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2009年05月10日
サプリに効能はあるか?キトサンは?
元気印のこんちゃんの所にみんな集まってね





サプリに効能はあるか?キトサンは?


キトサンサプリとして宣伝され、他のサプリ同様にかなりの高値で売られている。

私は診察室でも、患者さんがキトサンを持ってきて、「病院の薬と一緒に服用してもよいか?」とよく聞かれます。

大概は、「キトサンと病院の薬を併用して効果を証明した臨床試験はないので、併用の有用性は不明です」と答えることにしている。

キトサンとは、カニやエビなあどの甲殻類の外殼を構成すろムコ多糖類の1種で、多糖類のキチンに由来するN-アセチルグルコサミンが部分的に脱アセチル化したポリマーだ。

動物実験では、キトサンが脂質が結合することにより、消化管における脂肪吸収を阻害することが報告されている。

また、体重や体脂肪を減少させ、血中コレステロール値を低下させたという報告もある。

こんな優れた薬効を人体実験で証明できれば、薬事審議委員会で承認され、開発製薬メーカーは巨万の冨を得るだろう。

事実、キトサンの人体実験はいくつも行われている。

キトサンの抗肥満作用を検証したメタ分析では、14個のランダム化比較試諸における合計1,131名の被験者(キトサン群594名、偽薬群537名)を対象として解析している。

その結果、偽薬群に比べて、キトサン投与群での有意な体重減少作用、総コレステロール値の有意な低下、中性脂肪値の有意な低下、有意な血圧低下作用を認めている。

ただし、便中の脂肪排泄量に関しては両一閲での有差はみられなかった。

また、副作用の発生頻度には両群間での差は認められなかった。

このメタ分析結果からは、キトサンによる抗肥満作用が示唆はされる。

しかし、メタ分析の対象となった臨床試験のうち、体重減少作用を顕著に認めた試験は比較的小規模であり臨床試験の方法にも改善の余地がある。

一方、比較的、質が高いと考えられる試験では、キトサンによる明確な体重減少作用は認められず、今後の研究が期待されている。

キトサンの抗肥満作用を検証した臨床試験では、1日あたり1〜3gのキトサンが食前に、4〜24週間にわたってえ投与されている。

また、低エネルギ一食との併用や生活習慣改善指導が行われた試験も多い。

これでは、キトサンが効いたのか、食餌療法が効果をあげたのか不明である。

一般に、キトサンは経口投与での許容性は高いと考えられており、適応となる病態に対して適切な品質の製品を用法、用量を守って使用する場合、現時点では副作用の報告はない。

このように薬物効果の明確なエビデンスがないが、日本では、キトサン含有食品が特定保健用食品としても認められている。

注目すべきは「キトサンはクスリではなく、食品あつかい」という点だ。

キトサンは、他のサプリと同様に薬品ではなく、食品だから、コンビニやスーパーでも販売可能なのだ。

クスリは薬剤師のいる薬局薬店でないと販売できない。

具体的には,「本品は、コレステロールの吸収を抑え、血中コレステロールを低下させる働きのあるキトサンを配合しています。

コレステロール値が高めの方や気になる方の食生活の改善に役立ちます。」といった表示が許可されている。

臨床試験で効果不明のものに、いかにも効能があるように表示するサプリもあるから、要注意だ。

ただし、現時点ではキトサンと医師が処方する医薬品との相互作用による副作用は報告されていない。

そうは言っても、キトサン体重減少作用、高脂血症改善作用、高血圧改善作用を持つ可能性があるため、理論的には、同様の効果を持つ医薬品との併用によって相加作用または相乗作用を生じる可能性は否定できない。

なので、該当する医薬品との併用には念のために注意する。

なお、ヒト臨床試験では、便中の脂肪排泄量に対する影響は示されていないことから、キトサン摂取が脂溶性ビタミン類などの吸収過程において有意な作用を示すとは考えにくい。

肥満薬、高血圧治療薬、高脂話血症治療薬との併用は念のため慎重に行うべきであろう。

今でも、キトサンの薬理作用や臨床応用については、多数の論文がみられる。

下記は、最近の米国のキトサン論文の一つである。

Cato T. Laurencin, Tao Jiang, Sangamesh G. Kumbar, Lakshmi S. Nair:Biologically Active Chitosan Systems for Tissue Engineering and Regenerative Medicine pp.354-364 (11),2008





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