(掲載)令和3年12月 日
国土交通省は、建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果
の判定基準などの改訂について12月1日パブリックコメントを開始しました。
<改正概要 >
(1) 規則の一部改正
@ 建築確認申請時に必要な添付図書の明確化(規則第1条の3関係)
A 建築確認の様式の見直し(規則別記第2号様式及び第3号様式関係)
B 中間検査申請書及び完了検査申請書の見直し(規則別記第 19 号及び第 26 号様式関係)
C 建築物の計画の変更に係る建築確認を要しない軽微な変更の見直し(規則第3条の2関係)
D その他所要の改正
(2) 建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針の一部改正
(3) 建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件の一部改正
このうち、(3)の概要については、以下の通りです。
@ 屋外に設ける階段を木造とする場合における階段各部の劣化及び損傷の状況に関する調査方法及び判定基準を追加することとする。 ・・・2023年5月施行
A 外装仕上げ材等におけるタイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況の調査について、
無人航空機による赤外線調査等であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものによることができることとする。・・・2022年4月施行
建築基準法に基づく定期報告精度の改正
平成20年4月1日から建築基準法第12条に基づく定期報告制度について見直しが実施されました。特殊建築物等は竣工、外壁改修などから10年を経てから最初の特殊建築物定期報告調査時の際、及び10年毎の定期報告調査時に外壁タイルなどの『全面打診等』による浮きの調査が必要です。
赤外線調査が「特殊建築物定期調査」で対象に
『全面打診等』が現在では主に赤外線調査(赤外線法)を指しています。建物の外壁調査の方法には主に打診棒にて壁面を叩いた反響音や手の感触から浮きを判定する打診法が主流でしたが、ビルなどの外壁の全面を打診するとなると、どうしても足場組やゴンドラの設置、高所作業車からの打診が必要となり、診断にかかる費用を押し上る大きな要因となります。
特殊建築物定期調査での外壁調査で建物外壁タイルなどの浮きを赤外線カメラで撮影し、解析する赤外線調査(赤外線サーモグラフィ法)ですと、足場組やゴンドラ設置に要するコストが不要となりますので、調査費用(コスト)を大きく抑えることが可能となります。
Benefit.2
12条点検の調査結果で使用可能
特殊(特定)建築物は、物件の規模や用途によって10年毎に全面打診が義務化されています。
その際、全面打診では足場組やゴンドラ、ロープアクセスによる打診ではコストが膨大になるため、ドローンを使用した調査が注目されています。
打診の代わりとして、赤外線調査はOKであったものの、精度の問題(地上からの照射では、高さに限界がある等)であまり活用されていませんでした。
しかし、ドローンが登場したことによって、基本的にはどんな高さであっても水平に撮影する事ができるため、12条点検の調査結果として使用可能になりました。
Benefit.3
調査費用大幅カット
マンション等の大型物件の外壁点検をする際は足場やゴンドラを組まなければいけませんが、ドローン調査では必要ありません。
足場代は意外と高額なもので、建物の構造にもよりますが数百万円かかることもあります。
マンションやビルの赤外線調査は立地の関係で隣のビルから撮影しなければいけないケースもありましたが、ドローンを使えば問題なく調査が行えるのでコストの大幅な削減につながります。
修繕(大規模修繕)時の積算に活用
外壁修繕時(特に大規模修繕)、従来の積算は人が手の届く範囲や立入り可能なバルコニー内を打診したり、地上からの目視による積算が主でした。
しかし、建物全体を調査しない(できない)ため、修繕費用の積算と実数に大きな乖離があるケースもあります。
仮に、当初予定していた費用より上ぶれてしまった場合は、管理組合や修繕工事を手掛ける会社共に負担です。
積算時にドローンによる外壁調査を行う事で、従来では調査出来なかった箇所(妻面など)も可視・赤外線療法で調査できるため、建物全体の状況を把握した上で積算し、双方が納得した上で工事にも取り掛かれます。
また、調査時間も従来の1/4まで削減できるため、入居者の負担も軽減されます。
【費用(例)】・・・SKYESTATE株式会社
https://sky-estate.com/lp/Sr5sQdmH/可視カメラ+赤外線撮影 費用
1フライト 300,000円〜(税込330,000円〜)
機体:Matrice 210 RTK
カメラ:XT2、Z30
※別途費用 解析報告書作成費、交通費・宿泊費
(出典) e-Gov パブリック・コメント 2021/12/1
建築基準法施行規則の一部を改正する省令案等に関する意見募集について(参考) 国土交通省
新たな定期報告制度の施行について(平成28年6月1日から)