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2018年11月19日

健康な高齢者における無障害生存に対するアスピリンの効果 『無い!』

アスピリン3題小話-その1
健康な高齢者における無障害生存に対するアスピリンの効果
『無い!』

Effect of Aspirin on Disability-free Survival in the Healthy Elderly
J.J. McNeil and Others

背 景
高齢者の健康で自立した寿命を延ばす目的でのアスピリン(解熱鎮痛剤、少量投与すると血小板凝集を抑制し、血管狭窄部での血栓形成を邪魔する)の使用に関する情報は限られている.
毎日の低用量アスピリン療法を 5 年間行うことで,健康な高齢者の無障害生存期間が延長するかどうかは明らかではない.

方 法
2010〜14 年に,オーストラリアと米国の地域住民で,
年齢が 70 歳以上(米国では黒人とヒスパニックは 65 歳以上)で,
心血管疾患,認知症,身体障害のない人を登録した.

参加者を,アスピリン腸溶剤 100 mg/日を経口投与する群とプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けた.

主要評価項目は,死亡,認知症,持続性の身体障害の複合とした.この論文で報告する副次的評価項目は,主要評価項目の個々の項目や重大な出血などとした.

結 果
年齢中央値 74 歳の 19,114 人が登録され,うち 9,525 人がアスピリン群,9,589 人がプラセボ群に無作為に割り付けられた.

参加者の 56.4%が女性,8.7%が非白人であり,11.0%がアスピリンの常用歴があると報告した.

主要評価項目に関してアスピリン使用の継続による利益はないであろうという判定がなされた後に,追跡期間中央値 4.7 年の時点で,試験は中止された

死亡,認知症,持続性の身体障害の複合発生率は,アスピリン群 1,000 人年あたり 21.5 件,プラセボ群 1,000 人年あたり 21.2 件であった(ハザード比 1.01,95%信頼区間 [CI] 0.92〜1.11,P=0.79).

割り付けられた介入へのアドヒアランス率は,試験参加の最終年で,アスピリン群 62.1%,プラセボ群 64.1%であった.

アスピリン群とプラセボ群とで,副次的評価項目の全死因死亡(アスピリン群 1,000 人年あたり 12.7 件,プラセボ群 1,000 人年あたり 11.1 件),認知症,持続性の身体障害のそれぞれに関して有意差は認められなかった.

重大な出血の発生率はアスピリン群のほうがプラセボ群よりも高かった
(3.8% 対 2.8%,ハザード比 1.38,95% CI 1.18〜1.62,P<0.001).

結 論
健康な高齢者におけるアスピリンの使用は,プラセボと比較して,5 年の期間について無障害生存期間を延長させることはなく,重大な出血の発生率を上昇させた
(米国国立老化研究所ほかから研究助成を受けた.ASPREE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01038583)
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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