2020年08月20日
十二人の手紙 井上ひさし 中公文庫
手紙を題材にした、十二編の短編とエピローグによる短編集。
小説の中で手紙というのは便利なツールだ。なにせ、苦労なく時間や空間を飛躍させることができる。最近では、東野圭吾の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で手紙が効果的に使われている。
ただ、これだけの色合いの違う短編をひとつのテーマで書けるというのは、さすが井上ひさしとしか言いようがない。
それぞれが人の喜びだったり悲哀だったりを描くが、プロローグからエピローグまでを読むと、全体に一本の芯が通っているのがわかる。ネタバレが怖いので詳しくは書けないけど、エピローグを読むと「ほうほう」「なるほど」「そうきたか」などとなる。素晴らしいエンタテインメントだ。
1978年刊行なので少々古臭さはあるけど、いろいろ仕掛けがあって再読三読に耐えられる佳作です。
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『十二人の手紙』
Excerpt: 井上ひさし 『十二人の手紙』(中公文庫)、読了。 手紙のやり取りだけで短編集に仕立てたもの。 私信の往復から、届け出書類の羅列まで、 様々な形式の書面が登場しますが、 どれも書面だけで、その裏に流れ..
Weblog: 観・読・聴・験 備忘録
Tracked: 2020-08-21 04:01
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