2009年05月04日
アルコール離脱症候群とは?
アルコール離脱症候群とは?
アルコール離脱症候群は、アルコールの身体依存が形成されている場合に、
何らかの理由(自発的禁酒や身体疾患による入院など)で、
飲酒を急に中断した場合に出現する。
アルコール離脱症候群は早期離脱症候群(小離脱)と、
後期離脱症候群(大離脱)に分類される。
早期離脱症候群は離脱後20時間ころをピークに出現し、不安、
抑うつ、一過性の幻覚などの精神症状や振戦(ふるえ)などの
神経症状、動悸、発汗などの自律神経症状がみられる。
後期離脱症候群は離脱後3〜4日に出現し、粗大な振戦、幻覚、
精神運動興奮、意識変容、多様な自律神経症状などがある。
粗大な振戦(ふるえ)を伴う、せん妄状態は振戦せん妄とも呼ばれる。
幻覚については幻視、特に小動物幻視が多く、
患者が幻の動物や虫を振り払ったり逃げようとしたりすることがある。
後期離脱症候群は通常、離脱後7日程度で軽快するが、
重篤な場合にはウェルニッケ脳症に移行したり、
循環障害などを合併したりして死ぬこともある。
アルコール離脱症候群の治療では、自律神経症状や振戦(ふるえ)などの
症状の出現抑制や軽減にアルコールと交差耐性を持つ
精神安定剤の注射が有効だ。
通常、比較的高用量の薬剤を投与し、状態をみながら漸減しつつ中止する。
幻覚を中心とする精神病症状が出現している場合には、
強力な抗精神病薬を投与する。
このような処置をしても著しい幻覚や興奮が持続する場合には、
精神科医の診療が必要だ。