2008年07月05日
強迫神経症−症状と診断
強迫神経症−症状と診断:
強迫神経症ぎみの患者はよく診るが、典型的な
強迫神経症は、うつ病に較べたら、
それ程はいない。
強迫神経症はれっきとした精神病で、精神療法や
薬物療法の対象になる。
強迫神経症は単なる変人でも人格異常でもない。
未治療の強迫神経症患者の特徴は下記のようなものだ。
1)強迫性障害は、いつも同じ考えが繰り返し浮かんできて、
それを繰り返して実行しないといられなくなる病気だ。
2)繰り返し同じ考えが浮かぶことを強迫観念、
繰り返し同じ行為を行うことを強迫行為という。
3)症状は、手などが綺麗に洗えたと思えず何度も手を洗う、鍵
を閉め忘れたのではないかと何度も戸締まりを確認する行為、
ガス台の火の消し忘れがなかったかどうかを確認する行為などが多い。
健康人でも、これだけなら、たまにはある。
強迫神経症では、数字や行為の順番にこだわり、
間違えると何度でも最初からやり直す患者もいる。
4)患者は常に自分の行う強迫行為を無駄な行為と考え、
止めようと努力している。
しかし、あまりにも、この考えが強く浮かぶので、
いくら辛くてもその行為を繰り返さないといられない状態が続いている。
5)症状は治療を受ける日まで、きまって毎日のように起こり、
数ケ月〜数年間続いている。
重要な診断上の要点:
1)頭部のCTやMRI検査を行い、脳の器質性疾患を除外すること。
2)何度も手を洗う行為、戸締まりを確認する行為、
火の元を確認する行為などの繰り返す確認行為に苦しむ
患者が受診したときには強迫性障害を疑う。
3)これらの症状が毎日続き、日常生活に支障をきたしている場合には、
強迫性障害である可能性が大きい。
4)患者が、自分の考えや行為を無駄な行為であると考え、
苦痛を訴えている場合は、強迫性障害の可能性がさらに高まる。
5)繰り返している行為に患者白身が全く気付いていなかったり、
家族が注意しても、その行為を不自然と感じていない場合には、
強迫性障害以外の精神病である可能性が高い。
6)強迫観念と強迫行為は、
うつ病や統合失調症などの
疾患でも現れる例がある。
うつ病であれぱ抑うつ気分や意欲の低下が、
統合失調症では幻覚や
妄想が認められることが多い。
これらの症状が加わっている場合には、強迫性璋害とは診断しない。
7)幻覚、妄想、恐怖などを訴える
患者や、強迫観念と強迫行為を
不自然と感じていない患者の場合には、精神科の専門医を紹介した方がよい。
8)自殺を考えていたり、自殺企図のある患者は精神症状が重く、
強迫神経症ではなく、うつ病の可能性が高いので、
精神科の専門医に紹介する。
初診時に適切な治療を開始しないと自殺の危険性が高い。