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2020年05月31日
閉経後女性の高コレステロール血症って問題?
閉経後女性の高コレステロール血症って問題?
人間ドックを受診される女性の多くはコレステロールのことを
とても気にされている方が多いように感じています。
閉経することで卵巣機能が低下し女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、
(悪玉)コレステロールが上昇しやすくなると言われています。
日本人間ドック学会で、閉経後の女性を対象にして
高コレステロール血症の予後調査を行っています。
40〜75歳の閉経後の受診者で、
血清総コレステロール値が220〜259mg/dlの方を対象に
220〜239mg/dlの人をA群、
240〜259 mg/dlの人をB群として
4000人余りの参加者で開始し、
5年間経過を見れた人は1065名です。
高コレステロール血症があった場合に一番問題となる
心イベント(心筋梗塞、狭心症、心臓死など)は
B群の1名だけで、A群では皆無でした。
逆にA群では一過性脳虚血発作、脳梗塞を起こした人が各1名でした。
本研究では、総コレステロール値で220〜259mg/dlまでの方に対して、
薬物治療は必要ないのではないかと結論づけられました。
現在日本動脈硬化学会のガイドラインでは、
総コレステロールではなくLDL-コレステロール(LDL-C)を基準として、
高血圧症、糖尿病、喫煙などの危険因子がない場合の
管理目標値を160mg/dl未満としています。
このLDL-C160mg/dlは総コレステロール240mg/dlにほぼ相当しますが、
今後閉経後女性のコレステロール値管理目標値については
もう少し緩和されるかもしれません。
強調しておきたいのは総コレステロールがわずかに高くても、
高血圧症、糖尿病などの因子がなければ、
脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、
心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患などの発生は
決して高くはないという事実が判明したことです。
気になる食事療法ですが、
BMI(体重/(身長×身長(m))が18.5〜25の範囲内であれば
糖質制限食を勧めています。
要諦は1)カロリーは下げない、
2)糖質を絞る(厳密には糖質<130g、520kcal)で、
糖質制限食で、糖尿病、高血圧はもちろんのこと、
究極的には発がんの抑制、老化の抑制が得られるようです。
動脈硬化の元凶は、高血圧と高血糖です。
高血糖はインスリンの分泌過剰、
これが肥満、癌化の引き金を引いているようです。
血糖を上げるのは糖質だけで、
タンパク脂肪は血糖をあげません。
また、体を作り直す材料は、タンパク脂肪だけです。
脂肪制限、特に動物性脂肪の制限を声高に叫ばれていましたが、
これが間違いだったということは証明されています。
脂肪を制限すると、
脂肪1gで9kcal、タンパク糖質は1gで4kcalなので、
糖質が逆に増えてしまい、
かえって肥満、糖尿病につながります。
私は消化器外科医でした。
免疫の7割を担っている臓器が腸で、
食物繊維によって栄養される腸内細菌叢が免疫を賦活する物質、
免疫の暴走を抑制する物質を出してくれているので、
葉っぱ、根っこ、海藻、きのこ、豆、芋、くだものを
皮付きで食べれるものは皮付きでたべるように指導しています。
これらの食材はカリウムも多く含むので、
尿でナトリウム(塩)を排出させることになるので降圧作用もあること、
食物繊維が多いと水分を保持してくれるので、
便秘の改善にもつながるからと話しています