2019年03月11日
十把一絡げズ 第73回 「御成敗式目」
こんにちは、酒保です。
今回は御成敗式目についてやっていきましょう。
御成敗式目は、1232年(貞永元年)に北条泰時らによって定められました。
別名の「貞永式目」はこの元号からとってつけられた名前ですね。
51か条からなるその内容は、公家とは異なる武家社会の慣習や、源頼朝以来の裁判の判例などに基づくものでした。
よく出題される、「御成敗式目が定められた目的を書きなさい」という問題の回答としては、「裁判の基準とするため」というのが多いですね。とにかく、裁判に関連させて回答しなくてはになります。
さて、そもそもなぜ御成敗式目が制定されたのでしょうか。
六波羅探題の奉行をやっていた斎藤唯浄が著した「唯浄裏書本」によると、以下のような理由があったようです。
・あらかじめ裁判の決まりを定めて、当事者の地位が高いか低いかにかかわりなく、えこひいいきのない裁判が下されるようにしたかった。
・当時の法である律令は、武家や民間の中でそれについて知っている人は100人、1000人いて1、2人いるかいないかという状況だったため、いざ裁判となると律令に詳しい法曹官僚がえこひいきしてしまうことがあった。
・そのような状態であったことから、漢字が読めない人でもあらかじめ考え、判決もころころ変化しないように、式目を書き置いた。
こういった法律を制定した目的や理由が書かれているものを読むと、その法律が制定されたときの事情が想像できます。
裁判の基準を定めたということは、逆に言えば「それまでは裁判の基準がはっきりしていなかった」上に、「それによって、不満や問題が発生していた」環境であったことがわかるのです。
今から考えると不思議な法規はいろいろあります。しかし、そういった法規から当時の環境や状況を逆算して考えることは、歴史を学ぶ面白さだと思います。
それぞれの教科の面白さのほとんどは、教科書に書いていない部分や教科書のわきに書かれた部分だと私は思います。
みなさんも、ぜひ教科書よりも一歩進んだ面白さを追求してみてください。
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