2012年01月24日
豆乳は腐るとどんな味がするのか?
私は、なんか珍しげなお菓子や食品に弱い。
特に、「おいしいの、コレ?」と思わず思ってしまうような組み合わせや味のものをお店で見かけると、ついつい買ってしまう。
いや、だってさ、まずすぐに生産中止になるじゃないですか、そーゆー味のやつって。
「期間限定」と書かれていなくても、結果として期間限定になるであろう雰囲気をプンプン漂わせている、あやしげ〜な商品。
目に入った今のうちに買っておかないと、もう二度と巡り合うことはないであろう商品。
そういった商品を開発した人たちは何を考えているのか?
「納豆味とか、いいんじゃね?日本人っつったら納豆でしょ」
「いやいや、日本人はやっぱたまごかけごはんでしょ。納豆は好き嫌い激しいじゃん」
「なんかさー、ビビッとこないんだよね〜。もっとこう、刺激的な、飲んだ瞬間スパークするようなモンが欲しいんだよね〜」
「えー、じゃあ、ドンパッチ入りのラムネとかいいんじゃね?」
「ばかやろう!俺が言ってんのは、そんな即物的なもんじゃねえんだよ!」
「……抹茶さくらたまごかけごはん味、というのはどうでしょう?」
「それだ!日本古代からの伝統の味と、庶民の味の融合!よし、それで開発進めるぞ!」
……以上は勝手な私の妄想ですが。
こんなノリでつくられてるんじゃないかと思うほど、よく分からん味が出てたりします。
そしてそれらの味の大半のパッケージが、なんというか、インパクト勝負だからか、懸命に虚勢を張ってアピールしているような感じで、それが余計、短命であろうその商品のことを考えると、美人薄命ならぬゲテモノ薄命。儚いというより、世の無常をうっすらと感じてしまいます。
それで思わず手が伸びて…。
と、もっともそうな理由を述べましたが、1番の理由は「ネタになりそうだから」なんですけどね(笑)。
そんな私ですが、1度、魔が差しまして、何を思ったか腐った豆乳を口にしたことがあります。
コトの発端は小学生の頃。
我がクラスでは給食で余った牛乳を棚に入れて溜め込んでいました。
まー、別に好きで溜め込んでいたわけではなくて、捨てるタイミングを逃して溜まっていただけなんでしょうけど。
それを、クラスのいたずら好きの男子がですね、ある日の給食時に、新しい牛乳と古い牛乳とを、いくつかこっそり入れ替えてしまったのです。
私はそれを目撃していたのですが、基本的に薄情な人間なものですから、いたずら好きの男子に「なにやってんのー」と言いつつも、先生には言わず黙っておりました。まー、自分はちゃっかり新しい牛乳を手にしてるわけですから、罪悪感がなかったと言えば嘘になりますが。
でもね、正直、ええ、正直申し上げますとね、腐った牛乳がどんな味するのか、興味があったとも言えます。
パックの牛乳って、日がたつと、膨らんでくるじゃないですか。
液体がどろどろした固体混じりになって、カッテージチーズっぽくなってくるじゃないですか。
どんな味するんだろう、やっぱり不味いんだろうか、でもちょっとチーズっぽかったりするんだろうか。
好奇心旺盛な小学生の頃ですもの、そんな疑問が生じてもおかしくはない!
で、全員で合掌、「おあがりください」「いただきます」が終わって、楽しい給食タイム。
確か6人1グループで、机を固めて食べてたと思うんですが。
私の隣(授業中は私の前の席になる)の男子が、牛乳にストローを差し込んで飲んだ瞬間。
彼は、「うっ!」と声を上げ、素早く席を立つと、教室から走って出ていきました。
そう、彼が飲んだ牛乳は、不幸なるかな、「アタリ」だったのです。
でもって、彼は、1番始めにアタリ牛乳を飲んでしまったのでした。
彼が走り去ったのち、教室内に「うわ、なんだコレ!」という声が響きました。
まー、アタリの被害者が2〜3人出た時点で、どうやら古い牛乳が混じっているらしいぞ、というのが判明したため、そこまで被害者は出なかったかと記憶しております。
隣の男子が、おそらく洗面所で牛乳を吐いてうがいをしてきたであろう後に、教室に戻ってきました。
彼は自分の牛乳の賞味期限がとうに過ぎていることを確認すると、
「誰よ、こんなんしたが!飲んだにかよ、きもちわりぃ!だらが〜!」
(※誰だよ、こんなことしたのは!飲んでしまったじゃないか、気持ち悪い!馬鹿が〜!)
と、吠えておりました。まー、隣で非情にも私が大ウケしておりましたら、
「お前知っとったんか!なんで言わんがよ〜!」
(※お前知ってたのか!なんで言わないんだよ〜!)
と怒られてしまいましたが、当たり前ですわね(笑)。
その男子は心が広いと言いますか、どこか飄々していると言いますか、人のことをからかうけど、よほど頭にくることがない限りは、人を無視したり、そーゆー感じのない男子でした。彼のことをよく知っているわけではないけど、「やっていいことと悪いこと」の区別がついていた子だったんじゃないかと勝手に思ってます。
まあ、そんな話しやすい人ではありましたので、さらに薄情な私は
「腐った牛乳の味、どんなんだった?」
と聞きましたです。彼の返事は、
「どんなんもくそもあるか!うげー」
みたいな感じだったと思うのですが(何せあまりにも昔のことなので覚えてません。どのセリフも脚色入ってます、あしからず)。
当然と言えば当然の答えですね。
でも、私は納得できなかったのです。
「どんなんもくそもあるか」な味って、どんなんだったんだろう。
とりあえず、腐った牛乳が不味いことは分かった。でも、どんな味だったんだろう?
私に腐った牛乳を飲む勇気はありませんでした。
それが気になったまま、いつしか気になっていることも忘れ、私は小学校を卒業し、中学校も卒業し、高校に入学したのです。
確か、あれは高校生の夏。…だったような気がする。そういうことにしておこう、うん。
冷蔵庫に入れてあった、賞味期限の切れた豆乳が、とうとうダメになったのを、私は豆乳をグラスに注いで気付いたのです。
腐った牛乳と同じように、固体が混じってしまってしまってたのですね。
「こりゃアカンわ〜」
と豆乳を捨てようとした私の脳裏に、小学校の頃の思い出がよみがえりました。
手にしているのは、牛乳ではなく豆乳ですが、固体混じりの状態は同じ。
「どんなんもくそもあるか」の味を知る、チャンスではなかろうか。
思えばあのとき、私は、新しい牛乳が腐った牛乳にすり替えられる、という悪事を知っていたにもかかわらず見過ごしてしまったのだ。
そして何の罪もない、あの隣の席の男子の心に、「腐った牛乳を口に含んでしまった」という傷をつくってしまったかもしれないのだ。
当の本人はそんなこと忘れている?いや、忘れていないかもしれない。
いじめられた子は、いじめられたことを忘れないというではないか。
まー、あれはいじめじゃなくていたずらだったけど、でもって当人もそのことを理解していて気にしてなかった気がするけど、いやいや、人の心の中なんて分からないものだ。
あの後、その男子は牛乳を飲むことにトラウマが出来てしまったかもしれない(彼はその後もずっとふつーに牛乳飲んでたけど)。
ああ、もしその男子の心に傷を負わせてしまったのだとしたら、私は間接的ではあるがいじめに加担したことになりはしないか?
いじめを見て見ぬふりする方にも、いじめた方と同じ罪があるのなら、私は罪を犯したのだ。
そうだ、この腐った豆乳を飲み、あのときの彼の心を知ろうではないか。それがせめてもの罪滅ぼしだ。
と、もっともな理由をグダグダ述べましたが、本音は「興味があったから」です。
ここでこの、腐った豆乳を飲まなかったら、ひょっとしたら死の間際、私は後悔するかもしれない。
ああ、自分はどうしてあの腐った豆乳を飲まなかったのだろうと後悔するかもしれない。
その後悔と、腐った豆乳をちょっと飲むことのリスクを考えたら、腐った豆乳をちょっと飲むのなんて、たいしたリスクにならないじゃないか。
おかしいと感じたら、すぐに吐き出せばいいんだし…。
そして私は覚悟を決め、何かあったらすぐに吐き出せるよう流しにスタンバイすると、おそるおそる腐った豆乳を口に含んだのです。
はい。長い前置きにお付き合いくださり、ありがとうございました。
問い:豆乳は腐るとどんな味がするのか?
答えのひとつ:どんなんもくそもあるか
えーとですね、詳細を述べますと、体が受け付けてくれませんでした(笑)。
体が、全力で腐った豆乳を飲むことを拒絶しました(笑)。
考えてみれば、人間だけといわず、生き物には防衛反応が備わっているわけです。
腐ったものを気軽にホイホイ口に入れて、消化不良だの食中毒だの病気だの起こされたら、体としては困るわけです。
だから、腐った食物などに対して、体は拒否反応を示すわけです。
「臭いがなんかオカシイ。気持ち悪い」「うわっ、食感がいつもと違う、これオカシイ」と。
豆乳を口に含み、それが舌に触れた瞬間、反射的に吐き出してました(笑)。
味わう隙もなかったです。
感じたのは、舌への刺激。
ボタンを押したら微電流が流れるようなびっくり仕掛けアイテムがありましたが、あれを舌にやられた感じでした。
ビリッと表現したらいいのか、ブルッと表現したらいいのか、低くくて強い刺激を舌に感じました。
酸味というより、苦み?
とてもじゃないけど無理。飲みこめません。
舌が全力で「それやばいよ!飲んじゃダメだよ!」と拒絶しているのが一瞬ですがよく分かりました。
良い子は真似しちゃだめです。悪い子でも真似しちゃだめです。普通の子ももちろん真似しちゃダメです。
当たり前ですが、自分以外の人に強制してもダメです。人以外の生き物でもダメです。
大人も真似しちゃダメですが、どうしてもという大人の方は自己責任で。あなたの身に何があっても私は知りません。
まあ、ええ、そういうわけで、歳月を経て、私は小学生の頃の男子の言葉を理解したわけです。
あー、こりゃあ確かに、「どんなんもくそもあるか」だわ……。
いや、別の意味で「刺激的な、飲んだ瞬間スパークするようなモン」だったけどさ(笑)。
まあ、商品化は絶対出来ないな〜。
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