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2017年06月04日

アガサ・クリスティから (136) (ミス・マープルと十三の謎*動機 対 機会【2】)








(ミス・マープルと十三の謎*動機 対 機会【2】)





〜〜〜



(動機 対 機会【1】より)

弁護士であるペザリック氏は眼鏡越しに彼女たちを見ると、よくわかったように明るく微笑んだ。

「その点ではご心配いりません。お話ししようと思うものは単純で率直で、どんな素人でも分かるものですから。」




〜〜〜




「とにかくお話をうかがいましょう。」





ミス・マープルにうながされて、弁護士のペザリックは話し始めた・・・。






それは、弁護士ペザリックの以前の依頼人に関する話だった。





名前をサイモン・クロードと仮定して、話し始めた・・・大きな邸宅に暮らしていた彼は、ひとり息子を戦争で亡くした後、母さえも失った孫娘を引き取った。
目にもいたくない程のかわいがりようだったが、十一歳になったある日、肺炎で急に亡くなってしまった。
クロードの悲しみと絶望は言いようがなく、かわいそうに、それ以来、うつうつとしていた。






しばらくして、彼の弟のひとりが貧乏のまま、亡くなってしまったので、サイモン・クロードは弟の子供たち(グレースとメリーという二人の娘とジョージという息子)を自分の家に引き取った。






彼はこの弟の子供たちにも気前よくやさしく対応していましたが、亡くなった自身の孫娘のような深い愛情は感じることはなかったのだった。






この甥や姪・・・ジョージ・クロードは近くの銀行に就職させてやり、グレースはフィリップ・ギャロッドという名の若い頭の良い科学者と結婚した。そして無口な娘のメリーは家にとどまって、伯父の世話に明け暮れていた。






こうして見たところ、何もかも平穏無事な日が続いた。





実は孫娘が亡くなってすぐに、サイモン・クロードはペザリックのところに来て、新しい遺書の作成をした。
この遺書によれば、彼の財産は・・・これまたかなりのものだった・・・彼の甥と姪の間で公平に三等分されることになっていた。






(次号に続く)






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