2024年04月20日
【短編怪談】ヒサルキ 【洒落怖・都市伝説】
最近、保育園で保母さんをやってる友達に聞いた話。
その子が行ってる保育園ってお寺がやってるとこで、
すぐ近くにお墓があったりする。
お墓に子供が入っていたずらしないように、
周りに柵がしてあるんだけど、
柵の杭の尖った先っちょに、
虫やトカゲなんかが
串刺しになってることが良くあるらしい。
園児のイタズラかもしれないけど、
お寺も兼ねてる保育園だから、
けっこう人の出入りは多くて、
広場で小学生なんかがしょっちゅう遊んでるから、
誰がやってるのかわからない。
まぁ、鳥のせいかもしれないし〜って感じで、
誰もたいして気にはしてなかった。
ところがある日、
その柵にモグラが刺さっていた。
さすがに哺乳類はグロいんで、
すぐに園長先生(=寺のお坊さん)が片づけてくれた。
で、しばらくすると、今度はネコが突き刺さってた。
これはさすがに酷かったんで、
保母さんやお坊さんが集まって、
誰の仕業か?どうしたらいいのか?って話をした。
でも、犯人はわからないし、
再発防止の名案も出なかった。
結局、どーするんだろうね〜ってムードで
ダラダラと時が過ぎたある日、ウサギが突き刺さってた。
保育園で飼っていたウサギだった。
これは友達が見つけたらしい。
早朝にお坊さんがお墓の掃除に行った時には無かったのに。
その日はたまたま友達より早く来ていた子供がいたんで、
その子に「何か見た?」って聞いてみた。
その子は一言、「ヒサルキだよ」って言った。
「ヒサルキってなあに?」と聞いても、
上手く説明できないみたいだった。
あとで、ほかの子にヒサルキの事を聞いてみた。
みんな知っていた。
でも、誰もヒサルキがどんなモノなのか説明できなかった。
子供達はウサギが死んだのを、
あまりかわいそうだと思っていないようだった。
何となく、しょうがない、みたいな感じで醒めていた。
変だと思ったのは、
ヒサルキのことは、
園児の親も知らなかったこと。
子供がそんな言葉を使っているところも、
誰一人覚えていなかった。
テレビや本のキャラでもなかった。
すると保母さんの一人が、
「昔そんな名前の絵を見たことがある」
と言い出した。
子供が描いた絵は返してあげるので、
保育園には残っていない。
ただ、絵を描いた子がその保母さんの
近所の子だったので、名前を覚えていた。
「その子に聞いたら・・・」と友達が言うと、
その保母さんは「引っ越した」と答えた。
そして、
「その引っ越しが変だったんで、覚えてる」
とも言った。
なんでも、挨拶もなく急に引っ越していったらしい。
さらに不思議だったのは、
引っ越す時にチラッと見たらしいんだけど、
その絵を描いた子が、
両目に眼帯をして車の中に座っていたんだって。
それで、どこへ行ったのかはわからずじまい。
それからニワトリが串刺しになったのが最後で、
ヒサルキ騒動は終了。
結局、犯人もヒサルキの正体もわからずじまい。
前みたいに虫なんかは突き刺さってるみたいだけど。
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