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2016年06月05日
2-1. 板締め和紙:はじめての板締め和紙
板締め和紙の方法
前回まで『墨運堂 カラー墨流しセット 15630 教本付』を使ってカラー墨流しをした。
このセットを使って板締め和紙をします。
セット付属の教本『ふしぎ染めの世界』に板締め和紙の方法が書いてあります。
『ふしぎ染めの世界』によると、使うのは『板締和紙』と彩液と木板と古新聞紙とトレーのようです。
方法は
1. 紙を折り
2. 水につけてから絞り
3. 彩液をつけて少しもみ
4. 広げて乾かす
の順番です。
紙の折り方で板締め和紙の模様の出方が変わります。
『ふしぎ染めの世界』には4種類の折り方が紹介されています。
@ 四角折り
A 二等辺三角形折り
B 正三角形折り
C ふくざつ折り
4種類の折り方と模様
4種類の折り方の辺と頂点にそれぞれ異なる色を置いた場合の配色パターンをみてみます。
0. 基本折り
まず、4種類の折り方は全て長辺長短冊になるように八曲屏風折りしたものを基本にします。
1. 四角折り
基本折りした屏風短冊を四角形が単位にになるようにさらに屏風折りします。
4つの頂点と4つの辺の合わせて8箇所にそれぞれ違う色の彩液をつけたときの模様。
2. 二等辺三角形折り
基本折りした短冊を基本単位が直角二等辺三角形になるように折ります。
3つの頂点と3つの辺の合わせて6箇所にそれぞれ違う色の彩液をつけたときの模様。
3. 正三角形折り
基本折りした短冊を基本単位が正三角形になるように折ります。
3頂点と3辺の合わせて6箇所にそれぞれ違う色の彩液をつけたときの模様。
4. ふくざつ折り
基本折りした短冊を基本単位が鈍角二等辺三角形になるように折ります。
3頂点と3辺の合わせて6箇所にそれぞれ違う色の彩液をつけたときの模様。
まとめ
紙の折り方と板締め和紙の方法を動画でまとめておきます。
板締め和紙の折り方
板締め和紙の方法
頂点や辺にドロッパーボトルで均一に彩液をつけるのが難しくムラになりやすい。
どこに色をつければどこに対応するのかはわかったが、どれくらい染まればどういう模様になるのかとか、1箇所に2色以上入れた場合の変化などは今回のテストではわからない。
アイデア次第ではで色々なことができるような気もするし・・・それほど広がらないようにも思えるし。
どういう模様を描きたいのかとともに、できた模様をどう捉えるかというところが見えてきません。
いろいろ試してみる必要がありそうです。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2016年06月12日
2-2. 板締め和紙:染色方法
染色方法の検討
はじめての板締め和紙染めでは彩液の入っているドロッパーボトルを使って直接和紙に色を着けたが、頂点や辺に均一になるように着色するのが難しい。
@ ドロッパーボトルを使う方法以外に、A 筆を使う方法とB 浸け染めを比較検討してみる。
また、前回は一度濡らした和紙を絞ってセミドライの状態にしてから色をつけたけど、乾いた状態(ドライ)で染めた場合にどうなるのか試してみる。
折り方は正三角形折りのみ、染色箇所もそれぞれ頂点1箇所(赤)と辺1箇所(青)のみとする。
@ ドロッパーボトル
@ー1 セミドライ
@ー2 ドライ
A 筆
Aー1 セミドライ
Aー2 ドライ
B 浸け染め
Bー1 セミドライ
Bー2 ドライ
まとめ
思っていたよりも染色方法による差が大きくでた。
(1) 模様は「Bー1 浸け染め セミドライ」が好みに近いが色は薄めにでる。
(2) ドライよりセミドライの方が染色液が広がりやすくムラになりにくい。
(3) @ ドロッパーボトルとA 筆には大きな差はなく、B 浸け染めはムラになりにくい印象。
それぞれの染色方法での模様の出方の特徴を理解して模様を描く。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
2016年06月19日
2-3. 板締め和紙:板締め染め
板締めって・・・
前回と前々回で板締め和紙の手法について少し慣れてきたけど、板締めって板で折り紙の水気を絞ることじゃないような・・・
教本『ふしぎ染めの世界』に書いてある板締め和紙の方法でもいいけど・・・なんかイメージがチガウ。
あらためて、折り紙のサイズに切った板で締めながら染色してみる。
(結果的に)板締め染色テスト
板で締めながら染色するときに、染色方法は前回テストしたB 浸け染めー1 セミドライでいけるだろうと思った・・・のだけど。
@ 板締めーセミドライ
意外・・・染まりが悪い・・・
もっと長い時間染色液につけておかないといけないのだろうか・・・と思いながら、比較のためにA 板締めードライをやってみる。
A 板締めードライ
ちょっと違うけど・・・こっちの方が近いような・・・
和紙の水気を絞る行程が必要なくなるので楽だし、染まり具合も理想の方向に近い。
これを基本にしていくつか試してみる
板締め和紙染色
(1)正三角形折り
(テスト1) ふと、思いついて板締めしたまま水を吸わせてから染色してみる。
正三角形折りの頂点の一つを水につけてから青の染色液で染め、他の一つの頂点はドライのまま緑の染色液で染めた。
これかなっ!
水色で染まっている模様が求める形に近い。
(テスト2) 確認のために再度、二つの頂点共に水につけてから染色する。
いい感じだけど、シャープすぎるか。
板を締める強さの問題か、水を吸わせる量(時間)の問題か、染色液を吸わせる量(時間)の問題か・・・
(テスト3) 頂点ではなく辺も同様に染めてみる。
なるほど、おもしろい。
(テスト4) 続いて、3頂点全部に同じ染色を施す。
う〜ん・・・均一な染まり(模様)にするのにはまだまだ改良の余地があるということだな。
(2)二等辺三角形折り
(テスト5) 続いて二等辺三角形折りでも同様の染色方法で模様を描いてみる。
まずは2つの鋭角な頂点にそれぞれ異なる2色(赤と緑)で染色する。
(テスト6) 次に直角と鋭角の一つにそれぞれ異なる2色(青と緑)で染色してみる。
なるほど、似たような感じだけどちょっと違うか。
(テスト7) 辺を染めたらどうなるのかも試してみる。
あれっ? 結構複雑な感じに・・・というより、なぜ場所によって形が全然違うのだろう?
でも、こういう模様の出方の変化は嫌いではないのでかえって面白く感じられる。
(3)四角形折り
(テスト8) 四角形折りもためしてみる。
単純に格子模様にすればよかったかな。
(4)ふしぎ折り
(テスト9) 最後にふしぎ折りを染めてみる。
ちょっと変わったことをしたくて二つの頂点に異なる2色(赤と青)を重ねて染めてみる。
これはこれで面白い。
まとめ
思いついたことをなんとなくやっているのでまとまりに欠けるが、得られる情報は多かった。
いくつも色を用いるよりも単色で描く模様の変化やバリエーションと均一性のバランスに重きをおいた方が面白いかもしれない。
均一な模様を得るためにはまだまだ改良の余地があるが、この方向で経験を積めば思い描く模様を描けるようになる気がしてきた。
今回も写真を取るときに紙を広げただけで撮っているので折り目が模様として残っているが、折り目を無くしたら見える模様の印象がどう変わってくるかも調べた方がよかったかもしれないが。
アイロンをかけるのか?スチーム?水で濡らす?板張りで乾燥させた方がいい?色は滲んだり落ちたりしないのかな?・・・折り目を取るだけでも考えることは多い。
では、またヾ(。・ω・。)ノ
2016年06月26日
2-4. 板締め和紙:大きな和紙で
大きな板締め和紙
これまで B4サイズ(25.7 × 36.4 cm)の『板締和紙』で染めてた。
もっと大きな和紙では、あるいは、もっと大きな模様では印象はどう変わるだろうか。
大きなサイズの『板締和紙』はないみたいなので他の和紙を染める。
1. 書き初め書道紙
書き初め用書道紙『学校書初紙』(24 × 100 cm)を使ってみる。
『板締和紙』と『学校書初紙』の8曲屏風正三角形折り比較
(左)『板締和紙』 (右)『学校書初紙』
『学校書初紙』の方が厚みが出るけど、正三角形の大きさは同じくらいなので締め板は『板締和紙』と同じものが使える。
染色@ 8曲屏風折り正三角形:1頂点浸漬染め
染色A 8曲屏風折り正三角形:1辺浸漬染め
紙全体が縦長であることもあり、このくらいの大きさの違いでも印象は異なる。
『板締和紙』と比べると『学校書初紙』の方が紙が薄く折り目が綺麗にでるが、染めてみると色の広がりが少々物足りない感じ。
紙の厚みや吸水具合など、紙の性質によって模様の出方がだいぶ違うらしい。
2. 条幅画仙紙
もう少し大きな条幅画仙紙(半切書道紙、35 × 136 cm)ではどうだろうか。
今回は比較的厚手で丈夫に思える『良寛』を用いた。
染色B 8曲屏風折り正三角形:1頂点浸漬染め
(左)『板締和紙』 (右)『条幅画仙紙』
『条幅画仙紙』8曲屏風折り正三角形板締め締め板
『条幅画仙紙』8曲屏風折り正三角形:1頂点浸漬染め
大きさ比較:『板締和紙』
大きさ比較:『板締和紙』
締めすぎ、または、絞りすぎなのか全体にムラがでた。『板締和紙』に比べると染料の吸いが悪いか。
紙が硬めで大きいので折るのにそれなりに時間がかかる。
もう少し大きな模様ではどうかと思い4曲屏風折り正三角形を染めてみる。
染色C 4曲屏風折り正三角形:1頂点浸漬染め
(左)『板締和紙』 (右)『条幅画仙紙』
『条幅画仙紙』4曲屏風折り正三角形板締め締め板
『条幅画仙紙』4曲屏風折り正三角形:1頂点浸漬染め
大きさ比較:『板締和紙』
大きさ比較:『板締和紙』
今度はあまり絞らずにおいたのでぼってりとした模様ができた。これはこれで面白いけどもう少し絞った方がいいか。
この折り方で1辺を浸漬染めする。
染色D 4曲屏風折り正三角形:1辺浸漬染め
(左)『板締和紙』 (右)『条幅画仙紙』
『条幅画仙紙』4曲屏風折り正三角形:1辺浸漬染め
これが丁度いいかな。もう少し染まってもいい。難しい。
3. 襖大和紙
襖や障子紙に使える大きさの和紙(95 × 200 cm)を染めてみる。
この和紙は幅が95 cmあるので8曲屏風折りと16曲屏風折りの2通りで折って染める
染色F 16曲屏風折り正三角形:1頂点浸漬染め
(左)『板締和紙』 (右)『襖大和紙』
この紙は染料の吸いが悪い。
もう少し大きな模様ではどうかと思い4曲屏風折りにする。
染色G 8曲屏風折り正三角形:1頂点浸漬染め
(左)『板締和紙』 (右)『襖大和紙』
この紙は板締め染めに向いていない。
大きさのために場所をとり、和紙を折っているだけで時間が結構かかったわりには結果がよくなかった。
まとめ
結局紙の質が大事で大きな紙を染める前に小さい紙でテストしてからやればよかったという結果になった(どこかに『板締め和紙』と同じ紙で大きな紙は無いかな・・・)。
さて、こうやってできた板締め染めを何に使うかといえば・・・見て楽しむだけだったりする。
他にも染めてみたい和紙がいくつもあるので楽しみ。
なにか面白いアイデアがあったらまたいろいろ試してみようっと。
では、またっヾ(。・ω・。)ノ