桜もきれいやったなあ、
b.歌碑がありましたね、有名な、
「さざなみや 志賀(しが)の都は荒れにしを 昔ながらの 山ザクラかな」
a.平忠度(たいら の ただのり)の作、しかし、なんで「度」が「のり」やねん、まんなかの「の」も無いやんけ、こんで古文が嫌(や)になったんや、
b.まあそう言わんと、疎水(ソスイ)のモミジが待ってますよ、
a.そうやったな、
b.なるほどここが出口というか入り口というか、
a.びわ湖の水がここから入ってくんか、暗いトンネルへ、
b.正面に回り込むとこんな感じ、
a.「疎水(そすい=運河)にも 昔ながらの 山もみじ」、
b.そうか、「ながら」に長等(ながら)をかけてるんや、遅いけどいま気いついた、
a.そんな山が近所にあったな、長等神社に長等商店街も、
b.さて、これで疎水(ソスイ)の紅葉も終わりですが、これでお開きにしますか、
a.せっかくびわ湖まで来たんやし、もうちょっとオマケがほしい、
b.この季節らしく、お寺の鐘(かね)突き堂に干し大根が、
a.なんか風流やなあ、もみじの彩(いろど)りもプラスして、
「もみじ咲く 鐘つき堂の 大根干し(だいこぼし)」、
b.最後に水辺の写真でも、
a.残念ながら、びわ湖は写してないし、これでガマンや、
b.瀬田川の下流を見てるんか、あの橋は国道1号線、
a.この日はここから笠取山経由で宇治に抜けたけど、紅葉の美しさは御所や疎水にとてもかなわないから、ここでお開きや、