2008年12月10日
職場不適応症とは?
職場不適応症とは?
最近はテクノストレス、ワーキングプアー、解雇、
会社の倒産による再就職などのためか、職場不適応症が増加している。
子供では登校拒否に相当するだろう。
職場不適応症とは、職場環境の心理的ストレスに関連して生じた,
適応障害の総称だ。
個人の性格や能力と職場環境の諸条件(仕事の内容、
仕事量、人間関係など)が適合しないために、
さまざまな心身の不調を生じてくるものだ。
なので、これは昔からあったが、転勤や昇進、過労、新規の業務体制の導入、
人間関係の変化などが発病のきっかけとなる。
多くの人は環境変化が生じてから1〜6ケ月後に発症するが、
新入社員では入社2年後位に顕在化してくることが多い。
その症状の中心は、軽症〜中等症の不安抑うつ状態が就業に,
関連してみられる点だ。
典型的な例では、「朝起きられない」、「出勤前になると動悸、冷汗、
体がこわばる、足がしびれる」等々、出勤時になると不安、緊張、
焦燥感がみられ、やがて遅刻や無断欠勤、
出社拒否へと発展することが多い。
「週末は気分がよいが、月曜の朝はとても憂うつな気分になる」、
「仕事以外の趣味なら熱中できる」というように抑うつ状態は、
部分的なのが特徴的だ。
精神科では、大部分がうつ病と診断されている。
その他に、全般性不安障害、パニック障害、アルコール依存症、
双極性障害(躁うつ病)、統合失調症(精神分裂病)等の
精神障害が合併している例もある。
最初は軽症うつ病であっても、適切な対応をしないと、
遷延・重症化することがある。
さらには、自殺に至る例もあるので、決して軽視すべきではない。
ゆとりのある会社では自社の診療所や医務室にパートの
精神科医をおいていることもある。
患者に対する対応は、うつ病の治療に準じるが、
同時に職場の上司や同僚、人事担当者とも対策を話し合うのが大切だ。
職場の健康管理室担当者や産業医とも協力してなるべく、
早期に対応するのがよい。
軽症なら、まず過剰なストレスに暴露されていることを指摘して、
仕事を含めた自身のライフスタイルを点検させる。
この時点で専門のカウンセラー、あるいは医師を紹介してもよい。
より重症の者では、休職と薬物療法を始めるべきだ。
この場合大切なのは、休職による不利益を被らぬよう配慮することだ。
休養している内に、身体的な疲労感や抑うつ感はかなり改善されても、
いざ復職しようとすると再び不安になる例が多い。
その場合の対応は事例により異なるが、
医師や関係者は復職を唯一の治療目標と考えないで、
柔軟な発想ができるほうがよい。
事実、転職でスッカリ元気になったプログラマーを何人も診療した。
職場不適応症は、職場での早期発見が重要だ。
職場不適応症が発生した場合、職場側の要因についても、
十分な検討をする必要がある。
復職の際は、できるだけ試験的な復職期間を設けるのがよい。