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2023年03月21日

数値で計れない味わいを優先する文科系レンズ、ペンタックス・リミテッドシリーズ…その中でもひときわ薄い40oパンケーキレンズから学んだ多くのことがら…


レギュラーコーヒー、もう1回ドリップしてるんすか、

ミルクを混ぜると少し薄まるから、その分コーヒー多目に使うんで、もしかすると、もう1回ドリップしても飲めるんやないかと、

飲めたんすか、

深煎り豆のせいもあるけど、苦みがちょうどええ感じで薄まって、がぶ飲み用に最適・・・もっと早く気いついたら良かった、

1度目は砂糖・ミルク・シナモン入りでまったりと、2度目は2番出しドリップでスッキリと、2種類の味わいが楽しめると・・・これと同じように、まったりとスッキリが両方味わえるペンタックスのレンズがありますよね、

APS-C用リミテッドシリーズの中で、もっとも画角が近くて選択に迷うこのふたつやろ、

まったり万能な35oマクロを、クセの無い優等生的ブレンドコーヒーとすれば、スッキリ極薄(ごくうす)な 40oパンケーキは、ガテマラとかコロンビアとか、1種類の豆の味わいだけで勝負するような、潔(いさぎよ)さを売りとするレンズ、

40oパンケーキを購入した直後は、あまりに遠景の周辺解像度が甘いので、ショックのあまり落ち込むほどやったけど、よくよく考えれば、これほど薄いレンズで、周辺解像度を上げる事じたい無理なことで、

周辺解像度を高めるためには、何枚も補正用のレンズを重ねるから、どうしても大きく重いレンズになって、そうなると、最低でも35oのマクロレンズくらいの大きさは必要になりますね、

それなのに、ナゼ、画角も近い40oで、こんな超薄いレンズをあえて世に送り出したんか、

そのわけが、自分なりに分かってきたと、

先日、そろそろレンズも増えてきたんで、補欠とレギュラーに分けようかと・・・そうなってくると、とうぜん平均的に写りが良い35oマクロがレギュラー入りして、40oは補欠あつかい・・・ところが、わずか数日で、むしょうに40oパンケーキが恋しくなって、

写りを犠牲にしてまで、極薄にしたこのレンズの魅力に、すっかりハマっていた自分に気づいたと、

ポメラやピストの時と同様、このレンズも引き算美学の典型というか、マイナス面がそのままプラスに転じていて、もう愛(いと)おしくて手放せなくなってるんや、

万能で無いからこそ、自分から進んでレンズのマイナス面を補っていく楽しみがあると、

レンズの構成枚数が少ないほど、中心部から周辺部になるほど画質は落ちていく・・・だったら、それを理解した上で、自分のほうで写し方を工夫するという、優等生レンズではありえない新たな楽しさも増えるわけ、

たとえば、写したいモノを中心部において、周辺はぼかすことで、より写したいモノを強調するとか、解像度の高い中央に遠景を配置して、描写が甘くなる四隅(よすみ)は近景で囲んでやるとか、

思えば、われわれ人間の視界というのも、このパンケーキレンズ同様、中心部から周辺部へ行くほど集中力も下がれば、見え方もぼんやりしていくわけで、

すみずみまで解像する重くて大きいレンズも、あればあったで便利で素晴らしいけど、その対極にあるこのパンケーキレンズは、ある意味、レンズの本質をもっとも正直に体現してるというか、

さらに言うと、このレンズをリミテッドレンズ用にデザインされたKPに装着して出かけるときの、レンズとボディが一体化したような軽快感っていうのは、他では味わえない独特な快感で、

それは、高級コンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)とも、また異質な軽快感というか、

もともとコンパクトボディを目指したKPやけど、一眼レフ並みの大きさは確保されてるわけで、このボディにパンケーキレンズを装着すると、両者が一体化して、ずっと手にしていたいような塊(かたまり)感が生まれて、軽量コンパクトなコンデジ特有のレンズ繰り出しちょい待ちのもどかしさも無く瞬時に撮影できて、しっかりした重さと大きさも感じられて、これはおそらくKPのボディとリミテッドパンケーキレンズの組み合わせでしか実現しないような、独特な魅力であって、高級コンデジと一眼レフのエエとこ取りみたいな、

しかもパンケーキレンズの弱点を自分から進んで補(おぎな)っていこうとするから、よりカメラやレンズと深く関わっていけるし、

ちょうど、無変速自転車になると、変速しない分、自分でこぎ方を意識的に変えて走るようになるから、より深く自転車と付き合えるようになるのと、まったく同じような、

ところで、マクロレンズなので遠景イマイチという評価もちょくちょく聞く、リミテッド標準35mmマクロレンズですけど、じっさいどうすか、

勝手に名付けてる、お買い得な軽量プラ(プラスチック)マウント清貧(せいひん)三姉妹レンズ(35o・50o・18-55o(ちなみにペンタックス標準ズームレンズ中、最大撮影倍率第1位がコイツ…しかも簡易防滴仕様))の出来が、外見の安っぽさとは裏腹に、じつに素晴らしいもんで、マクロとはいえ同じ35oやし、必要ないかと思ってたけど、いざ購入して写してみると、より写りも良く、言われてたような遠景のイマイチ感も皆無で、近くから遠くまでじつにシャープ・・・リミテッドレンズに共通するたったひとつの残念ポイント、『せっかくメタルなのに伸縮式フードは、すべて作りが中途半端でじっさい使いづらいな問題』は、このレンズにも当てはまるから、ハクバさんの標準49o用メタルフードに交換してるけど…

じゃあ、あえてリミテッドレンズで一本選ぶとすれば、この優等生マクロではなく、むしろ極薄40oパンケーキであると、

リミテッドレンズの中でただひとつ、小さなレンズキャップがネジ式で、裏側には、PENTAXのロゴがさりげなく印字されてるという芸の細かさ…フジツボ型フードもかっこええし、なによりKPに付けて手の平に置いたときの重さと大きさが絶妙・・・あえて極薄設計にして周辺解像度の甘さをそのままに、レンズ本来の性質を逆に気づかせてくれる憎い演出などなど、9回裏大逆転的名作レンズとして自信を持ってお勧めしたい・・・特に文科系カメラユーザーたちに、

そういう意味でも、リミテッド専用デザインのKPも、また復活させて欲しいもんすね、 K-3 mark3 で実現したペンタプリズム加工技術を駆使した、カメラ史上最高の光学ファインダーを搭載(とうさい)して、

ちなみに、KPのデザイナーさんは、35oマクロを装着したとき最もカッコよく見えると言われていますが・・・くわしくは、アマゾンKindleストアの電子書籍 「PENTAX KP オーナーズ BOOK」 からどうぞ・・・開発者へのインタビューも多く、リミテッドレンズの解説本としても、たいへん良く出来ています!


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