アラヤ 90年代の名車、26インチMTB(まうんてんばいく)『マディーフォックス』のクロモリフレームをグラベルバイク風に復活させたこの夏、なのにさっそく変速機を外(はず)して、シングルスピードに変えてしまったと、
数年前に購入した700×25cという硬くて細いタイヤのピストバイクが、最近どんどん楽しくなってきて、こうなると26インチで太いタイヤのシングルスピードも欲しくなり、
ちなみに、ピストバイクとシングルスピード、違いは何すか、
変速機が無い点は同じやけど、固定ギアかフリーギアの違いはあって・・・けど、どっちも同じ意味で使えばええんちゃう、
しかし、なんでまたピストを増車せずに、便利な変速機を外してしまったんすか、
変速機を外すだけでピストに変えられる便利アイテムがあって、これを1度ためしたくなり、
5千円程度の出費で、変速付きとシングルスピードの両方が楽しめるなら、試す価値はじゅうぶんありますけど、じっさいどうでした、
自分の場合は8速のスプロケットになるから、ここに7枚分の厚みのあるアルミ製の輪っかをかまして1枚だけ17tの歯車(コグ)を取り付け、変速機の取り付け穴にはチェーンのたるみを取り除くチェーンテンショナーをネジ込むんやけど、チェーンを回し送るプーリーという小さい歯車が高速回転して、これがけっこう耳ざわりで、
という不満が出るほどピストバイクって静かな乗り物なんすね・・・で、いつも走ってる峠道をわざわざシングルスピードで登ろうと、
数年前から、サイクリングの途中に、歩く時間もあったらええなあという気持ちが高まっていて、けど、自転車押して歩くのはかなり恥ずかしくもあり、
自転車とセットで歩きたいと、
メインはあくまで自転車やけど、1割程度でもええから歩く場面もその中に折り込めたら、身体的にもカメラ的にもより内容が豊かになるような気がして、
歩く筋肉と自転車で使う筋肉は微妙に異なっていますし、歩くことで自転車では見えなかった良い景色も見えてくると、
自分にとって自転車は人生みたいなもんやけど、直立歩行という行為もまた、人間にとって最も基本的な動きなんで、両方同時に味わえたらより良いに決まってるし、
で、じっさいピストで峠道を走ってみてどうすか、
登りは走るというよりも自転車を押し歩くシーンがほとんどになるけど、めったにクルマが走らない静かな峠道なんで、これが思った以上に楽しく、
具体的には、
今まで自転車では見えなかった良い景色に多く出会えたし、そんな時は立ち止まることも多くなり、カメラもじっくり落ち着いて構えることができたし、気持ちもどんどん落ち着いてくるし、山の音もより鮮明に聞こえてくるし、2車線の広いアスファルトなのに気分的にはハイキングルートを歩いてるような、
ちなみに、聞こえてくるのはどんな音なんすか、
この季節らしく、風に吹かれた落ち葉がアスファルトをすべっていく乾いた音や、木々のざわめき、強い北風が吹くと、山全体がうなり始め、小鳥のさえずりもさまざまな距離感で聞こえたり、
じゃあ、変速機を使って自転車に乗ったまま峠を越えるより、かなり充実したひと時だったと、
走り慣れた峠道やけど、ゆっくり歩いて登ると、これほど中身の濃い体験になるとは、正直自分でも驚くほど、
クルマがほとんど来ない峠道というのも大きいすね、
もちろん、それが大前提になるけど、
帰宅後のカラダの疲れも、歩きと自転車のダブル効果で、いつもとだいぶ違うのでは、
歩くことが、人間にとってもっとも基本的な運動であることが良く分かるような、より心地よい疲れ方で、
坂も楽に登れる変速機付き自転車なら、こういう世界があることはまず分からなかったと、
シングルスピードの奥深い魅力がまたひとつ分かってきて、こうなってくると、フリーギアに慣れたカラダには危険が多い固定ギアにも、そろそろ足を踏み入れたくなったり、
下(くだ)り坂でも強制的に足が回り続ける固定ギアで峠道を下れば、もちろん危険ですけど、そこからまた新たな発見もありそうすね、
歩きを混ぜることで、自転車のありがたさがよりハッキリするように、固定ギアを経験すれば、フリーギアのありがたさも今以上に実感できるし、固定ギアで無ければ分からない独自の楽しさもどんどん見えてくるはず、
固定ギアといえば、ピストでしか味わえない各種トリックのとびらも開けますし、
大阪梅田でピストバイク専門店を経営されてる中瀬氏も、ずいぶん歳を取ってから若者に混じって、トリックの練習にのめり込んだと聞くし、
きっと、やり始めたらオモロイ世界なんでしょうね、
自分も自分で50才手前の数年間、なぜかトライアルにハマって、ほとんどモノにはならなかったけど、そこで覚えた体重移動の感覚とかスタンディングのテクニックは、今でも自分の財産になってるし、その感覚をさらに鋭くできるチャンスかも、
じゃあ、そんな中瀬氏が魂を込めて世に送り出すピストバイクの紹介動画を最後に流して終わりにしますか、
変速が無い不便さを楽しむピストバイクの奥深い魅力が、ひとりでも多くの人に伝わったらええなあ、