1.はじめに
4月はうららかな日ざしが心地よく,じっとしているのはもったいないような季節だが,ちょうどこの時期に咲くのが上の写真のペトレアという花,その色あいと高貴な雰囲気に魅了される人も多い花である
2.ペトレアの性状
ペトレアはクマツヅラ科のつる性の花木で中南米を中心に約30種類の仲間がある,なかでもよく親しまれているのが,ペトレア・ウォルビリスという種類で,花色は紫と白がある,通常ペトレア・ウォルビリスといえば紫の方が一般的である
3.ペトレアの魅力
房状の花が枝から下がる姿はエレガントな美しさがあり,別名,女王の花輪やパープルリースとも呼ばれている,一つひとつの花は中心にあるちょっと濃い紫色の花びらとそのまわりにある薄紫色のガクの二段構えになっている
中央の花は早々と散ってしまうが,外側のガクはしばらく残るため意外と長い期間,さわやかな薄紫色を観賞できる,タネができる頃にはこのガクも落ちてしまうのであるが,この時ヘリコプターの翼のようにくるくる回りながら落ちていく
これはゆっくり落ちることで,風を受ける時間を長くして,タネを遠くに飛ばそうというペトレアの戦略なのだろうが,風にあおられたガクがクルクルとたくさん舞い落ちていく様は,とても幻想的で,ほんの一瞬ではあるがおとぎ話の世界を体現してるような錯覚に陥ってしまう
4.ペトレアの育て方
家庭用には手頃な鉢物が販売されている,暖地では地植えも可能であるが,寒さが強い地域では鉢植えで管理して,冬は室内に取り込むのが無難だろう,植え付ける鉢は6号鉢以上のものを使用した方がいい,小さい鉢では株の充実が悪く開花しても花数が少ない,植え付け用土はホームセンター等で販売されてる花木用の物でOK,肥料は3月と9月に玉状の置肥を10粒ほどあげよう,水に関してはペトレアは思いのほか水を良く吸う植物である,特に盛夏期は水切れしないように注意が必要である
地植えにすると生長も早く株も大きくなるが,もともとつる性植物で,他の樹木等をたよりに自分を支える植物なので,意外と根の張りは弱い,ペトレアを地植えしたら風で倒れないように支柱が必要である,下の写真は30cmくらいの苗を地植えして7年ほどの株である,高さが2.5mほど,下部の幹の太さは子供の腕くらいに生長してるが,倒れないようにテラスの支柱にくくりつけてある
基本的には春咲きだが,元気のよい株なら秋にも花が楽しめる,日照不足になると花が咲かなかったり,数が少なくなるので,特に冬場はよく日に当てるように管理する,成長期はつる性の枝がどんどん伸びてきて,そこらじゅうに巻き付いてしまい収拾が付かなくなる,この場合つるの下部2〜3節ほど残してカットすると良い,つるをカットしたからといって開花には影響無い,またペトレアは紙やすりの木とも言われるほど葉がざらざらである,車のボディなどに葉が当たらないように注意が必要である
増やしたいときは挿し木が簡単である,春に出た枝を夏の終わり頃に,充実した下部の部分を20cmくらい,赤玉土に挿しておけばいい,特に発根剤とか薬品など使わなくても根が出てくる
5.おわりに
ところで紫と言えば一般に高貴とか気高いと言うイメージがあるが,精神的な面からは心のバランスを保ってくれる癒しの色と言われている,赤は興奮の色,青は沈静の色と言われているけど,その両方を混ぜれば紫色になるわけで,ほどよくバランスがとれるということだろうか,ストレスの多い現代社会,心においしい癒しの花木,ペトレアである
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