太陽の塔　森見登美彦　新潮文庫: なかなかやんの好きなもののブログ

2020年08月15日

太陽の塔　森見登美彦　新潮文庫

「ペンギン・ハイウェイ」「四畳半神話体系」の森見登美彦のデビュー作。

実は森見登美彦の作品は、先にアニメの「四畳半神話体系」を見ていて、その独自の世界観に感心するやらなんやらしていた。で、「四畳半神話体系」の小説の方も買ってはみたものの未読のままでした。でもたぶん、この二作品は陸続きの物語でしょうね。

京都大学の五回生の私。事情あって休学中。昨年ふられて今年は独り身のクリスマスを迎える。が、高尚な精神を持つ私には、彼女がいるかどうかなどは大した問題ではない。あまりにも独自性が強いが故に、私からの尊敬の念を集める友人の飾麿（しかま）は、また今年のクリスマスも不穏な動きをしている。人が見たらくだらない事だろうが、だからこそそれに細心を砕く。我々の勝利を高らかに宣言せよ。

なんというか、さえない大学生達が下宿でうぞうぞと酒を飲んだりしてるだけの話。もちろんいろんな事件や騒動は起こるんだけど、全部大学生の身の丈に合った事件や騒動なので、微笑ましくもある。でも、その微笑ましく感じることに、他人に言えないうしろめたさを感じる人だけが、この小説の本来性を読み取ることができる。ようするに、男子大学生たるもの、鬱々と日々を送ってしかるべしなのです。

そんな、いつも湿気でじっとりとしている四畳半の下宿ワールドのお話。爽やかなキャンパスライフくそくらえ！！　でも、出来たらそっち側にまわりたい。

あと、この小説を読むと、太陽の塔ストラップとソーラー式招き猫が欲しくなりますね。