ところで、本題の山科疎水(やましなそすい)や琵琶湖疏水なんですが、そもそも疎水(そすい)という聞き慣れない言葉の意味から、ハッキリさせてもらわんと、
たしかに今じゃ使われない言葉やもんな・・・調べたら、人工河川(かせん)とか運河(うんが)とか、ようするにヒトのチカラで作られた川のことを指(さ)して言うらしい、
その中でも有名なのが、京都の東、南禅寺や蹴上(けあげ)のあたりから、びわ湖へと通じる琵琶湖疏水・・・同じ流れでは無いけれど、南禅寺の少し北にある「哲学の道」も、やはり疎水にそって続く遊歩道としてあまりにも有名、
明治時代末期に完成したときは、観光蒸気船が南禅寺の船溜(ふなだ)まりから蹴上(けあげ)のケーブルカーで坂を上り、疎水にそっていくつものトンネルを抜けて琵琶湖まで運行していたんやなあ、
数年前から、そんな船旅(ふなたび)が忠実に再現されてるんすね、さすがに蒸気機関ではありませんが、
で、われわれも、この観光船のルートにそって、蹴上(けあげ)から琵琶湖に向かうわけで・・・もっとも船はすぐトンネルに入ってしまうから、われわれのスタート地点は、山科区の迷路みたいな住宅街を抜けた先にとつぜん現れる『千と千尋(せんとちひろ)』みたいなトンネル出口からになるけど・・・ちなみに琵琶湖疏水のうち、京都市山科区を流れる8割くらいの区間は、俗に『山科疎水』とも呼ばれていて、この疎水にそって続く遊歩道がとにかく素晴らしい、
どんな素晴らしさなんすか、
特に前半部分は、観光客でいつもにぎわう哲学の道とは比較にならないほど神秘的な静けさで、高台にあるからときおり山科区の街並みが見晴らせて、すぐ足元をJRや私鉄が往来し、有名な社寺仏閣(しゃじぶっかく)も多く、四季を通じて美しい自然に囲まれてる、
観光バスや自家用車の駐車スペースが作れない地形的な理由から、春のサクラの時期に数日こみあう程度で、それ以外は地元の人々の散歩コースとして利用されるくらいなんすね、
山すそのミドリ豊かな高台の水路にそって、クルマが入れない閑雅な(かんがな=のどかで気品のある)遊歩道が細く長くのびて・・・そのほとんどが舗装されていない土の道で、歩く人もまばらなので、グラベルバイクが走るのにも最適・・・春のサクラ、秋の紅葉、夏は木陰(こかげ)が涼しく、冬は深い木立(こだち)が、北風を防いでくれる、
琵琶湖疏水とは別に、鴨川疎水(かもがわ そすい)もあるとか、
ウィキペディアには「鴨川運河」の項目で登場するけど、部分的に鴨川を利用しながら、京都市南部、伏見(ふしみ)の城下町へ流れていく人工の水路で、ここもグラベルバイク低速走行にぴったりな味わい深い細道が続いてる・・・ただ実際に走れる区間は、伏見稲荷のあたりから南なんで、そこまでは東福寺や伏見稲荷をゆっくり走りながら鴨川運河へ向かうとスムーズ、
「疎水」という古風な呼び名のとおり、この水路は今じゃ無用の長物(ちょうぶつ)なんで、ヒマなオジサンが、カメラ片手に自転車散歩するには最高のルートなんすね、
途中、国道24号線の部分は地下水路になるけど、最終的には伏見の街の南、宇治川に接する三栖の閘門(みすのこうもん)という古風な水門が見えてきたら、そこがゴール地点、
伏見の町中に入るとまた雰囲気もがらっと変わって楽しいすね、
深い森の中を流れる山科疎水とは対照的な都会的魅力があって、伏見に入ると城下町だったころの運河も加わって、名水が湧き出るために酒造会社も多く、ここもまたゆっくり走るほど味わいが深まるエリア・・・良い景色が向こうから勝手にやって来るから、分身のように愛着あるカメラと常に行動を共にしていただきたい、
小型で小粋(こいき)なリミテッドレンズと、そのために専用設計されたコンパクトな光学一眼レフボディ PENTAX KPの組み合わせ(KP本体は残念ながら製造終了)。これにいったんハマると、同社のGRV以外は欲しくなくなるほど・・・高価な神レンズ31oばかりが注目されるけど、じっさいのところ、KPのデザイナーが最も美しい組み合わせとしてイチ押しする標準マクロの35oを中心として、35oフィルム換算28oと35oのいいとこ取りのパンケーキ21oと、ほぼパンケーキなほどコンパクトな望遠70oの3本もあればほぼ無敵状態・・・やはり使えば使うほどペンタックス!