2008年09月09日
メタボ、倹約遺伝子、糖尿病とドラム缶型肥満とは?
メタボ、倹約遺伝子、糖尿病とドラム缶型肥満とは?
日本の糖尿病患者は今や、1000万人とも1500万人ともいわれ、
予備軍を入れると2000万人を超えるかも知れない。
中年以降に限ると3人に1人にも迫りそうである。
単純な肥満やメタボも糖尿病の危険因子だ。
肥満学会できめている肥満のタイプでヒップ周径より腹囲の方が多きい「リンゴ型肥満」が、糖尿病などになりやすく、ヒップが大きく、腹囲の細い「洋ナシ型肥満」は糖尿病にはならない。
日常外来で遭遇するのは、ウエストとヒップがほぼ等しい「ドラム缶型肥満」で、これは確実な糖尿病の危険因子だ。
糖尿病には大きく分けて、1型と2型がある。1型は膵臓にウイルスが感染して、1日から数日で高血糖のために昏睡に陥るタイプで、肥満とは無関係である。
私も医学部の階段教室で講義中に後ろの方で寝ている学生を注意したところ、ズル寝ではなく、1型糖尿病を発症し、昏睡前の状態と分かり、あわてて病院の救急外来に運んだ記憶がある。
メタボで発症するのは2型糖尿病だ。
2型糖尿病の発症機序は必ずしも単一ではない。
肥満だけなら、お相撲さんは、殆ど全員が糖尿病になるだろうが、糖尿病では相撲は取る元気はでない。
大麻やマリワナなら、一時的には元気になるかも知れないが、糖尿病の予防にはならないだろう。
普通の人が2型糖尿病になるには、いくつかの遺伝素因と環境要因が重なりあって、インスリン分泌が低下し、インスリン抵抗性あるいは、その両者を生じ、血糖が上昇するのだ。
インスリン抵抗性とはインスリンの血糖降下作用が鈍くなる病態だ。
一度、高血糖が生じると、高血糖そのものがインスリン分泌の低下とインスリン作用の低下を起こす。
これを糖毒性とよぶが、一度血糖が上昇すると糖毒性のために悪循環が生じ、慢性的高血糖状態が確立され、糖尿病が完成する。
最近、2型糖尿病が急増している理由として、倹約遺伝子と環境要因の急激な変化から説明されている。
つまり、飽食の時代になったのは、東京オリンピックの前後からで、人類はこれまで、第二次世界大戦に到るまでの長い歴史においてそのほとんどの期間を飢餓に苦しんできた。
この飢餓の時代においては、食物を得らる時に効率的に脂肪として蓄積できた人のみ生き残ってきたと考えられている。
すなわち、エネルギー効率のよい倹約遺伝子を持った人が生き残ってきたのだろう。
現代になって急激に環境が変化し、飽食の時代となり、例え5分でも車や電車を使い汗水して歩くことは激減した。
もともと倹約遺伝子を持っている現代人は、このような生活習慣の変化に伴い、エネルギーを過剰に摂取し、そのうえ摂取したエネルギーを効率よく体内に脂肪として蓄積することになる。
その結果インスリン抵抗性を容易に生じ、インスリンの過剰分泌で代償できる間は糖尿病を発症しないが、ある程度の期間の後には、膵臓のインスリン分泌細胞が疲弊し、糖尿病を発症するという考えられている。
ラクダのコブは食べられる時に食べて、脂肪として蓄積するらしいが、これは水不足の時にコブの脂肪から水分を作るためという話を聞いて納得した。
振り返ると、第二次大戦後は、糖尿病や痛風は王様の病気といわれたらしいが、今では糖尿病やメタボは、貧乏人の病気だ。
金持ちは、スポーツジムなどにも通う余裕があるし、時間を割いても、自ら検診やドックを受ける。
まさに、貧乏ヒマなしで、チョット時間があると、ビール片手にピーナッツなどとなりかねない。
最後に、果物とカキピーなどは、この遺伝子の大好物ですよ。
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