2008年12月06日
日常よく診るヒステリーとは?
日常よく診るヒステリーとは?
ヒステリーとは情緒表現が過剰で人の関心を
引こうとする性格傾向を指したり、抑圧された無意識的な
心理的葛藤からさまざまな心身症状を生じさせる病態を指すなど、
人格障害、神経症症状、精神病様症状までを含んで
多義的に用いられてきた。
ヒステリーでは他人のいない所では、
このような症状が出ないのが決めてである。
昔のヒポクラテスの時代から知られており、
神経症研究のモデルとなった病態でもある。
WHOの疾病分類や米国精神医学会の分類では、
ヒステリーという診断名を用いずに、
解離性(転換性)障害と身体表現性障害の中に
精神疾患としてのヒステリーに相当する項目があり、
ヒステリー性格は演技性人格障害や
境界性人格障害の中にまとめられた。
転換ヒステリーとして、四肢麻痺や脱力、
体を弓なりに反らす痙攣発作であるヒステリー弓、
立位不能、歩行不能、失声、ヒステリー性の
舞踏運動などの運動障害がよくみられる。
外来で病歴不明のヒステリーがきたら、
取りあえず脳のCTは検査するが、いつも空振りである。
また、実に多いのが、咽頭部に球のようなものを感じる
ヒステリー球、ヒステリー性感覚消失、
視野狭窄、ヒステリー盲、
ヒステリー聾などの知覚や感覚障害を生じる。
解離症状としては、心因性健忘、心因性遁走、多重人格、
心因性もうろう状態などもある。
治療に当っては脳障害などの器質疾患との鑑別を行い、
精神療法、行動療法、薬物療法を併用する。