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2024年08月19日
【怖い話】 嘘つきで有名なやつ
今はもうお互いに引っ越してしまって会うこともないが、
アパートの隣の部屋に嘘つきで有名なやつが住んでいた。
飲み屋なんかでいろんな話をする、おしゃべりなやつ。
話の内容はだいたいが眉唾もので、それで嘘つきで有名になった。
そいつがこんな話をしていた。
臨死体験ってあるだろ。体験者の話がいろんなとこで発表されてる。
でもな、あれはみんなでたらめなんだ。
天国と地獄あれはほんとにあってな、
人間死ぬとどちらかに行くことになる。
死んだときにどちらに行くかは決まっていて、
死ぬと案内人みたいなのがいて天国行きか地獄行きかを教えてくれるんだ。
たまに、まだ死ななくても大丈夫なやつがいて、
そういうやつには案内人がこう聞くんだ。
“あなたは今死ねば天国に行けます。
ただし、生き返ることもできます。どうしますか?”
ちなみに地獄行きのやつは生き返ることはできないんだって。
それで、ほとんどのやつは生き返るほうを選ぶそうだ。
けどな、生き返るには条件があってな、
ここであった事を現世で話してはいけないんだって。
話したら地獄行き。
だから生き返った場合はほんとのことを言っちゃだめ。
こうやってほんとのことを言ってる俺は100パー地獄行きだけどな。
うひゃはははは!
死ぬまで秘密にするのも難しいよな。
だからそんなときはどう言えばいいか
をその案内人が教えてくれる。
それが生き返ったやつが言う臨死体験の内容なんだ。
条件飲んで生き返る手続きが終わると案内人が現世に送ってくれる。
その途中で案内人がこう言うんだ。
“。生き返るほうを選ばなければ天国にいけたのにね。
実はね、あんまり大勢天国にきてもらっちゃ困るんでね、
こういう事をするんですよ。
人間長生きすればたいがい地獄行きになるようなことをしますからね。
じゃ、あなたは次に死んだときにも天国にいけるようがんばってね。”
だから誰もほんとのことは言わない。
だって言ったら自分は地獄行き、聞いたやつは天国だ。
でもな、それって自分だけが助かりたいってことじゃねーか。
そう思った時点で地獄行き決定だと思わねーか?
どっちにしても生き返ることを選んだ時点で地獄行きさ。
【怖い話】 踏み入るべきではない場所
私がまだ小学校低学年の幼い子供だったころに、
趣味で怖い話を作っては、家族や友達に聞かせていました。
「僕が考えた怖い話なんだけど、聞いてよ」と、
きちんと前置きをしてからです。
特にじぃちゃんが、私の話を喜んで聞いてくれました。
私はそれがとても嬉しかったんです。
熱心に聞いてくれるのと同時に、こわがってくれたから。
そんな折、私の作った話が、クラスの中で流行りだしました。
放課後の男子トイレで、個室を叩くとノックが返ってくる。
といったありがちな話です。
クラスの女子の間であっという間に流行り、
噂は学年中、学校中へと広まりました。
「男子トイレの前で、手招きする男の子を見た」
とか言い出す女子も出てきていて、
私がやっとその噂を知って、
「僕の作り話だってば」
と言ってもきかず、
その後もまことしやかに囁かれ続けました。
ついには、そこで肝試しを始めるグループまで現れてしまいました。
その肝試しでしたが、なにも起きるわけがないのに、
グループの子供が皆、「ノックの音が返ってきた」と言うんです。
大変な騒ぎでした。
そんなワケないだろ!?と思って、
作り話だということをアピールしようとしたのですが、
当時の私は、皆に冷たくされるのが怖くて言い出せませんでした。
そのうち私は、
自分の話が本当になってしまったのではないか、
と思うようになり、すごく恐くなって、
自作の怖い話をすることをやめました。
その騒動があってからしばらくして、
じぃちゃんが怖い話をしなくなった私に、
「もう怖い話しないのかい」と聞いてきました。
私はもう泣きじゃくりながら、
その話をじぃちゃんにしたんです。
「ほうかほうか」とやさしく聞きながら、
こんなことを話してくれました。
「それはな、みんなが坊の話を本当に怖いと思ったんだ。
坊の話をきっかけにして、
みんなが勝手に怖いものを創っちゃったんだよ。
怖い話を作って楽しむのはいいけど、
それが広まって、よりおそろしく加工されたり、
より危険なお話を創られてしまうようになると、
いつの日か『それ』を知った、
ワシらの目には見えない存在が、『それ』の姿に化けて、
本当に現れてしまうようになるのかもな。
目に見えるものではなく、心のなかにね。
『おそれ』はヒトも獣も変わらず持つもの。
『おそれ』は見えないものも見えるようにしてしまう。
本能だからね。
だから恥ずかしくないから、
怖いものは強がらずにちゃんと怖がりなさい。
そして、決して近寄らないようにしなさい。
そうすれば、本当に酷い目にあうことはないよ」
私は、じぃちゃんも何かそんな体験をしたのかと思って、
「じぃちゃんも怖い思いをしたの?」と聞きました。
すると、予期しなかったじぃちゃんの怖い話が始まったのです。
「昔じぃちゃんは、坊の知らない、
すごく遠くのお山の中の村に住んでいたんだよ。
そこで、じぃちゃんの友達と一緒に、
お山に肝試しに行ったことがあるんだ。
そうだね、じぃちゃんが今でいう、高校生ぐらいのころかな。
お地蔵さんがいっぱい並んでいたけど、
友達もいるし全然怖くなかった。
でも、帰り道にじぃちゃんの友達が、
お地蔵さんを端から全部倒し始めたんだ。
『全然怖くない、つまらない』って言ってね。
じぃちゃんはそこで始めて、
その場所に居るのが怖くなったよ。
なんだか、お地蔵さんに睨まれた気がしてね。
友達を置いて、さっさと逃げてきちゃったんだよ。
そうしたら、その友達はどうしたと思う?」
「死んじゃったの?」
「ううん、それが、何も起こらないで普通に帰ってきたんだよ。
でもじぃちゃんは、もうそれからオバケが怖くなって、
友達と肝試しに行くのを一切やめたんだ。
その友達は、その後も何度も何度も肝試しといっては、
ありがたい神社に忍び込んだり、お墓をうろうろしたり、
お地蔵さんにイタズラしたり、色々するようになってね。
周りの人からは呆れられて、相手にされなくなっていったよ。
人の気をひくために、
『天狗を見た』なんていうようになってしまった。
じぃちゃんに、
『見てろ、噂を広めてやる』なんて言って笑っていたよ」
「そしてある日、ふっと居なくなったんだ。
じぃちゃんもみんなと色々と探したんだよ。
そしたら…山の中の高い木のふもとで、友達は死んでた。
木の幹には、足掛けに削った跡がてんてんと付いていてね。
友達は自分で木に上って、足を滑らせて落ちたんだ。
ばかなやつだよ。
坊、世の中には、人が入ってはいけない場所っていうのがあるんだ。
それは怖い場所だ。
坊だったら、タンスの上もその場所だよ。
落ちるのは怖いだろ。そういうことだよ。
じぃちゃんの友達には、
怖い場所が見分けられなかったんだ」
「怖いね。ばちがあたったのかな」
「いいや、怖いのはここからさ。
友達が死んでから、村の中のひとたちが次々に、
『天狗を見た』って言い出したんだ。
じぃちゃんは、『あれは友達のでまかせだ』と言ったんだけどね。
『友達が天狗の怒りに触れた』『祟りだ』『呪いだ』と、
皆は自分達でどんどん不安をあおっていった。
夜通しで見張りの火まで焚いたんだ。
皆が顔をあわせるたびに天狗の話をするので、
村の中がじめじめしていた」
「そんな時に限って具合が悪くてね、
村の中でケガをするのが4件続いたんだよ。
どうってこともない、ねんざまで数に数えられてね。
どう見てもあれは、皆おかしくなってた。
さらに噂に尾ひれがついて、
『天狗に生贄を出さなくては皆殺される』
とまで酷い話になっていた。
そしてついに、
本当に生贄を出そうという話をするようになったんだ。
友達が死んだのは、木から足を滑らせて落ちたからなのに、
完全に天狗のせいになってた。
村の中の皆も、
人が入ってはいけないところに踏み入ろうとしていた。
それはね、人の命だよ。
誰にもそれを奪う権利なんてないだろうに。
じぃちゃんはね、天狗よりも、
村の中の皆がすごく怖かったんだよ。
だからね、じぃちゃんは、その村から逃げてきたんだ…」
じぃちゃんのこの話は、
その後もねだって2度程聞かせてもらいましたが、
「絶対に内緒だぞ」と言われ、
両親の居るところでは決して話しませんでした。
でも、今でも私の家には父方の実家はありません。
「農家の次男のじぃちゃんが、
庄屋の娘のばぁちゃんと駆け落ちしてきたからだよ」
と、私の両親からはそう聞いています。
じぃちゃんが私に、
自作の怖い話を聞かせてくれたのかとも思いましたが、
多分違います。
その長い話が終わった時、じぃちゃんは大粒の涙をぼとぼと、
私の小さな手の甲に落としたのですから。
今も思い出して涙腺が緩みました。
同窓会の案内【怖い話】
僕が今年の夏に経験した話です。
今年の夏、田舎に帰るかどしようか迷っていた頃、
ヨッシーから電話がありました。
『何年も戻ってないけど、どうしてるんだ?
今年の同窓会には参加しないのか?
今年は盛大にやるから、先生たちも同級生も、
ほとんどみんな出てくるんだ。
幹事のミエも、お前に連絡がつかないとぼやいていたぞ。
電話してやってくれ』
そんな内容だった。
ミエの電話番号を聞いて、彼女に連絡して、
今年の同窓会に出席することにした。
同窓会に出席すると、同級生や先生達の懐かしい顔があった。
25年目ぶりなので、
ほとんど顔と名前が一致しなくてみんなに怒られたり、
あきれられたり、
「相変わらず失礼なやつだなぁ」
と、仲の良かった先生にも笑われた。
しかし、その中にヨッシーはいなかった。
幹事にそのことを聞くと、
「ヨッシーって誰?」
と聞き返された。
確かにそのあだ名と顔は思いされるのだが、
名前は苗字も下の名前も思い出せなかった。
他の誰に聞いてもわからなかった。
そして、僕に電話をかけた人間は誰もいなかった。
幹事のミエもそういえば、
「他のみんなにはハガキで出席の確認を取っていたので、
自宅の電話番号しか教えていないのに、
あなただけ携帯に直接かけてきたのはビックリした」
と言っていた。
その場の空気が悪くなりそうだったので、
それ以上話を広げなかったが、誰も嘘を言っている感じではなかった。
2次会でまたそのことが話題になった。
誰もヨッシーを思い出せなかったし、後輩や両親、
兄貴にまで電話をかけてみたけど、誰も知らなかった。
僕に同窓会を教えてくれた友人は誰もいなかった。
ただ、母親がヨッシーらしき友人を覚えていた。
前に一度、汚れた古本を「誕生日のプレゼントだ」と言って
持って帰ってきたことがあった。
あんまり熱心に読んでいるので、捨てろとは言い出せなかったが、
プレゼントにゴミ箱から拾ってきたようなものを渡すとは、
へんな友達だなぁと思ったので良く覚えている、
との話だった。
タニグチが
「リダイヤルか何か残ってないか?」
と聞いてきた。
携帯の着信は10件保存されるので、
あまり使っていない僕の携帯には、
彼の電話番号が残っていても可笑しくはない。
調べてみると、確かにそれらしい番号があった。
リダイヤルを押すと突然、
扉の向こうで携帯の着信音らしきものが鳴り出した。
すぐに友人の何人かが扉を開けたが誰もいなかった。
その瞬間、僕の携帯の電池が切れてしまった。
(それ以来壊れてしまった)
みんな怖くなって、2次会は早々に切り上げることになった。
そして先日、ヨッシーからのメールが届いた。
『そのうち、そっちに遊びに行くから、その時は泊めてくれよな。』
と書かれてあった。
返事はまだ書いていない。