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2023年09月09日

琵琶湖疎水(びわこそすい)って、グラベルバイクのためにあるんやで(後編)

しかし、いいんすか、こんなにのんびりしてて・・・もう後編なのに、まだ南禅寺の手前、しかも自転車を降りて、すてきなビルに入ろうとしてますが、

ええねん、非常に分かりづらい山科疎水の取っかかりへスムーズにだとりつくまでが勝負で、いったん山科疎水に入ったら、あとは道なりに進むだけやし、

しかし、このビルからの眺めはええもんすね、岡崎公園の疎水は広々として、

琵琶湖疏水記念館というくらいなんで、疎水の中でも極上(ごくじょう)の場所に建てられてるみたいやな・・・この景色、RICHO GRVx で写したかった・・・

観光客は南禅寺や、そのとなりの蹴上(けあげ)インクライン(琵琶湖疏水へ船を引っ張り上げる線路)に集中するから、こんなステキな場所が超穴場の貸し切り状態、

疎水パーキングともいえる南禅寺の船溜まり(ふなだまり)を見下ろしながら、右手の動物園からは、ときおり象さんのパオーンが聞こえたり聞こえなかったり・・・しかし、そもそもゾウさん居てたかな、

明治大正時代は、ここまで蒸気船でやって来て、ここから上陸して南禅寺などを見て回り、まら乗船して、びわ湖へ向かうのが最上級の旅だったんすね、

じっさい今でも春の観光シーズンには、岡崎公園をつらぬくこの広い疎水の両脇に、やり過ぎなくらいサクラが咲き誇るもんな、

この記念館で疎水の予備知識を入れてから、広重(ひろしげ)の浮世絵で有名な東海道五十三次の道筋をたどって坂を上り下りして山科区に入り、山科区を流れる琵琶湖疏水、通称『山科疎水』のスタート地点を探しに行くと、

東海道五十三次も今はクルマだらけで、これという風情(ふぜい)も無いけれど、気をつけて見てみると、道路の向かいには、かつての街道の遺構(いこう)がさり気なく展示されたりして、やはり観光都市京都はひと味ちゃうな、

先ほどの疎水記念館もそうですが、誰が見るでもないのに、小さな観光スポットまで、しっかり見せる工夫がされていて、この町に住んだらカメラ好きになるのも、うなずけますね、

これでサクラが咲いたりしようモンなら、自転車も押し歩くようになって、しまいにサクラを撮影しすぎてサクラ酔いという、けだるくのぼせた気分になったりして、

できれば、ほどほどに済ませたいけど、あっという間に散ってしまうサクラだけに、ついつい欲張って撮(と)り過ぎてまうと、

とか言うてるあいだに、坂を下ると山科区、

ここから左手の住宅街に入り込むわけですが、

何度も走った山科疎水やけど、この最初の取っかかりだけは、いつも道をまちがえそうで緊張する、

まるで来る者を阻(はば)む迷路のような住宅密集地、

「ここ入ってもええんかなあ」というような細いすき間から入って行けたり、逆にそこは家の敷地だったり、けっこう静かな勇気も必要になるし、

といいながら、住宅街に入ってから、かなり登ってますね、

この坂のおかげで、山科疎水からの見晴らしが、また一段とええわけで、

近所に住まわれてるヒトは幸せすね、こんな贅沢(ぜいたく)な遊歩道を朝な夕なに散歩できるなんて、

最初に出くわす大きな森は天智天皇陵(てんちてんのうりょう)やけど、その背後の深い森を心静かに歩けるなんて、日本でもここだけちゃうか、

こんな深い森がメインの前半にくらべて、後半エリアはより視界が開けて、眼下(がんか)には鉄道模型のようなJRや京阪(けいはん)電鉄の線路、その先には山科区の町並みがひとつの市のようにどこまでも広がって見える、

いろいろな景色に出会えるのも、山科疎水ならでは、

半分過ぎるころから、遊歩道の道幅も広がり、公園で子供を遊ばす家族連れもちらほら、

サクラもええけど、紅葉もまた見事で、あまりに美しいと、自転車から降りて歩いたりなんかして、

山科疎水も最後になると土の道も無くなり、ふつうにクルマが通る細長い住宅街のゆるい坂道に・・・ここから疎水も最後の長いトンネルに吸い込まれ、

ここから山越えして琵琶湖へ向かうんやけど、どの道が正解なのか、これまた分かりづらい、

このエリアでとくに印象的なのは、西大津バイパスの高架ですね・・・無表情なコンクリートの太い支柱(しちゅう)が連続して、

そんなコンクリートの足元にある普門寺(ふもんじ)の横から土の道で峠越えもできるけど、自転車なら、その少し先、源照寺(げんしょうじ)のちょっと手前からバイパスをくぐって激坂登りをする方がええかも・・・いずれにせよ、名水の湧き出る峠に向かうことになるけど、

なぜこっちのコースがオススメなんすか、

激坂のぼり切ると、西大津バイパスや山科の町並みが一望できるんで、ここも形の良い雲が出てたらタテヨコ2枚ほど、GRVでパシャリと、

さっきからRICHO GRV(ジーアールスリー) がちょくちょく登場しますが、末尾にxが付いてるのと付いてないのがあるんすか、

35oフィルム換算28oの広角レンズひとすじのGRシリーズやけど、とうとう最新モデルではその禁を破り、広角レンズと標準レンズのええとこ取りの40oというシブい画角も登場・・・その機種の末尾にx(エックス)が付いてるんや、

ともあれ、ここまで来たら、あとは峠を越えて、道なりに大津の街へ入っていくばかりですね、

歴史ある大津の町も、限りなく道の選択肢があるけど、その迷いも楽しみながら、三井寺直下の疎水トンネルを愛(め)でるなり、浜大津の港を目指すなり・・・というか、仮想のRICHO GRVxを懐(ふところ)に忍(しの)ばせて、おのれがスローサイクリングしたなってきた、
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