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2017年12月25日
さようならマギ!最終巻 37巻の感想 ※ネタバレ
始まりがあればいつか終わりがある・・・。
それはこの世の全てに共通する理(ことわり)です。
マギも勿論例外ではありません。
遂に最終巻を迎えました!といっても37巻。最近の漫画の中ではむしろ短い方かもしれません。
でもそれもマギらしい。
という訳で最終巻の感想を書きたいと思います。思い出を噛み締めながら・・・
37巻はアリババの大ピンチから始まります。
金属器使い、眷属、軍隊に囲まれて孤軍奮闘のアリババ。
体力を、身体を、魔力(マゴイ)を振り絞り、削りながら必死に戦う相手はあくまでも「世界をルフに還す魔法」。
聖宮の使者のみと戦うアリババ。
「お前らを絶対にルフには還さねぇ!!」という信念を貫き、ひたすら戦い抜こうしていきます。
その戦いの最中、第361夜でグッと来たシーンがありました。
世界中を敵に回しながら、それでもひたすらに皆を救おうとするアリババの戦う姿に、紅玉が、一兵士が、ムー・アキレウスが、皆がかつての自分の「大事なものを守るために戦った姿」とを重ね、圧倒されるシーンです。
「なぜ戦うの!?それでも必死で戦う理由は!?」と紅玉が心を揺さぶられるなか、なぜかアリババの戦い抜く姿が自分の記憶に重なっていくんです。
それは紅玉だけではありません。他の金属器使いやその眷属、更には、戦いを見守る一人一人の兵士が同じ思いになっていきます。
アリババの背後に、
「煌帝国のために・・・」
「煌帝国のために・・・!!」
とかつて闘っていた自分たちの姿を重ねていくシーンは圧巻です。
物語を読んでいる私の脳裏にも、これまでの戦いが走馬灯のようによみがえってきます。
マギを読みながら私は、
「そうだ。皆、自分の大事なものを守るために戦ってきたんだよな。
そして今アリババは皆を守るために戦っている。
たとえ世界中が敵に回ろうとも、アリババは、その世界中を守ると決めたんだ。
それがアリババの決意なんだ・・・!!」
そう思うと、涙が溢れ出してきました。
アリババの戦う姿は、ルフに縛られた皆の心を大きくそして激しく揺さぶり、ルフの鎖を引き千切らんばかりの勢いでした。
しかし強化した聖宮の力は呆気なく皆の心を縛り直すのです。
もう完全に大ピンチ!というところで突然出てくる紅炎。
金属器使い全員にフェニクスの調定をかけるというおまけ付きで登場します。
敵の能力を無力化したと思ったら、煌帝国の面々を「フザけるな!!」と一喝してたちまちに籠絡してしまう。
さっきまでのアリババの戦いは何だったんだ!?と思うような拍子抜け振りで、一気に話を自分のところに持っていってしまいました。
なんか張り詰めていた緊張感も霧散してしまったような・・・。
いやあ、おいしすぎますよ紅炎さん。
もうちょっとアリババを褒めてあげてください・・・。
色々ありましたが(この辺は書くと長くなるのではしょります)、聖宮でのシンドバッドとダビデ、アラジンの戦いも終局を迎えます。
シンドバッドは「世界を救うために金属器の力を唯一の王に集約してくれ」と提案しましたがアリババにあっさりと断られ、それでもどこか嬉しそうな表情を浮かべていました。
アラジンが言うように、きっとアリババがそう言うことを分かっていたのでしょう。
マギシステム、ジン、金属器というこれまで世界のバランスを保ってきたシステムと袂を分かつことをアリババは決め、その思いは聖宮の力を借りて世界中に伝播し、一体となって「世界をルフに還す魔法」と最後の戦いを仕掛けました。
しかしルフを大量に世界から獲得したダビデは強い。
シンドバッドはダビデの力の前に盾となってその姿を消します。
皆の力が尽きようかというその時、アラジンはウーゴや両親(ソロモンにシバ)の手助けを得てダビデの眉間を穿ちました。
次の瞬間世界が真っ白に染まり・・・
というところで、最終話に進みました。
最終夜「願い事」は、後日談といった感じで話が進みます。
戦いから2ヶ月が過ぎた世界は景色も人の生活も、がらっと変わった新世界。
マギシステムも金属器も無くなった世界。
でも魔法はそのまま存在しているようです。「次元をつなぐ魔法を研究している」という台詞がありましたから。魔法は「世界の理」として、物理法則みたいな扱いということなんでしょう。
今までの戦いや葛藤やそんなものが全て無くなった世界。
ということで、これで話は終わりです!
・・・何それ?
今までの戦いは何だったの?
ルフの統一化は?次元を超える対話は?シンドバッドは何処に行ったの??
この急激な話の大展開と、色々な謎を残したまま(ほっぽりだしたまま?)1話で終わらせてしまうやり方は、まさかの「打ち切りでは?」という疑念も生じてしまうかもしれません。
あるいは「伏線を張るだけ張っといて、全部を投げ捨ててしまったのかよ!」と怒ってしまうかもしれません。
・・・というように感じてしまうところもあるかもしれませんが、私はそうは思いませんでした。
なぜならこの「マギ」は、
・アリババが苦悩と戦いの中で「自分の決意」を探す旅。
・ルフシステムの申し子であるアラジンが「自分の意志」を探す旅。
ということが物語の核だからと受け取ったからです。
更にそれはアリババ、アラジンだけではありません。
白龍やジュダル、シンドバッドもそうでした。
運命に翻弄されながら、その中で自分の決意と意志を見付けていきました。
その意味では物語はシンドバッドとの聖宮での戦いのシーンでクライマックスを迎えていたと思います。
最終話はクライマックス後のおまけエピソードと、あともう一つ、アリババの結婚シーンを披露しておかないといけない宿題を終わらせたというような意味なんだと思います。
これからも彼らの世界の物語は続き、その中でまた苦悩や戦いが生じるのでしょう。
そうして生きて行く。
それはとても素晴らしいことで、そしてアリババ達が強く願った事でもあります。
とにかく「マギ」は37巻で終わりました。
短いようで長い旅だったなあと思います。
ということで、私の単行本の感想を書くという旅も一旦は終わります。
でもマギには紹介しきれていない魅力が一杯あります。
今後は、マギの好きなエピソードや、人物考察など、マギの世界をどんどん深めていくような記事を書いていきたいと思います。
長文を読んでいただきありがとうございました!
それはこの世の全てに共通する理(ことわり)です。
マギも勿論例外ではありません。
遂に最終巻を迎えました!といっても37巻。最近の漫画の中ではむしろ短い方かもしれません。
でもそれもマギらしい。
という訳で最終巻の感想を書きたいと思います。思い出を噛み締めながら・・・
アリババの覚悟と壮絶な戦い
37巻はアリババの大ピンチから始まります。
金属器使い、眷属、軍隊に囲まれて孤軍奮闘のアリババ。
体力を、身体を、魔力(マゴイ)を振り絞り、削りながら必死に戦う相手はあくまでも「世界をルフに還す魔法」。
聖宮の使者のみと戦うアリババ。
「お前らを絶対にルフには還さねぇ!!」という信念を貫き、ひたすら戦い抜こうしていきます。
その戦いの最中、第361夜でグッと来たシーンがありました。
世界中を敵に回しながら、それでもひたすらに皆を救おうとするアリババの戦う姿に、紅玉が、一兵士が、ムー・アキレウスが、皆がかつての自分の「大事なものを守るために戦った姿」とを重ね、圧倒されるシーンです。
「なぜ戦うの!?それでも必死で戦う理由は!?」と紅玉が心を揺さぶられるなか、なぜかアリババの戦い抜く姿が自分の記憶に重なっていくんです。
それは紅玉だけではありません。他の金属器使いやその眷属、更には、戦いを見守る一人一人の兵士が同じ思いになっていきます。
アリババの背後に、
「煌帝国のために・・・」
「煌帝国のために・・・!!」
とかつて闘っていた自分たちの姿を重ねていくシーンは圧巻です。
物語を読んでいる私の脳裏にも、これまでの戦いが走馬灯のようによみがえってきます。
マギを読みながら私は、
「そうだ。皆、自分の大事なものを守るために戦ってきたんだよな。
そして今アリババは皆を守るために戦っている。
たとえ世界中が敵に回ろうとも、アリババは、その世界中を守ると決めたんだ。
それがアリババの決意なんだ・・・!!」
そう思うと、涙が溢れ出してきました。
アリババの戦う姿は、ルフに縛られた皆の心を大きくそして激しく揺さぶり、ルフの鎖を引き千切らんばかりの勢いでした。
しかし強化した聖宮の力は呆気なく皆の心を縛り直すのです。
おいしいところを持っていく紅炎
もう完全に大ピンチ!というところで突然出てくる紅炎。
金属器使い全員にフェニクスの調定をかけるというおまけ付きで登場します。
敵の能力を無力化したと思ったら、煌帝国の面々を「フザけるな!!」と一喝してたちまちに籠絡してしまう。
さっきまでのアリババの戦いは何だったんだ!?と思うような拍子抜け振りで、一気に話を自分のところに持っていってしまいました。
なんか張り詰めていた緊張感も霧散してしまったような・・・。
いやあ、おいしすぎますよ紅炎さん。
もうちょっとアリババを褒めてあげてください・・・。
聖宮の戦いは終わりを告げる。そして・・・
色々ありましたが(この辺は書くと長くなるのではしょります)、聖宮でのシンドバッドとダビデ、アラジンの戦いも終局を迎えます。
シンドバッドは「世界を救うために金属器の力を唯一の王に集約してくれ」と提案しましたがアリババにあっさりと断られ、それでもどこか嬉しそうな表情を浮かべていました。
アラジンが言うように、きっとアリババがそう言うことを分かっていたのでしょう。
マギシステム、ジン、金属器というこれまで世界のバランスを保ってきたシステムと袂を分かつことをアリババは決め、その思いは聖宮の力を借りて世界中に伝播し、一体となって「世界をルフに還す魔法」と最後の戦いを仕掛けました。
しかしルフを大量に世界から獲得したダビデは強い。
シンドバッドはダビデの力の前に盾となってその姿を消します。
皆の力が尽きようかというその時、アラジンはウーゴや両親(ソロモンにシバ)の手助けを得てダビデの眉間を穿ちました。
次の瞬間世界が真っ白に染まり・・・
というところで、最終話に進みました。
全てが変わった新しい世界
最終夜「願い事」は、後日談といった感じで話が進みます。
戦いから2ヶ月が過ぎた世界は景色も人の生活も、がらっと変わった新世界。
マギシステムも金属器も無くなった世界。
でも魔法はそのまま存在しているようです。「次元をつなぐ魔法を研究している」という台詞がありましたから。魔法は「世界の理」として、物理法則みたいな扱いということなんでしょう。
今までの戦いや葛藤やそんなものが全て無くなった世界。
ということで、これで話は終わりです!
・・・何それ?
今までの戦いは何だったの?
ルフの統一化は?次元を超える対話は?シンドバッドは何処に行ったの??
この急激な話の大展開と、色々な謎を残したまま(ほっぽりだしたまま?)1話で終わらせてしまうやり方は、まさかの「打ち切りでは?」という疑念も生じてしまうかもしれません。
あるいは「伏線を張るだけ張っといて、全部を投げ捨ててしまったのかよ!」と怒ってしまうかもしれません。
・・・というように感じてしまうところもあるかもしれませんが、私はそうは思いませんでした。
なぜならこの「マギ」は、
・アリババが苦悩と戦いの中で「自分の決意」を探す旅。
・ルフシステムの申し子であるアラジンが「自分の意志」を探す旅。
ということが物語の核だからと受け取ったからです。
更にそれはアリババ、アラジンだけではありません。
白龍やジュダル、シンドバッドもそうでした。
運命に翻弄されながら、その中で自分の決意と意志を見付けていきました。
その意味では物語はシンドバッドとの聖宮での戦いのシーンでクライマックスを迎えていたと思います。
最終話はクライマックス後のおまけエピソードと、あともう一つ、アリババの結婚シーンを披露しておかないといけない宿題を終わらせたというような意味なんだと思います。
これからも彼らの世界の物語は続き、その中でまた苦悩や戦いが生じるのでしょう。
そうして生きて行く。
それはとても素晴らしいことで、そしてアリババ達が強く願った事でもあります。
とにかく「マギ」は37巻で終わりました。
短いようで長い旅だったなあと思います。
ということで、私の単行本の感想を書くという旅も一旦は終わります。
でもマギには紹介しきれていない魅力が一杯あります。
今後は、マギの好きなエピソードや、人物考察など、マギの世界をどんどん深めていくような記事を書いていきたいと思います。
長文を読んでいただきありがとうございました!
タグ:マギ
2017年09月10日
マギ 35巻 大高 忍 (※ネタバレ)
えっ、今頃?
という感のある、マギ35巻の紹介です。
またも見逃していました。
気付いたのはAmazonさんからの「36巻を予約しませんか?」という案内を見たときです。
36巻?
確か持っているのは34巻までのはずでは・・・アッ!!
案の定、「マギ 35巻」で検索すると見事に発売中で、しかも見たことのない表紙。確定です。
慌てて買った35巻は、更に話がスケールアップしていく面白い内容でした。
34巻での「バアル」の試練はジュダルが勝ち、35巻は「ヴァルフォーレ」の試練から始まります。
挑むのは白龍。
ヴァルフォーレは”虚偽と信望の信念”として白龍に問いかけます。
「理不尽な世界では何を疑い、何を信じるべきか」
白龍が出した答は「自分意外の他人を信じろ」で、しかしシンドバッドはそれに納得せず、以降は2人の問答が続きます。
ここで注目したいのはシンドバッドが「自分を信じている」という話のくだりのなかで、「人は器の大きさも形も違う」ということを話すのですが、その際に描かれる”王の器”のカットです。
ここでは白龍の器が皇帝というものに耐えられなかった形として、器の中に溺れる白龍を描き出します。
シンドバッドが持っている「王の器」というイメージがそのまま具現化した形で示された。これを覚えておきましょう。
さて、2人の問答の明確な終わりは物語では描かれませんでしたが、その後ヴァルフォーレの迷宮が沈んだことで白龍が攻略したことが示されました。
続いて物語は第3の試練「ゼパル」に進みます。
挑むのはアラジン。
”精神と傀儡の信念”に対し、アラジンは自分の信念をぶつけていきます。
そう、これまでアラジンはどちらかというと観察者という立場だったと思います。
あくまで「マギ」という役割として、他人(王)がどうしたいのかを聞き、それに向けた行動を起こしてくというのが根本にあったと思いました。しかしゼパルとの問答でアラジンが表したのは「観察者」ではない、一人の人間としての考えであり、信念でした。
この問答はグッと来ます。
ヴァルフォーレでの白龍もそうでしたが、アラジンのこれまでの「マギ」の物語で経験したことがゼパルへの回答の背景になっているからです。
アラジンの一言一言に、「そうだよなあ、あの時、そんなことを感じたよな」「こんなことを教えてもらったよな」という読者としての経験を一つ一つ呼び起こされるからです。
アラジン、成長したなあ・・・ということに感じ入る。物語の醍醐味です。
しかしゼパルとの戦いは終わりませんでした。
迷いを断ち切った面構えを見せるアラジンとゼパルの戦いはどうなっていくのか!?
と、ここで舞台は転換し、アリババとアルバの世間話へ。
一息付くのか?と思いきや、物語は唐突に動き出します。
アリババが語り始めたのは、これまで謎に包まれていた「死んだアリババが過ごした時間」の話でした。
アラジンが語ったアルマトラン時代の死んだ人たち(の幻)が過ごす世界。
そこでは皆、呆然と自分の過去を眺めていたり、石を積んだりして、特に何をするでもなくただ時間を過ごすだけの真っ白な世界でした。
ワヒードやセッタ、焼け死んだテスも元気な(?)姿で過ごしていました。
テスの元気な姿にはちょっと心が癒やされました。
ここで描かれたのは、無気力になっていたアルマトランの人間たちが、アリババの言動によって次第に考えることを取り戻し、アリババを帰還させるための「大魔法」を作っていくというエピソードです。
怠惰だけが流れていた空間が、人々が作り出す熱で次第に満たされていく光景は何か胸に染み入るものがあります。そしてそれを作り出したのは他でもないアリババ。アリババの凄さが描かれたエピソードでもある訳ですね。
そう、自分では何もしていないんですよね。
「元の世界に戻りたい」という意志はあったものの、次元をつなげる大魔法を考えたりとか、次元をつなげるという事象を知っていたりしたのは全てアルマトランの人間たちです。アリババのハニワを作ったのもアルマトランの住人。アリババは何もしていない。
でも、このアルマトランの人たちはそれまで何もしていなかった。
ただ時間を過ごしていただけ。
その人間たちを巻き込み、その気にさせ、熱を与え、やがて自ら熱を発せさせる存在へと変えていく。
そして誰も出来なかったような凄い結果を導いていく。
凄いよアリババ。
どこか頼りない姿で描かれていて、「なぜこの男が主人公なのだろうか?」と不思議に思うこともありましたが、このエピソードを読んで確信しました。
物語の中心としてこの世界を導いていくのはこの男、アリババだ。
それも超人的な「強さ」「知識」で導くのではなく、対話と情熱によって周囲の人間を巻き込み、力を出させていくという手法によって。
淡々と物語は進んでいきますが、胸の熱さは滾々と高まっていきました。
この世界を旅立つ時、ワヒードが「まるでアイツのよう・・・」と例えたのはダビデのことですが、これが意味するところも気になります。
でも「特異点だった」ということで済ませるのは何だか嫌です。腑に落ちません。
何か違う形でアリババのことを表現する時がきっと来るのだと思いますが、大高先生に期待して待ちたいと思います。
物語は第四の迷宮「フルフル」へ。
気力をなくして何だか投げやりなアルバをよそに、アリババはシンドバッドと対峙します。
ここでアリババが言い出したのが
「別の作戦を思いついたんですけど!」
という言葉。
聖宮編での物語は、「全世界をルフに還して上位の神に戦いを挑もうとするシンドバッド」と「それを止めようとするアリババたち」との戦いとして描かれていました。全く真逆の目的を持つ者たちによる真っ向勝負の図式です。
しかしここでアリババが提案したのは、そのどちらでもない別の方法であり、方向性と可能性。
その鍵としてアリババが確信しているのが、アリババがアルマトランの世界から戻ったときの「大魔法」と、それともう一つ。
アリババが自分で言葉にした、
「でも、みんなでやればシンドバッドさん一人より・・・アルバさん一人より・・・ものすごいことができると思うんですよね。自信があります!」
という、みんなでやればものすごいことができる、という考え方。
まだゼパルとの戦いを続けていたアラジンを呼ぶことをシンドバッドに求め、アラジンを巻き込んだ論争が始まります。
更にはウーゴまでも登場し、次元を繋がえる大魔法について、また、別次元との交渉についてなど話はどんどん発展し、いつしかシンドバッドは「ルフを還して上位の神に挑む」という考えから離れた「次元間の同盟」という提案を示します。
ニヤッとするアリババ。
その事実に気付いたシンドバッドの脳裏に浮かんだのが35巻最後のコマ。
それは一つの器の中の存在となっているシンドバッド自身の姿でした。
ヴァルフォーレとの戦いでシンドバッドが白龍に対して同じく「器」のビジョンを示したことから、シンドバッドが「人間の器の大きさと形」としてこの「器」のビジョンを持っていることが示されていますから、これは間違いなくシンドバッドの心象風景だと言えるでしょう。
自分自身が「器」だと考えていたシンドバッドにとって凄い衝撃だったと思います。これが事実なのか、それとも一瞬の錯覚なのかは36巻以降に明らかになっていくでしょうが、今までの物語からは想像できない絵です。
この器のコマ、なかなかに意味深です。
器の主人であるアリババの姿が一番小さい。アルバやアラジン、ウーゴ、シンドバッドの方が大きく描かれているんですね。一番大きいのがシンドバッドだったりする。
一人ひとりの能力の大きさや強さが全てなのではない。
大勢の人間の力を一つにまとめていくことが、本当の強さであり、王の器なんだという大高先生のメッセージが込められている気がします。
いよいよ物語の核心が見え始めてきた35巻。
世界の壁を巡る論争はどう決着するのか。
アリババに自分以上の器を認めてしまったシンドバッドがどういう行動に出るのか(以前にアラジンに対して「チッ」という舌打ちをしたこともあったので、キレてしまうのかもしれませんが・・・)。
36巻の発売日を忘れずに待ちたいと思います。
今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 33巻&34巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 32巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 31巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
という感のある、マギ35巻の紹介です。
またも見逃していました。
気付いたのはAmazonさんからの「36巻を予約しませんか?」という案内を見たときです。
36巻?
確か持っているのは34巻までのはずでは・・・アッ!!
案の定、「マギ 35巻」で検索すると見事に発売中で、しかも見たことのない表紙。確定です。
慌てて買った35巻は、更に話がスケールアップしていく面白い内容でした。
シンドバッドの試練は続く
34巻での「バアル」の試練はジュダルが勝ち、35巻は「ヴァルフォーレ」の試練から始まります。
挑むのは白龍。
ヴァルフォーレは”虚偽と信望の信念”として白龍に問いかけます。
「理不尽な世界では何を疑い、何を信じるべきか」
白龍が出した答は「自分意外の他人を信じろ」で、しかしシンドバッドはそれに納得せず、以降は2人の問答が続きます。
ここで注目したいのはシンドバッドが「自分を信じている」という話のくだりのなかで、「人は器の大きさも形も違う」ということを話すのですが、その際に描かれる”王の器”のカットです。
ここでは白龍の器が皇帝というものに耐えられなかった形として、器の中に溺れる白龍を描き出します。
シンドバッドが持っている「王の器」というイメージがそのまま具現化した形で示された。これを覚えておきましょう。
さて、2人の問答の明確な終わりは物語では描かれませんでしたが、その後ヴァルフォーレの迷宮が沈んだことで白龍が攻略したことが示されました。
続いて物語は第3の試練「ゼパル」に進みます。
挑むのはアラジン。
”精神と傀儡の信念”に対し、アラジンは自分の信念をぶつけていきます。
そう、これまでアラジンはどちらかというと観察者という立場だったと思います。
あくまで「マギ」という役割として、他人(王)がどうしたいのかを聞き、それに向けた行動を起こしてくというのが根本にあったと思いました。しかしゼパルとの問答でアラジンが表したのは「観察者」ではない、一人の人間としての考えであり、信念でした。
この問答はグッと来ます。
ヴァルフォーレでの白龍もそうでしたが、アラジンのこれまでの「マギ」の物語で経験したことがゼパルへの回答の背景になっているからです。
アラジンの一言一言に、「そうだよなあ、あの時、そんなことを感じたよな」「こんなことを教えてもらったよな」という読者としての経験を一つ一つ呼び起こされるからです。
アラジン、成長したなあ・・・ということに感じ入る。物語の醍醐味です。
しかしゼパルとの戦いは終わりませんでした。
迷いを断ち切った面構えを見せるアラジンとゼパルの戦いはどうなっていくのか!?
と、ここで舞台は転換し、アリババとアルバの世間話へ。
一息付くのか?と思いきや、物語は唐突に動き出します。
アリババが語り始めたのは、これまで謎に包まれていた「死んだアリババが過ごした時間」の話でした。
そこは死後の世界
アラジンが語ったアルマトラン時代の死んだ人たち(の幻)が過ごす世界。
そこでは皆、呆然と自分の過去を眺めていたり、石を積んだりして、特に何をするでもなくただ時間を過ごすだけの真っ白な世界でした。
ワヒードやセッタ、焼け死んだテスも元気な(?)姿で過ごしていました。
テスの元気な姿にはちょっと心が癒やされました。
ここで描かれたのは、無気力になっていたアルマトランの人間たちが、アリババの言動によって次第に考えることを取り戻し、アリババを帰還させるための「大魔法」を作っていくというエピソードです。
怠惰だけが流れていた空間が、人々が作り出す熱で次第に満たされていく光景は何か胸に染み入るものがあります。そしてそれを作り出したのは他でもないアリババ。アリババの凄さが描かれたエピソードでもある訳ですね。
そう、自分では何もしていないんですよね。
「元の世界に戻りたい」という意志はあったものの、次元をつなげる大魔法を考えたりとか、次元をつなげるという事象を知っていたりしたのは全てアルマトランの人間たちです。アリババのハニワを作ったのもアルマトランの住人。アリババは何もしていない。
でも、このアルマトランの人たちはそれまで何もしていなかった。
ただ時間を過ごしていただけ。
その人間たちを巻き込み、その気にさせ、熱を与え、やがて自ら熱を発せさせる存在へと変えていく。
そして誰も出来なかったような凄い結果を導いていく。
凄いよアリババ。
どこか頼りない姿で描かれていて、「なぜこの男が主人公なのだろうか?」と不思議に思うこともありましたが、このエピソードを読んで確信しました。
物語の中心としてこの世界を導いていくのはこの男、アリババだ。
それも超人的な「強さ」「知識」で導くのではなく、対話と情熱によって周囲の人間を巻き込み、力を出させていくという手法によって。
淡々と物語は進んでいきますが、胸の熱さは滾々と高まっていきました。
この世界を旅立つ時、ワヒードが「まるでアイツのよう・・・」と例えたのはダビデのことですが、これが意味するところも気になります。
でも「特異点だった」ということで済ませるのは何だか嫌です。腑に落ちません。
何か違う形でアリババのことを表現する時がきっと来るのだと思いますが、大高先生に期待して待ちたいと思います。
そしていよいよ核心へ・・・?
物語は第四の迷宮「フルフル」へ。
気力をなくして何だか投げやりなアルバをよそに、アリババはシンドバッドと対峙します。
ここでアリババが言い出したのが
「別の作戦を思いついたんですけど!」
という言葉。
聖宮編での物語は、「全世界をルフに還して上位の神に戦いを挑もうとするシンドバッド」と「それを止めようとするアリババたち」との戦いとして描かれていました。全く真逆の目的を持つ者たちによる真っ向勝負の図式です。
しかしここでアリババが提案したのは、そのどちらでもない別の方法であり、方向性と可能性。
その鍵としてアリババが確信しているのが、アリババがアルマトランの世界から戻ったときの「大魔法」と、それともう一つ。
アリババが自分で言葉にした、
「でも、みんなでやればシンドバッドさん一人より・・・アルバさん一人より・・・ものすごいことができると思うんですよね。自信があります!」
という、みんなでやればものすごいことができる、という考え方。
まだゼパルとの戦いを続けていたアラジンを呼ぶことをシンドバッドに求め、アラジンを巻き込んだ論争が始まります。
更にはウーゴまでも登場し、次元を繋がえる大魔法について、また、別次元との交渉についてなど話はどんどん発展し、いつしかシンドバッドは「ルフを還して上位の神に挑む」という考えから離れた「次元間の同盟」という提案を示します。
ニヤッとするアリババ。
その事実に気付いたシンドバッドの脳裏に浮かんだのが35巻最後のコマ。
それは一つの器の中の存在となっているシンドバッド自身の姿でした。
ヴァルフォーレとの戦いでシンドバッドが白龍に対して同じく「器」のビジョンを示したことから、シンドバッドが「人間の器の大きさと形」としてこの「器」のビジョンを持っていることが示されていますから、これは間違いなくシンドバッドの心象風景だと言えるでしょう。
自分自身が「器」だと考えていたシンドバッドにとって凄い衝撃だったと思います。これが事実なのか、それとも一瞬の錯覚なのかは36巻以降に明らかになっていくでしょうが、今までの物語からは想像できない絵です。
この器のコマ、なかなかに意味深です。
器の主人であるアリババの姿が一番小さい。アルバやアラジン、ウーゴ、シンドバッドの方が大きく描かれているんですね。一番大きいのがシンドバッドだったりする。
一人ひとりの能力の大きさや強さが全てなのではない。
大勢の人間の力を一つにまとめていくことが、本当の強さであり、王の器なんだという大高先生のメッセージが込められている気がします。
いよいよ物語の核心が見え始めてきた35巻。
世界の壁を巡る論争はどう決着するのか。
アリババに自分以上の器を認めてしまったシンドバッドがどういう行動に出るのか(以前にアラジンに対して「チッ」という舌打ちをしたこともあったので、キレてしまうのかもしれませんが・・・)。
36巻の発売日を忘れずに待ちたいと思います。
今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 33巻&34巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 32巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 31巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
2017年07月03日
マギ 33巻と34巻 大高 忍 (※ネタバレ)
ごめんなさい。
これはマギという作品と、作者の大高忍さんに対してのお詫びです。
私は、大好きなマギを読んだ感想を書くことを「仕事が忙しい」を言い訳にしてずうっと引き延ばしていました。もちろん、発売日に買って、何度も読んでいます。しかし「さあ感想を書こう・・・」と思う頃にはもう寝なければ睡眠時間を確保できないという状況になってしまい、頭も回らないし明日しよう、明日こそ、今度こそ明日は・・・そして気が付けば今日。
今日こそはそんな自分に区切りを付けなければ!
ということで大変失礼とは承知で33巻と34巻の感想をまとめて書こう、ということにした次第です。
ごめんなさい。
33巻では、シンドバッドが遂に聖宮へ挑みます。
世界の運命の流れが次第に自分の感覚から外れた方向へと流れていくことに焦燥したシンドバッドは、アルバに誘われ、そして自分の「ただのひとりの人間として」の真の強欲を悟り、望みのままに聖宮への進入を試みました。
それを阻もうとするのは聖宮の管理者であるウーゴ。
シンドバッドが次々と魔装を切り替えて聖宮の罠を排除していく様に心を踊らせたのも束の間、残酷なまでの圧倒的な力を見せつけてウーゴはシンドバッドを潰します。
全く為す術もないシンドバッド。
えっ?
どういうこと?
と話の展開にちょっと戸惑いを感じたのはまだまだ甘かった。
どんどん「マギ」は話を加速させ、読者の感覚を次々と超越していきます。
万能の神と化したウーゴ。
ウーゴによって水槽の中に閉じ込められたイル・イラー(とダビデ)。
「彼は念願通り、下位世界を創っている真っ最中さ。」
いや、、、こないだまでイル・イラーの地上への再降臨を阻止するために皆必死に戦っていたわけなんですけど。。。
イル・イラーが再降臨したら世界は終わる!!みたいな勢いで危機感が全力で煽られていたんですけど。。。
それがこんなペットみたいな扱いに・・・
一体、どういうことなんだ!
と全然頭が理解できないんですよね。話のスケールが飛びすぎて。
そしてそれを噛み砕いて理解する前にまたドンドン話が進むんですよね。シンドバッドが復活してウーゴを超越して聖宮の管理者となり、世界のルフを書き換えて、それだけでなく世界をルフに還してさらに上位の神を超越することを目指したりして、世界中の人間が涙ながらに「ルフに還ろう!」「みんなで死にましょう!」「1000年後の未来のために!」とか叫んでいたりして。
正直、頭がついていけねえ・・・。
この世界の変わりようは一体何なんだ。
と感じたのは、きっと私だけではないはず。
そんな中でルフの書き換えの影響を受けていないのは、アラジン、アリババ、ジュダル、白龍の4人のみ。32巻で力を見せたユナンや過去の恨みを振り切った紅玉、頼れる仲間と信じかけたタケルも全員揃ってシンドバッドの仲間入り。
この絶望的な状況で、物語は一体どうなるのだろう・・・とここまでが33巻の話でした。
超、絶望。
圧倒的絶望っ!!!
みんなのキラキラした瞳が怖い。
それが33巻の話でした。モヤモヤした気持ちを抱え、33巻を読み直してはまた絶望に陥り、ため息を漏らし、そうすること数ヶ月、ようやく34巻が発売された訳です。
34巻は、アリババとアラジンが「ルフに還る魔法を止めるため、シンドバッドに戦いを挑もう」というところから始まります。
アリババは何が正しいのか見えない混迷の中、戦いの前にモルジアナに会いに行きます。
アリババを出迎えるモルジアナの表情はいつものように真っ直ぐな思いをそのまま表した、強さの見えるものでした。
ホッ、と安心したのも束の間、そんなモルジアナから発せられたのは
「ルフに還るんですね。」
という絶望的な一言。正直、私が泣きそうです。
アリババは言いました。
「私が死なせませんって、言ってくれたじゃねーか?」
そう、そうだアリババ。
私も覚えています。32巻の感想で書きました。
きっとこのアリババの一言は、モルジアナの魂を揺さぶるに違いない!
そうだ!
今こそルフの鎖を解き放て、モルジアナーーーー!!
と全力で叫ぶ私。
そんな中、モルジアナが言った言葉は
「一緒に死んで、来世で夫婦になりましょう!!(嬉し涙)」
終わった。
何もかも終わった。私はこの瞬間に真の絶望の切っ先を突きつけられた感がしてワナワナと震えました。
だが震えていたのはアリババも同じでした。
ワナワナではなく、ブルブルと。
そして多分全ての迷いが吹っ切れたんだと思います。高らかに叫びます!
「戦うに、決まってんじゃねーか!!!」
「俺の夢は、今をおまえと幸せに生きることだッ!!文句あるかバカヤローッ!!」
今までのアリババは、どちらかというと「自分がやらなければならない」「王子としてどうあるべきだろうか」「皆のためにどうするのが一番良いことなのだろうか」という考えが強かったと思います。
それがこの時は、100%自分の気持ちが言葉に表れました。
遂に自分自身を悟ったのだと思います。そう考えると、33巻はシンドバッドが自分自身を悟った巻であり、34巻はアリババが自分自身を悟った巻ということになります。
そしてその悟りを導いたのはモルジアナという存在。
ああ、つくづくいい女ですよ、モルジアナ!
そんなこんなで、アリババとアラジン、白龍とジュダル。それに5人目の仲間としてネルヴァ。彼らが今度はシンドバッドの聖宮に挑みます。
ネルヴァ、いいキャラです。
堕転しているためルフの書き換えの影響は受けていませんが、その堕転の理由が「ジュダルに連れて行かれた田舎での強制労働」というのがまたショボい。ルフのビィビィという泣きがとてもシュールに響く。いやあ、いいキャラです。
31巻の「あいつはおだてられやすいボンボンといった感じの・・・」はここの伏線だったんですね。
聖宮での戦いはシンドバッドの7人のジンの試練=迷宮を攻略するという形で進みます。
第一の聖宮は憤怒と英傑の信念。
これを打ち破ったのはジュダルです。
そのジュダルが格好良かった!これがもう一つの34巻の見せ場でしたね。
先程のアリババの「文句あるかバカヤローッ!!」に少し似ていますが、ジュダルが言い放ったのは
「それのどこが悪いんだ、言ってみろーーーッッ!!!」
という言葉。
なんかスカッとする、ジュダルらしい言葉ですね。
でも本当に格好良いのはここから。
シンドバッドに対して言い放ちます。
「あいにく俺はもう、自分の人生ってやつに満足しているんでね。白龍と暴れて結構楽しかったからな!」
「おまえも自分の生き方満喫しろよ!シンドバッド少・年!」
ジュダルはかつて自分の運命を呪って堕転したマギです。呪ったのは、アルバにさらわれて黒のマギとしての人生を余儀なくされたという重い運命でした。
しかし今のジュダルは違いました。
運命に振り回されることなく、自分の生き方を自分中心に見つめ直し、楽しみ、そして満足していたんです。それをサラッと言えてしまう。
そこに私はジュダルの格好良さを見ました。
思えばジュダルも必死に運命と戦っていた気がします。自分と真逆の光の存在であるアラジンを頑なに拒否し、「お前を倒せるなら何にでもなってやるぜ」とかつては言っていたことも思い出しました。
それが一旦死を自覚し、そこを乗り越えることで、自分自身を縛る運命をも乗り越えていたんですね。ジュダルもシンドバッドやアリババと同じく悟ったのかもしれません。
これも34巻の見どころだと思いました。
とはいえまだ6つの迷宮を残し、さらに迷宮を解いたとしても上位の神との戦いとやらが待っているのか、世界はどうなるのか、全く先が読めなくなった「マギ」。
イル・イラーを降ろし世界を滅亡させようとする組織との戦い→商売の世界での戦い→上位の神との戦い(?)と展開し、さらにこの先はどうなるのか、読者としては深い霧の中で船を進めているような状態でとてもとても不安です。
でもアリババがきっと何かやってくれるはず。
その確信はこの34巻で持てました。
また次の巻が楽しみです。
ああ、良かった。
とりあえず34巻の感想は一応書けた・・・。
今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 32巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 31巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
これはマギという作品と、作者の大高忍さんに対してのお詫びです。
私は、大好きなマギを読んだ感想を書くことを「仕事が忙しい」を言い訳にしてずうっと引き延ばしていました。もちろん、発売日に買って、何度も読んでいます。しかし「さあ感想を書こう・・・」と思う頃にはもう寝なければ睡眠時間を確保できないという状況になってしまい、頭も回らないし明日しよう、明日こそ、今度こそ明日は・・・そして気が付けば今日。
今日こそはそんな自分に区切りを付けなければ!
ということで大変失礼とは承知で33巻と34巻の感想をまとめて書こう、ということにした次第です。
ごめんなさい。
聖宮にたどり着いたシンドバッド。そして・・・
33巻では、シンドバッドが遂に聖宮へ挑みます。
世界の運命の流れが次第に自分の感覚から外れた方向へと流れていくことに焦燥したシンドバッドは、アルバに誘われ、そして自分の「ただのひとりの人間として」の真の強欲を悟り、望みのままに聖宮への進入を試みました。
それを阻もうとするのは聖宮の管理者であるウーゴ。
シンドバッドが次々と魔装を切り替えて聖宮の罠を排除していく様に心を踊らせたのも束の間、残酷なまでの圧倒的な力を見せつけてウーゴはシンドバッドを潰します。
全く為す術もないシンドバッド。
えっ?
どういうこと?
と話の展開にちょっと戸惑いを感じたのはまだまだ甘かった。
どんどん「マギ」は話を加速させ、読者の感覚を次々と超越していきます。
万能の神と化したウーゴ。
ウーゴによって水槽の中に閉じ込められたイル・イラー(とダビデ)。
「彼は念願通り、下位世界を創っている真っ最中さ。」
いや、、、こないだまでイル・イラーの地上への再降臨を阻止するために皆必死に戦っていたわけなんですけど。。。
イル・イラーが再降臨したら世界は終わる!!みたいな勢いで危機感が全力で煽られていたんですけど。。。
それがこんなペットみたいな扱いに・・・
一体、どういうことなんだ!
と全然頭が理解できないんですよね。話のスケールが飛びすぎて。
そしてそれを噛み砕いて理解する前にまたドンドン話が進むんですよね。シンドバッドが復活してウーゴを超越して聖宮の管理者となり、世界のルフを書き換えて、それだけでなく世界をルフに還してさらに上位の神を超越することを目指したりして、世界中の人間が涙ながらに「ルフに還ろう!」「みんなで死にましょう!」「1000年後の未来のために!」とか叫んでいたりして。
正直、頭がついていけねえ・・・。
この世界の変わりようは一体何なんだ。
と感じたのは、きっと私だけではないはず。
そんな中でルフの書き換えの影響を受けていないのは、アラジン、アリババ、ジュダル、白龍の4人のみ。32巻で力を見せたユナンや過去の恨みを振り切った紅玉、頼れる仲間と信じかけたタケルも全員揃ってシンドバッドの仲間入り。
この絶望的な状況で、物語は一体どうなるのだろう・・・とここまでが33巻の話でした。
超、絶望。
圧倒的絶望っ!!!
みんなのキラキラした瞳が怖い。
それが33巻の話でした。モヤモヤした気持ちを抱え、33巻を読み直してはまた絶望に陥り、ため息を漏らし、そうすること数ヶ月、ようやく34巻が発売された訳です。
アリババのトリガーを引いたのはモルジアナ。
34巻は、アリババとアラジンが「ルフに還る魔法を止めるため、シンドバッドに戦いを挑もう」というところから始まります。
アリババは何が正しいのか見えない混迷の中、戦いの前にモルジアナに会いに行きます。
アリババを出迎えるモルジアナの表情はいつものように真っ直ぐな思いをそのまま表した、強さの見えるものでした。
ホッ、と安心したのも束の間、そんなモルジアナから発せられたのは
「ルフに還るんですね。」
という絶望的な一言。正直、私が泣きそうです。
アリババは言いました。
「私が死なせませんって、言ってくれたじゃねーか?」
そう、そうだアリババ。
私も覚えています。32巻の感想で書きました。
それにしてもモルジアナの返事が凄い。
いかにもファナリスらしいと言えばそうですが、こんなに力強いプロポーズへの返事を私は今までに見たことがありません。
「大丈夫、私が死なせません。」
この一言に、アリババを一度失ったモルジアナの悲痛な過去、鍛え上げた強さへの自身、二度と離れないという決意、色んな感情が秘められている気がしました。
きっとこのアリババの一言は、モルジアナの魂を揺さぶるに違いない!
そうだ!
今こそルフの鎖を解き放て、モルジアナーーーー!!
と全力で叫ぶ私。
そんな中、モルジアナが言った言葉は
「一緒に死んで、来世で夫婦になりましょう!!(嬉し涙)」
終わった。
何もかも終わった。私はこの瞬間に真の絶望の切っ先を突きつけられた感がしてワナワナと震えました。
だが震えていたのはアリババも同じでした。
ワナワナではなく、ブルブルと。
そして多分全ての迷いが吹っ切れたんだと思います。高らかに叫びます!
「戦うに、決まってんじゃねーか!!!」
「俺の夢は、今をおまえと幸せに生きることだッ!!文句あるかバカヤローッ!!」
今までのアリババは、どちらかというと「自分がやらなければならない」「王子としてどうあるべきだろうか」「皆のためにどうするのが一番良いことなのだろうか」という考えが強かったと思います。
それがこの時は、100%自分の気持ちが言葉に表れました。
遂に自分自身を悟ったのだと思います。そう考えると、33巻はシンドバッドが自分自身を悟った巻であり、34巻はアリババが自分自身を悟った巻ということになります。
そしてその悟りを導いたのはモルジアナという存在。
ああ、つくづくいい女ですよ、モルジアナ!
格好良いぞジュダル!
そんなこんなで、アリババとアラジン、白龍とジュダル。それに5人目の仲間としてネルヴァ。彼らが今度はシンドバッドの聖宮に挑みます。
ネルヴァ、いいキャラです。
堕転しているためルフの書き換えの影響は受けていませんが、その堕転の理由が「ジュダルに連れて行かれた田舎での強制労働」というのがまたショボい。ルフのビィビィという泣きがとてもシュールに響く。いやあ、いいキャラです。
31巻の「あいつはおだてられやすいボンボンといった感じの・・・」はここの伏線だったんですね。
聖宮での戦いはシンドバッドの7人のジンの試練=迷宮を攻略するという形で進みます。
第一の聖宮は憤怒と英傑の信念。
これを打ち破ったのはジュダルです。
そのジュダルが格好良かった!これがもう一つの34巻の見せ場でしたね。
先程のアリババの「文句あるかバカヤローッ!!」に少し似ていますが、ジュダルが言い放ったのは
「それのどこが悪いんだ、言ってみろーーーッッ!!!」
という言葉。
なんかスカッとする、ジュダルらしい言葉ですね。
でも本当に格好良いのはここから。
シンドバッドに対して言い放ちます。
「あいにく俺はもう、自分の人生ってやつに満足しているんでね。白龍と暴れて結構楽しかったからな!」
「おまえも自分の生き方満喫しろよ!シンドバッド少・年!」
ジュダルはかつて自分の運命を呪って堕転したマギです。呪ったのは、アルバにさらわれて黒のマギとしての人生を余儀なくされたという重い運命でした。
しかし今のジュダルは違いました。
運命に振り回されることなく、自分の生き方を自分中心に見つめ直し、楽しみ、そして満足していたんです。それをサラッと言えてしまう。
そこに私はジュダルの格好良さを見ました。
思えばジュダルも必死に運命と戦っていた気がします。自分と真逆の光の存在であるアラジンを頑なに拒否し、「お前を倒せるなら何にでもなってやるぜ」とかつては言っていたことも思い出しました。
それが一旦死を自覚し、そこを乗り越えることで、自分自身を縛る運命をも乗り越えていたんですね。ジュダルもシンドバッドやアリババと同じく悟ったのかもしれません。
これも34巻の見どころだと思いました。
一向に先が読めないマギ。
とはいえまだ6つの迷宮を残し、さらに迷宮を解いたとしても上位の神との戦いとやらが待っているのか、世界はどうなるのか、全く先が読めなくなった「マギ」。
イル・イラーを降ろし世界を滅亡させようとする組織との戦い→商売の世界での戦い→上位の神との戦い(?)と展開し、さらにこの先はどうなるのか、読者としては深い霧の中で船を進めているような状態でとてもとても不安です。
でもアリババがきっと何かやってくれるはず。
その確信はこの34巻で持てました。
また次の巻が楽しみです。
ああ、良かった。
とりあえず34巻の感想は一応書けた・・・。
今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 32巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 31巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
2017年02月05日
マギ 32巻 大高 忍 (※ネタバレ)
おめでとう。
もう一度、最初に言わせてください。
おめでとう。
32巻はですね、色々と書きたいことはあるんですよ。
成長したアラジンの魔法の凄まじさ(完全にチート級)、白龍やモルジアナの強さ、シンドバッドの心が追い詰められていく描写、見どころの多い巻なんです。
そんな中でも際立つのは、そう、アリババがモルジアナに求婚する話です。
ちょっと驚いたんですよね。大分前に、アリババがモルジアナに告白するという話がありましたが、その時は「モルジアナに告白を受け入れられたと勘違いして大いに浮かれまくったアリババがその間違いに気付いて人間不信に陥る」という半ばギャグみたいな回でした。
その後は、アリババのモルジアナに対する気持ちがどうなったみたいな具体的な話は無かったですし、アリババが死ぬとかアラジンがいなくなるとか、まあ物語が大変なことになっていましたので、すっかり私もそのことを忘れていました。
だからモルジアナと再会したシーンでも、「あ!モルジアナだ!」ぐらいの感想しか私は持ちませんでした。それよりも白龍との再会の方が印象的でしたので、すぐにモルジアナのことは正直忘れてしまいました。
そんなアリババとモルジアナの関係が急展開したのは、再会を祝して4人で宴席を囲んでいるときでした。
「素面のうちに言いたいことがあるんだから!」
とアリババはアラジンとの話を切り、「モルジアナ!」と声をかけます。
ここから急展開だったんですよね。
自分の話を始めたアリババは、その中で「家族」についての考えを持ち出したことを触れます。
そして「俺も年を取った後、家族が欲しいなって思った時に・・・」
「真っ先に思い浮かんだのが・・・モルジアナだったんだ」
続けてモルジアナに対する想いを話した後、ついにアリババは「俺と結婚してくれよ。」と、静かな、それでいて強い眼差しでモルジアナに気持ちを伝えました。
ど、どうするんだモルジアナ。
ちょっと白龍といい感じにも見えたけど(数年一緒にいた間に、何か気持ちが変わったかもしれないし・・・!!)。どんな言葉をアリババに返すんだろうか。
急に、ページを捲る手が止まりました。
こんなにページを捲るのに緊張したのは初めてです。
「暗黒大陸へ渡り・・・」
と話し始めたモルジアナ。「私も自分を、知りました」
うつむき加減だった顔をあげ、アリババに真っ直ぐに向き合ったその目は、力強い光を浮かべていました。
モルジアナはどこか挑戦的な笑顔で、
「ファナリスの女は自分に二度、死ぬよりも悲しい思いをさせた男を、許さないそうですが?」
と言葉を続けます。
アリババが「二度と死なねーよ!」と返します。
そして、次のモルジアナの言葉が。
「大丈夫、私が死なせません。
夫婦になりましょう」
おめでとう!
アリババ、モルジアナ!
2人の長い旅が一つの終着点に辿り着いたかと思うと、急に涙がこみ上げてきました。
よかったねアリババ。散々モテないキャラとしていじられてきたけど、真剣な想いが、真剣な愛情によって結ばれ、最高の物語を手にしたことで見事に収まった感じです。
それにしてもモルジアナの返事が凄い。
いかにもファナリスらしいと言えばそうですが、こんなに力強いプロポーズへの返事を私は今までに見たことがありません。
「大丈夫、私が死なせません。」
この一言に、アリババを一度失ったモルジアナの悲痛な過去、鍛え上げた強さへの自身、二度と離れないという決意、色んな感情が秘められている気がしました。
そういえばアリババが一度死んだ時には、モルジアナは暗黒大陸を目指してアリババとは離れていたんですよね。暗黒大陸から戻ったらアリババが死んでいた。その時にはきっとモルジアナは、離れていて何も出来なかった自分自身に果てしない悔しさを感じて苦しんだに違いないんですよね。
それがモルジアナの一度目の「死ぬよりも悲しい思い」だったのでしょう。
そして「二度も悲しい思いをしたくない」ではなく、「二度目の悲しい思いなんて、私がさせない」という強い決意を持ったモルジアナ。心の強さと、アリババへの思いの強さと、その両方があって初めて出てくる言葉なんだと思います。
この間、ページ数にしてたったの8ページ。
こんな短いページ数に、2人のこれまでの物語と想いとが凝縮され、読者の手へ届けられたことはもう奇跡ですよ。
さすがはマギ、さすがは大高先生です。
ああ、このシーンだけで、32巻はもう最高!な体験でした。
シンドバッドが追い詰められていきます。
頼みのアルバはアラジン達に敗れ、どうやら商売の方も少しずつ他の勢力に押されている感じも出てきている様子。再会したアラジンは何だか甘い事を話し出して、ついに「誰も、何も分かっていない」というような考えを持つに至ります。
表情は笑っていますが、どこかその笑いは薄っぺらく、「このままではいけない」という焦燥感に駆られているようにも見えてしまいます。
さらに32巻の最終話では、煌帝国が同盟からの離脱を表明し、これまでずっと自分を憎んでいた紅玉から「今の平和はあなたのおかげです。ありがとう」という言葉を投げかけられます。
それは単純な感謝の言葉ではないでしょう。
シンドバッドから離れ、一人の独立した人間として向かい合うことが出来たからこそ言えた言葉です。
だからこそシンドバッドはこう考えたはずです。
「紅玉までも、俺の理想から離れて、間違った道を進もうというのか」
世界が自分の手から一つずつ離れようとしている。
その離れていった先には、また過去と同じような悲劇が待ち構えている・・・。そんな考えから抜けることができないシンドバットは、これでまた、相当に精神的に追い詰めれていくはずです。
最終章の導入部が終わり、いよいよ物語が動き出しそうな雰囲気が満ち満ちています。
追い詰められたシンドバッドがどう動くのか。
無敵の強さを見せつけるアラジンはこれからどうするのか。アリババは?白龍は?
一向に姿を見せないジュダルは何をしているのか。
アルバはダビデに頼って何をしようとしているのか。
それらの答えは33巻に示される・・・!!?
ということを楽しみに、発売を待ちたいと思います。
最後にもう一度。
おめでとう!!
(何だかエヴァの最終回みたい)
今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
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マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
もう一度、最初に言わせてください。
おめでとう。
32巻はですね、色々と書きたいことはあるんですよ。
成長したアラジンの魔法の凄まじさ(完全にチート級)、白龍やモルジアナの強さ、シンドバッドの心が追い詰められていく描写、見どころの多い巻なんです。
そんな中でも際立つのは、そう、アリババがモルジアナに求婚する話です。
ちょっと驚いたんですよね。大分前に、アリババがモルジアナに告白するという話がありましたが、その時は「モルジアナに告白を受け入れられたと勘違いして大いに浮かれまくったアリババがその間違いに気付いて人間不信に陥る」という半ばギャグみたいな回でした。
その後は、アリババのモルジアナに対する気持ちがどうなったみたいな具体的な話は無かったですし、アリババが死ぬとかアラジンがいなくなるとか、まあ物語が大変なことになっていましたので、すっかり私もそのことを忘れていました。
だからモルジアナと再会したシーンでも、「あ!モルジアナだ!」ぐらいの感想しか私は持ちませんでした。それよりも白龍との再会の方が印象的でしたので、すぐにモルジアナのことは正直忘れてしまいました。
おめでとう、アリババとモルジアナ!
そんなアリババとモルジアナの関係が急展開したのは、再会を祝して4人で宴席を囲んでいるときでした。
「素面のうちに言いたいことがあるんだから!」
とアリババはアラジンとの話を切り、「モルジアナ!」と声をかけます。
ここから急展開だったんですよね。
自分の話を始めたアリババは、その中で「家族」についての考えを持ち出したことを触れます。
そして「俺も年を取った後、家族が欲しいなって思った時に・・・」
「真っ先に思い浮かんだのが・・・モルジアナだったんだ」
続けてモルジアナに対する想いを話した後、ついにアリババは「俺と結婚してくれよ。」と、静かな、それでいて強い眼差しでモルジアナに気持ちを伝えました。
ど、どうするんだモルジアナ。
ちょっと白龍といい感じにも見えたけど(数年一緒にいた間に、何か気持ちが変わったかもしれないし・・・!!)。どんな言葉をアリババに返すんだろうか。
急に、ページを捲る手が止まりました。
こんなにページを捲るのに緊張したのは初めてです。
「暗黒大陸へ渡り・・・」
と話し始めたモルジアナ。「私も自分を、知りました」
うつむき加減だった顔をあげ、アリババに真っ直ぐに向き合ったその目は、力強い光を浮かべていました。
モルジアナはどこか挑戦的な笑顔で、
「ファナリスの女は自分に二度、死ぬよりも悲しい思いをさせた男を、許さないそうですが?」
と言葉を続けます。
アリババが「二度と死なねーよ!」と返します。
そして、次のモルジアナの言葉が。
「大丈夫、私が死なせません。
夫婦になりましょう」
おめでとう!
アリババ、モルジアナ!
2人の長い旅が一つの終着点に辿り着いたかと思うと、急に涙がこみ上げてきました。
よかったねアリババ。散々モテないキャラとしていじられてきたけど、真剣な想いが、真剣な愛情によって結ばれ、最高の物語を手にしたことで見事に収まった感じです。
それにしてもモルジアナの返事が凄い。
いかにもファナリスらしいと言えばそうですが、こんなに力強いプロポーズへの返事を私は今までに見たことがありません。
「大丈夫、私が死なせません。」
この一言に、アリババを一度失ったモルジアナの悲痛な過去、鍛え上げた強さへの自身、二度と離れないという決意、色んな感情が秘められている気がしました。
そういえばアリババが一度死んだ時には、モルジアナは暗黒大陸を目指してアリババとは離れていたんですよね。暗黒大陸から戻ったらアリババが死んでいた。その時にはきっとモルジアナは、離れていて何も出来なかった自分自身に果てしない悔しさを感じて苦しんだに違いないんですよね。
それがモルジアナの一度目の「死ぬよりも悲しい思い」だったのでしょう。
そして「二度も悲しい思いをしたくない」ではなく、「二度目の悲しい思いなんて、私がさせない」という強い決意を持ったモルジアナ。心の強さと、アリババへの思いの強さと、その両方があって初めて出てくる言葉なんだと思います。
この間、ページ数にしてたったの8ページ。
こんな短いページ数に、2人のこれまでの物語と想いとが凝縮され、読者の手へ届けられたことはもう奇跡ですよ。
さすがはマギ、さすがは大高先生です。
ああ、このシーンだけで、32巻はもう最高!な体験でした。
一応、シンドバッドについて・・・
シンドバッドが追い詰められていきます。
頼みのアルバはアラジン達に敗れ、どうやら商売の方も少しずつ他の勢力に押されている感じも出てきている様子。再会したアラジンは何だか甘い事を話し出して、ついに「誰も、何も分かっていない」というような考えを持つに至ります。
表情は笑っていますが、どこかその笑いは薄っぺらく、「このままではいけない」という焦燥感に駆られているようにも見えてしまいます。
さらに32巻の最終話では、煌帝国が同盟からの離脱を表明し、これまでずっと自分を憎んでいた紅玉から「今の平和はあなたのおかげです。ありがとう」という言葉を投げかけられます。
それは単純な感謝の言葉ではないでしょう。
シンドバッドから離れ、一人の独立した人間として向かい合うことが出来たからこそ言えた言葉です。
だからこそシンドバッドはこう考えたはずです。
「紅玉までも、俺の理想から離れて、間違った道を進もうというのか」
世界が自分の手から一つずつ離れようとしている。
その離れていった先には、また過去と同じような悲劇が待ち構えている・・・。そんな考えから抜けることができないシンドバットは、これでまた、相当に精神的に追い詰めれていくはずです。
さて、次の展開は?
最終章の導入部が終わり、いよいよ物語が動き出しそうな雰囲気が満ち満ちています。
追い詰められたシンドバッドがどう動くのか。
無敵の強さを見せつけるアラジンはこれからどうするのか。アリババは?白龍は?
一向に姿を見せないジュダルは何をしているのか。
アルバはダビデに頼って何をしようとしているのか。
それらの答えは33巻に示される・・・!!?
ということを楽しみに、発売を待ちたいと思います。
最後にもう一度。
おめでとう!!
(何だかエヴァの最終回みたい)
今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 31巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
タグ:マギ
2017年01月02日
マギ 31巻 大高 忍 (※ネタバレ)
迂闊でした。
世間ではとっくに31巻が発売されていた・・・そのことに気が付きませんでした。
発売日を調べてみると11月18日。
既に一ヶ月以上が過ぎてしまっているこの体たらく。何ということだ!
あれだけ楽しみにしていた単行本の発売日を忘れるなんて・・・まるで「仕事に没頭するあまり家庭を全く顧みず、妻は子供を連れて家を出て、気が付けば一人ぼっちになっていた哀愁サラリーマン」みたいじゃないかと、呆然としてしまいました。
世間で言われているワークライフバランスは一体どこへ行ってしまったんだ。
ごめんよマギ。
僕は、本当に大切なものが何だったかを見失ってしまっていた。
きっとルフも濁っていただろう。でもきっと今からでも遅くない、本来の運命の流れに帰るんだ。
ピィピィ、ピィ・・・(ルフの囁き)
すみません。脱線してしまいました。
発売日を見逃していたことに、とにかく大きなショックを受けていたということを言いたかっただけなのです。そしてそんな自分にちょっとひたってしまった、そんな訳です。
ここ数ヶ月の人生の過ごし方に悲哀の涙をわずかに滲ませながら、ページを捲りました。
マギ31巻は、煌商会のメンバーとして活動するアリババが、レーム帝国でティトスやムーと再開を果たしたところから始まります。
これまで順調に転送魔法陣設置の同意を得てきたアリババ。
レーム帝国でも話はトントン拍子に進みます。
ここでは
・レーム帝国は国際同盟に参加していない。生き方を条約に縛られず、自分たちの意思で国を作っていくため。
・アリババに関しての話を聞く
・トトとオルバに子供ができていた→アリババが落ち込むとお決まりのパターン
といった要素を抑えておきたいと思います。
あと、「ネルヴァの反乱」のくだりが気になります。今のところ大きなインパクトは無いのですが、その動機が不明なままで、違和感が残っています。ムーとティトスの
「おだてられやすいボンボンといった感じの男なんだが・・・」
「誰かに焚き付けられたのかなぁ?」
という会話は、後々の伏線でしょう。今までも全然目立っていなかった男なので、どれくらいインパクトがあるのかは分かりませんが・・・。確か、魔装もできなかったはず・・・。
さてその後、商談をまとめたアリババはパルテビア帝国へ向かい、シンドバッドと再会します。シンドバットに仲介を頼み、紹介されたのはパルテビアの皇帝。ここでもトントン拍子に話が進みます。そのことに一抹の違和感を感じながらも、アリババは煌帝国に戻り、皆と喜びを分かち合うのでした。
しかしそれも束の間。転送魔法陣の設置に同意してくれていた全ての国から「許可できない」と一気に手のひらを返されてしまった煌帝国。それでも諦めないアリババは頼みのシンドバッドを訪れますが、そこで待っていたのはシンドバッドからの手痛い反撃の言葉でした。
「アリババ君、それは変だ。なぜなら、君が言ったのではなかったか?俺が他国のやり方に、口を出すべきではない、と・・・」
「それに、『商会』が他の『商会』に助けを求めるとは、どういう了見だ?」
30巻でシンドバットを手玉に取ったかのように言いくるめていたアリババでしたが、今となってはそれは手のひらの上で踊らされていただけのような印象にさえ見えてしまいました。
それほどの、シンドバッドからの痛烈な反撃を受け、完全に沈黙してしまうアリババ。
空気がシビれます。
でもそれでもアリババは諦めない。
第303夜の最後はアリババの立ち絵1枚でビシッと締め、これからの勝負に明るい気持ちで立ち向かっていくアリババが描かれて終わります。
さあ、新世界の「煌商会」編の導入部はこれでとりあえず終わりました。
シンドバッドが作り上げた新世界の仕組みを、アリババと煌帝国の奮闘を通じてひととおり説明を終えたという感じの印象でした。
シンドバッドがアリババに対して「王族の血を簡単に捨てられることが理解しがたい」「私はかつて喉から手が出るほど欲しかった」という台詞を言ったことがちょっと喉に引っかかりましたが。今のところ本来のエピソードとは関係ないような台詞ですが、後から効いてくるんでしょうね。
いつも余裕しゃくしゃくのシンドバッドからこんな台詞が出てきたことには静かな驚きを感じました。
ここからは、アラジン、モルジアナ、白龍の再登場によって一気に話が加速します。
(青年になったアラジンはソロモン王に似てめっちゃ格好良いです・・・)
正直なところ後半部分は内容が濃すぎて、レビューを書こうとすると、結局全ての話を書いてしまうことになり、それなら単行本を読んでもらったほうが早いという何だか良く分からない話になってしまいそうです。
話は面白いのですが、ブログ記事を書くのには辛い。
そこで!
ここでは思い切って、明らかになった「シンドバッドの狙い」に絞って感想を書いていきたいと思います。
第305夜「交わらない意思」で、シンドバッドが30巻で言っていた「聖宮の力が必要」という言葉の意味が遂に明かされました。
シンドバッドは、アラジンとの討論(?)の中でこう言います。
「ルフシステムの根本を書き換えるんだ!」
そう言い放つシンドバッドの表情はとても明るい。うきうき、わくわく、そんな印象さえ受ける表情です。
シンドバッドはルフシステムを書き換えることで、「自分が良いと思っていることを皆に良いと思わせて、そのとおりに行動させる世界を作り出す」ことを達成しようとしていることをこのあと話すのですが、心の底からそれが「良いことだ!」と心の底から考えているといった様子なのです。
なるほど、こう来たか・・・と思いました。
これが実現すると、ルフ、つまり「運命」に関する定義が、
1.イル・イラーが作り出した流れに沿うという単純なもの
↓↓↓
2.ソロモン王が考えた「皆が自分の意思で生き方を選べる」という世界
↓↓↓
3.シンドバッドが考えた「俺が良いと考えたことだけが全て」という世界
へと変わることになる訳ですね。
こうすれば世界から争いが無くなる、というのが今のところのシンドバッドの言い分な訳です。
ん?これって、まあ一つの立派な考えかもしれませんが、つまりは「お前らはつまらん考えで争いばっかりする奴らで結局は不幸を作るだけなんだ」「俺の言うことだけを聞けばいい。というかそれしか考えられないようにルフを書き換えて、存在そのものを作り変えてやる」という、超乱暴な話じゃないですかね。
早い話が最初のイル・イラーに自分がとって変わるだけのような気もします。
こんな展開が最終章でいいの?と正直なところ思いました。
もっと深い、恐ろしい話を織りなしてくれるに違いない、そんな期待を抱いていた自分としては、僅かだけですが拍子抜けした感じです。
ちょっとスプリガン(たかしげ宙)の「バベルの塔」のエピソードに似てますよね。
スプリガンでは、世界に絶望した魔道士がオーパーツである「バベルの塔」を使い、全世界を「オレ様教」という一つの宗教に統一することで世界を平和にしようと企んだ、というものでした。
「聖宮=バベルの塔」という視点で見てみると、物語の構造としてはよく似ています。
悪役の格好良さは全く異なりますが・・・。
この「バベルの塔」では、まあ、主人公たちに結局は魔道士が倒されてしまい、目的は達成されませんでしたが、マギではどうなるんでしょうかね。。。
そして単純に「皆のルフを書き換えて終わり」「それを阻止して終わり」という単純な話になるのでしょうか。
いや。
そんな訳はない。
なぜならマギだから。
きっと皆の想像を裏切る、超える展開を持ってくることを作者は考えているはずです。
まだまだ伏線もいっぱい残っていますしね。
31巻の最終話では、アルバとユナンが戦います。その目的は、アルバが暗黒大陸にいるアラジンを倒すこと。この戦いの向こうにはアラジンが見えている訳です。
2人のマギ同士は魔法全開で戦います。
30巻で「これからは金属器や魔法の戦いは見られない」とうそぶいた自分の考えは全く浅はかでした。
戦いの決着はまだ着かず、さあ、32巻は一体どうなっていくのでしょうか!?
という事で、久し振りにブログの記事を書いた訳ですが、何だかまとまりのない長い文書になってしまいました。やれやれ。
すっかり勘が鈍ってしまったようです。時間も相当かかってしまったし。。。
ワークライフバランスを考えないといけませんね、本当に。。。
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
世間ではとっくに31巻が発売されていた・・・そのことに気が付きませんでした。
発売日を調べてみると11月18日。
既に一ヶ月以上が過ぎてしまっているこの体たらく。何ということだ!
あれだけ楽しみにしていた単行本の発売日を忘れるなんて・・・まるで「仕事に没頭するあまり家庭を全く顧みず、妻は子供を連れて家を出て、気が付けば一人ぼっちになっていた哀愁サラリーマン」みたいじゃないかと、呆然としてしまいました。
世間で言われているワークライフバランスは一体どこへ行ってしまったんだ。
ごめんよマギ。
僕は、本当に大切なものが何だったかを見失ってしまっていた。
きっとルフも濁っていただろう。でもきっと今からでも遅くない、本来の運命の流れに帰るんだ。
ピィピィ、ピィ・・・(ルフの囁き)
すみません。脱線してしまいました。
発売日を見逃していたことに、とにかく大きなショックを受けていたということを言いたかっただけなのです。そしてそんな自分にちょっとひたってしまった、そんな訳です。
ここ数ヶ月の人生の過ごし方に悲哀の涙をわずかに滲ませながら、ページを捲りました。
マギ31巻は、煌商会のメンバーとして活動するアリババが、レーム帝国でティトスやムーと再開を果たしたところから始まります。
商談を進めろ!アリババ。そしてシンドバッドからの挑戦状。
これまで順調に転送魔法陣設置の同意を得てきたアリババ。
レーム帝国でも話はトントン拍子に進みます。
ここでは
・レーム帝国は国際同盟に参加していない。生き方を条約に縛られず、自分たちの意思で国を作っていくため。
・アリババに関しての話を聞く
・トトとオルバに子供ができていた→アリババが落ち込むとお決まりのパターン
といった要素を抑えておきたいと思います。
あと、「ネルヴァの反乱」のくだりが気になります。今のところ大きなインパクトは無いのですが、その動機が不明なままで、違和感が残っています。ムーとティトスの
「おだてられやすいボンボンといった感じの男なんだが・・・」
「誰かに焚き付けられたのかなぁ?」
という会話は、後々の伏線でしょう。今までも全然目立っていなかった男なので、どれくらいインパクトがあるのかは分かりませんが・・・。確か、魔装もできなかったはず・・・。
さてその後、商談をまとめたアリババはパルテビア帝国へ向かい、シンドバッドと再会します。シンドバットに仲介を頼み、紹介されたのはパルテビアの皇帝。ここでもトントン拍子に話が進みます。そのことに一抹の違和感を感じながらも、アリババは煌帝国に戻り、皆と喜びを分かち合うのでした。
しかしそれも束の間。転送魔法陣の設置に同意してくれていた全ての国から「許可できない」と一気に手のひらを返されてしまった煌帝国。それでも諦めないアリババは頼みのシンドバッドを訪れますが、そこで待っていたのはシンドバッドからの手痛い反撃の言葉でした。
「アリババ君、それは変だ。なぜなら、君が言ったのではなかったか?俺が他国のやり方に、口を出すべきではない、と・・・」
「それに、『商会』が他の『商会』に助けを求めるとは、どういう了見だ?」
30巻でシンドバットを手玉に取ったかのように言いくるめていたアリババでしたが、今となってはそれは手のひらの上で踊らされていただけのような印象にさえ見えてしまいました。
それほどの、シンドバッドからの痛烈な反撃を受け、完全に沈黙してしまうアリババ。
空気がシビれます。
でもそれでもアリババは諦めない。
第303夜の最後はアリババの立ち絵1枚でビシッと締め、これからの勝負に明るい気持ちで立ち向かっていくアリババが描かれて終わります。
さあ、新世界の「煌商会」編の導入部はこれでとりあえず終わりました。
シンドバッドが作り上げた新世界の仕組みを、アリババと煌帝国の奮闘を通じてひととおり説明を終えたという感じの印象でした。
シンドバッドがアリババに対して「王族の血を簡単に捨てられることが理解しがたい」「私はかつて喉から手が出るほど欲しかった」という台詞を言ったことがちょっと喉に引っかかりましたが。今のところ本来のエピソードとは関係ないような台詞ですが、後から効いてくるんでしょうね。
いつも余裕しゃくしゃくのシンドバッドからこんな台詞が出てきたことには静かな驚きを感じました。
アラジン再登場、明らかになるシンドバッドの狙い
ここからは、アラジン、モルジアナ、白龍の再登場によって一気に話が加速します。
(青年になったアラジンはソロモン王に似てめっちゃ格好良いです・・・)
正直なところ後半部分は内容が濃すぎて、レビューを書こうとすると、結局全ての話を書いてしまうことになり、それなら単行本を読んでもらったほうが早いという何だか良く分からない話になってしまいそうです。
話は面白いのですが、ブログ記事を書くのには辛い。
そこで!
ここでは思い切って、明らかになった「シンドバッドの狙い」に絞って感想を書いていきたいと思います。
第305夜「交わらない意思」で、シンドバッドが30巻で言っていた「聖宮の力が必要」という言葉の意味が遂に明かされました。
シンドバッドは、アラジンとの討論(?)の中でこう言います。
「ルフシステムの根本を書き換えるんだ!」
そう言い放つシンドバッドの表情はとても明るい。うきうき、わくわく、そんな印象さえ受ける表情です。
シンドバッドはルフシステムを書き換えることで、「自分が良いと思っていることを皆に良いと思わせて、そのとおりに行動させる世界を作り出す」ことを達成しようとしていることをこのあと話すのですが、心の底からそれが「良いことだ!」と心の底から考えているといった様子なのです。
なるほど、こう来たか・・・と思いました。
これが実現すると、ルフ、つまり「運命」に関する定義が、
1.イル・イラーが作り出した流れに沿うという単純なもの
↓↓↓
2.ソロモン王が考えた「皆が自分の意思で生き方を選べる」という世界
↓↓↓
3.シンドバッドが考えた「俺が良いと考えたことだけが全て」という世界
へと変わることになる訳ですね。
こうすれば世界から争いが無くなる、というのが今のところのシンドバッドの言い分な訳です。
ん?これって、まあ一つの立派な考えかもしれませんが、つまりは「お前らはつまらん考えで争いばっかりする奴らで結局は不幸を作るだけなんだ」「俺の言うことだけを聞けばいい。というかそれしか考えられないようにルフを書き換えて、存在そのものを作り変えてやる」という、超乱暴な話じゃないですかね。
早い話が最初のイル・イラーに自分がとって変わるだけのような気もします。
こんな展開が最終章でいいの?と正直なところ思いました。
もっと深い、恐ろしい話を織りなしてくれるに違いない、そんな期待を抱いていた自分としては、僅かだけですが拍子抜けした感じです。
ちょっとスプリガン(たかしげ宙)の「バベルの塔」のエピソードに似てますよね。
スプリガンでは、世界に絶望した魔道士がオーパーツである「バベルの塔」を使い、全世界を「オレ様教」という一つの宗教に統一することで世界を平和にしようと企んだ、というものでした。
「聖宮=バベルの塔」という視点で見てみると、物語の構造としてはよく似ています。
悪役の格好良さは全く異なりますが・・・。
この「バベルの塔」では、まあ、主人公たちに結局は魔道士が倒されてしまい、目的は達成されませんでしたが、マギではどうなるんでしょうかね。。。
そして単純に「皆のルフを書き換えて終わり」「それを阻止して終わり」という単純な話になるのでしょうか。
いや。
そんな訳はない。
なぜならマギだから。
きっと皆の想像を裏切る、超える展開を持ってくることを作者は考えているはずです。
まだまだ伏線もいっぱい残っていますしね。
そして32巻へ
31巻の最終話では、アルバとユナンが戦います。その目的は、アルバが暗黒大陸にいるアラジンを倒すこと。この戦いの向こうにはアラジンが見えている訳です。
2人のマギ同士は魔法全開で戦います。
30巻で「これからは金属器や魔法の戦いは見られない」とうそぶいた自分の考えは全く浅はかでした。
戦いの決着はまだ着かず、さあ、32巻は一体どうなっていくのでしょうか!?
という事で、久し振りにブログの記事を書いた訳ですが、何だかまとまりのない長い文書になってしまいました。やれやれ。
すっかり勘が鈍ってしまったようです。時間も相当かかってしまったし。。。
ワークライフバランスを考えないといけませんね、本当に。。。
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
2016年07月21日
マギ 30巻 大高 忍 (※ネタバレ)
さあ!
待ちにまったマギの最新刊、30巻が発売されました。
表紙は、背中に大荷物を背負って旅人のような雰囲気を醸し出し、陽の光を浴びてキラキラと光っている少し大人びたアリババ。
帯には”商人アリババ、新世界を大冒険!!”のコピーが。
29巻は生き返ったアリババがシンドバッドに会い、次に、煌帝国の皇帝になった紅玉に会いに行くというところで終わりました。
戦争のない、金属器のない新世界でどのようなストーリーが進んでいくのか・・・。急ぐ心を整えながらページを捲っていきました。
(読後の感想。ここからネタバレです)
最終章、最後の物語はアリババの旅から始まりました。
まだアラジン、モルジアナの行方は分かりません。暫くは静かにアリババの旅を見守るしかなさそうです。
30巻では、少しずつシンドバッドが築き上げた「平和な新世界」の様子が少しずつ明らかにされていきました。それは煌帝国からの視点であったり、アリババがかつて交流していた人物からの視点であったり、様々です。
何はともあれ「30巻も面白い!」ことは間違いありませんでした!
その中で中心になるトピックや気になった事項に焦点を幾つか当てて、紹介したいと思います。
煌帝国の弱体化振りは29巻で描かれていたとおりですが、30巻でアリババが紅玉から聞いたのは「煌帝国の破綻秒読み」という現状でした。それを何とかしたいと考えたアリババは、何と、かつての煌帝国軍隊を商会として機能させて、商売で復興するという考えを絞り出します。
その第一歩として、アリババは、シンドバッドに「返済を1年間無条件で引き伸ばして欲しい。利子も凍結して欲しい」との交渉を行い、これを成功させます。
こう来るか!と唸る展開ですが、しかし同時に、
マギってビジネス漫画だったっけ?
と呆気に取られる自分がいました。
これまでは魔法や金属器による戦いで物語が進んでいきましたが、シンドバッドが作り出した平和な世界を舞台に、今後は経済戦争が繰り広げられていくということなんでしょうか?
シンドバッドとアリババが智慧の限りを尽くし、マネーの世界で生きるか死ぬか、生き馬の目を抜く熾烈な戦いを繰り広げる・・・。
いやまあそれはそれで面白いと思いますが、やっぱりマギは30巻の裏表紙に書いているとおり「究極魔導ファンタジー」な訳ですから、魔法や金属器の戦いもやっぱり見たい。
しかしながら暫くは、アリババが煌帝国を商売でどのように立ち直らせるかということを主軸に話が進みそうです。30巻の最後では、その商売のキモとして「転送魔法陣」の仕組みを活用するべく、アリババが各国に交渉の旅に出ます。
まずは、この行方を静かに見守りたいと思います。
でも何か、少し、今の私たちのリアルな世界に似ている感じがしてきましたね…。一つ一つのことが他人事だと思えず、意識に引っ掛かります。
29巻でその片鱗を見せていました、アリババが得た「新しい力」の正体が冒頭で明かされます。
それは、
一瞬を永遠に感じる超集中力(ユナン談)
です。つまり、もの凄い集中力を発揮することで、まるで自分以外の時間が止まったかのように振る舞うことが出来るという能力です。
これにより、敵の攻撃をたやすく捌くことができたり、膨大な書類の山をとんでもない速度で理解することができたりします。
まるで”JOJOの奇妙な冒険”第三部のザ・ワールドや、スタープラチナのような能力。
欲しい・・・(自分自身の心の呟き)
もとい!
これまでは金属器・魔装の力、バルバッド剣術、マゴイ操作(未熟)を持ちながらもどこか頼りなかった感じのあったアリババ。人間的な魅力は大きいものの、戦闘力に難あり・・・といった印象でしたが、この新しい力により、戦闘においても一気に頼れる存在となった感があります。
アリババの今後の活躍がますます楽しみです。
あ、でも、金属器は封印されているんですよね。
ところで、このアリババの力についてユナンが解説しているシーンの一コマに、アリババにハニワの身体を与えた人物のシルエットが出てきます。
よく見ると、「アルマトラン」の魔道士である、ワヒードとセッタだということが分かります。
一人は肩に子供を乗せているのと、目隠しっぽいシルエットがあり、ワヒードだととすぐに分かりました。もう一人はファーラン(ワヒードの妻)かな?とも思いましたが何かシルエットが違う・・・と確信が持てず、22巻を引っ張りだして神杖の形を確認したところセッタでした。
2人の周囲には黒ルフの絵が描かれていますから、
・ソロモンによりルフが白く染められる前に死んだセッタ
・イル・イラーを地上に引き下ろし、自らはイル・イラーに帰っていったワヒード
という事実とも突合できますので、まず間違いないでしょう。
ワヒードは自分の子供であるテスのルフに巡り会えたんですね(肩に乗せてているから)。アルマトランは滅びましたが、テスとワヒード、魔道士唯一の親子が黒いルフの中で巡り会えたことは少しだけ救われたなあという感じがしました。
でもちょっと気になるのは、かつて「アル・サーメン」としてソロモンに敵対したワヒードがなぜアリババに力を貸したのでしょうか?ワヒードとセッタ、アリババの中でどんな話がされたのかがとても気になります。
このあたりも少しずつ明かされていくことだと思います。
楽しみです。
29巻のアリババとシンドバッドとの会談で、シンドバッドは自らがダビデと繋がったことを伝えました。
一方アリババは、死んでいる間に魔道士から「ダビデがシンドバッドと繋がり、イル・イラーを地上に下ろそうとしている」と聞き、それを止めようとしています。
それでいてシンドバッドとのこれまでの関わりから、その話をすぐには受け容れる事ができないため、シンドバッドという人間のことを見定めようとしています。
アリババがそのために取った方法は、シンドバッドを知る人からの話を会って聞いていくこと。煌帝国の商業のための旅と並行して、アリババは「自分が死んでいた間のシンドバッドさんのことを教えて欲しい」と尋ねていきます。
これについて、30巻の中で印象的だった台詞は次の2つです。
・マスルール
「アリババ、シンさんは超人じゃない。だから、あまり追いつめるな。」
・シャルルカン
「俺には・・・・・・国が小さいことだとは思えねぇ。エリオハプトが大事だし、王サマが王様だった頃のシンドリア王国が・・・まぁ・・・大好きだったんだよ。」
※シンドバッドの「国という、小さなことに囚われず生きなさい。」という台詞を受けて。
特にマスルールの言葉が意味深です。言葉少ないキャラということも効いていると思いますが、アリババの話のどこが「シンドバッドのことを追いつめようとしている」のかが、とりあえず分かりません。
きっと後で「あれはそういうことだったのか!」ということになるんでしょうね。楽しみですし、落ち着いて時間が取れたら、じっくりと考察してみたい点です。
あまり話の本筋とは関係ないと思いますが、ちょっと面白かったので触れておきたいです。
煌帝国復興のために、アリババに連れ戻された紅明が「魔導研究施設」の状況を確認しに行くシーンが出てきます。ここで紅明が幼いころから先見の明を持ち、魔導を研究していたということが明らかにされますが、その中で「乾卦札」というものが出てきます。
これは肉体の腐乱を止める魔法札(キョンシーみたいな感じ)なのですが、「何に使うんだよ」と聞いたアリババに対し、紅明は「死者を蘇らせるのですよ。」と言い放ちます。アリババは激昂して「死んだ人間を弄んでいいと思ってんのかよ・・・!!」と凄みますが、これに対して紅明とその仲間たち(煌帝国)は、いとも涼しい顔で次のように言います。
紅明「弄んでなどいません。彼らは死後も、世界を一つにするために、戦い続ける事ができるのです。」
部下A「すばらしいっ!!この上ない名誉ではありませんかっ!!」
部下B「俺も魂なき後も、煌のために、身体がちぎれるまで戦いたいものだ!!」
部下C「私もだ!!」
コレに対してアリババは呆然と呆れ返って、これ以上何も非難はしませんでした。
なんて危ねー国なんだ・・・と私も空恐ろしく感じましたが、しかし煌帝国に生きる人間にとってはごく当たり前の考えだということなんですよね。アリババもそれ以上言わなかったということは、少なくともこの世界において、「死者を蘇らせて戦わせる」ことが絶対に悪だという普遍的な価値観はないという事になります。
これもまた、漫画「マギ」が示す一つの真理なのかもしれません。
世界には様々な考え方・文化があり、それぞれがそれぞれにおいて存在しているのであり、「絶対的に正しい何か」なんて世界には無いんだというメッセージとも受け取れます。
そういえば、エリオハプトでの「そういう文化なんだよ、慣れろ」という台詞も、その一つかもしれません。
相変わらず考えさせられます。「マギ」。
がらっと装いを新たにした新世界を舞台に進められる最終章。
金属器もない、魔法のバトルも繰り広げられない、どこか寂しい感じもしたマギ30巻ですが、活き活きと動く登場人物たちによって進められていく物語は何の翳りも見せない、むしろ「どう進んでいくんだろう?」というワクワクを感じさせるものです。
まだまだ最終章は始まったばかりで、物語が一体どこへ向かおうとしているのかは読み取れません。
そしてまだ姿を見せない、アラジン、モルジアナ。
30巻を読んだばかりでアレですけれど、
31巻が待ち遠しい!!
ということで、30巻の感想でした。
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
待ちにまったマギの最新刊、30巻が発売されました。
表紙は、背中に大荷物を背負って旅人のような雰囲気を醸し出し、陽の光を浴びてキラキラと光っている少し大人びたアリババ。
帯には”商人アリババ、新世界を大冒険!!”のコピーが。
29巻は生き返ったアリババがシンドバッドに会い、次に、煌帝国の皇帝になった紅玉に会いに行くというところで終わりました。
戦争のない、金属器のない新世界でどのようなストーリーが進んでいくのか・・・。急ぐ心を整えながらページを捲っていきました。
(読後の感想。ここからネタバレです)
最終章、最後の物語はアリババの旅から始まりました。
まだアラジン、モルジアナの行方は分かりません。暫くは静かにアリババの旅を見守るしかなさそうです。
30巻では、少しずつシンドバッドが築き上げた「平和な新世界」の様子が少しずつ明らかにされていきました。それは煌帝国からの視点であったり、アリババがかつて交流していた人物からの視点であったり、様々です。
何はともあれ「30巻も面白い!」ことは間違いありませんでした!
その中で中心になるトピックや気になった事項に焦点を幾つか当てて、紹介したいと思います。
煌帝国を立て直せ!
煌帝国の弱体化振りは29巻で描かれていたとおりですが、30巻でアリババが紅玉から聞いたのは「煌帝国の破綻秒読み」という現状でした。それを何とかしたいと考えたアリババは、何と、かつての煌帝国軍隊を商会として機能させて、商売で復興するという考えを絞り出します。
その第一歩として、アリババは、シンドバッドに「返済を1年間無条件で引き伸ばして欲しい。利子も凍結して欲しい」との交渉を行い、これを成功させます。
こう来るか!と唸る展開ですが、しかし同時に、
マギってビジネス漫画だったっけ?
と呆気に取られる自分がいました。
これまでは魔法や金属器による戦いで物語が進んでいきましたが、シンドバッドが作り出した平和な世界を舞台に、今後は経済戦争が繰り広げられていくということなんでしょうか?
シンドバッドとアリババが智慧の限りを尽くし、マネーの世界で生きるか死ぬか、生き馬の目を抜く熾烈な戦いを繰り広げる・・・。
いやまあそれはそれで面白いと思いますが、やっぱりマギは30巻の裏表紙に書いているとおり「究極魔導ファンタジー」な訳ですから、魔法や金属器の戦いもやっぱり見たい。
しかしながら暫くは、アリババが煌帝国を商売でどのように立ち直らせるかということを主軸に話が進みそうです。30巻の最後では、その商売のキモとして「転送魔法陣」の仕組みを活用するべく、アリババが各国に交渉の旅に出ます。
まずは、この行方を静かに見守りたいと思います。
でも何か、少し、今の私たちのリアルな世界に似ている感じがしてきましたね…。一つ一つのことが他人事だと思えず、意識に引っ掛かります。
アリババが得た”新しい力”と、アルマトラン時代の魔道士
29巻でその片鱗を見せていました、アリババが得た「新しい力」の正体が冒頭で明かされます。
それは、
一瞬を永遠に感じる超集中力(ユナン談)
です。つまり、もの凄い集中力を発揮することで、まるで自分以外の時間が止まったかのように振る舞うことが出来るという能力です。
これにより、敵の攻撃をたやすく捌くことができたり、膨大な書類の山をとんでもない速度で理解することができたりします。
まるで”JOJOの奇妙な冒険”第三部のザ・ワールドや、スタープラチナのような能力。
欲しい・・・(自分自身の心の呟き)
もとい!
これまでは金属器・魔装の力、バルバッド剣術、マゴイ操作(未熟)を持ちながらもどこか頼りなかった感じのあったアリババ。人間的な魅力は大きいものの、戦闘力に難あり・・・といった印象でしたが、この新しい力により、戦闘においても一気に頼れる存在となった感があります。
アリババの今後の活躍がますます楽しみです。
あ、でも、金属器は封印されているんですよね。
ところで、このアリババの力についてユナンが解説しているシーンの一コマに、アリババにハニワの身体を与えた人物のシルエットが出てきます。
よく見ると、「アルマトラン」の魔道士である、ワヒードとセッタだということが分かります。
一人は肩に子供を乗せているのと、目隠しっぽいシルエットがあり、ワヒードだととすぐに分かりました。もう一人はファーラン(ワヒードの妻)かな?とも思いましたが何かシルエットが違う・・・と確信が持てず、22巻を引っ張りだして神杖の形を確認したところセッタでした。
2人の周囲には黒ルフの絵が描かれていますから、
・ソロモンによりルフが白く染められる前に死んだセッタ
・イル・イラーを地上に引き下ろし、自らはイル・イラーに帰っていったワヒード
という事実とも突合できますので、まず間違いないでしょう。
ワヒードは自分の子供であるテスのルフに巡り会えたんですね(肩に乗せてているから)。アルマトランは滅びましたが、テスとワヒード、魔道士唯一の親子が黒いルフの中で巡り会えたことは少しだけ救われたなあという感じがしました。
でもちょっと気になるのは、かつて「アル・サーメン」としてソロモンに敵対したワヒードがなぜアリババに力を貸したのでしょうか?ワヒードとセッタ、アリババの中でどんな話がされたのかがとても気になります。
このあたりも少しずつ明かされていくことだと思います。
楽しみです。
シンドバッドを探る旅・・・
29巻のアリババとシンドバッドとの会談で、シンドバッドは自らがダビデと繋がったことを伝えました。
一方アリババは、死んでいる間に魔道士から「ダビデがシンドバッドと繋がり、イル・イラーを地上に下ろそうとしている」と聞き、それを止めようとしています。
それでいてシンドバッドとのこれまでの関わりから、その話をすぐには受け容れる事ができないため、シンドバッドという人間のことを見定めようとしています。
アリババがそのために取った方法は、シンドバッドを知る人からの話を会って聞いていくこと。煌帝国の商業のための旅と並行して、アリババは「自分が死んでいた間のシンドバッドさんのことを教えて欲しい」と尋ねていきます。
これについて、30巻の中で印象的だった台詞は次の2つです。
・マスルール
「アリババ、シンさんは超人じゃない。だから、あまり追いつめるな。」
・シャルルカン
「俺には・・・・・・国が小さいことだとは思えねぇ。エリオハプトが大事だし、王サマが王様だった頃のシンドリア王国が・・・まぁ・・・大好きだったんだよ。」
※シンドバッドの「国という、小さなことに囚われず生きなさい。」という台詞を受けて。
特にマスルールの言葉が意味深です。言葉少ないキャラということも効いていると思いますが、アリババの話のどこが「シンドバッドのことを追いつめようとしている」のかが、とりあえず分かりません。
きっと後で「あれはそういうことだったのか!」ということになるんでしょうね。楽しみですし、落ち着いて時間が取れたら、じっくりと考察してみたい点です。
番外編:危険な国・煌帝国と紅明
あまり話の本筋とは関係ないと思いますが、ちょっと面白かったので触れておきたいです。
煌帝国復興のために、アリババに連れ戻された紅明が「魔導研究施設」の状況を確認しに行くシーンが出てきます。ここで紅明が幼いころから先見の明を持ち、魔導を研究していたということが明らかにされますが、その中で「乾卦札」というものが出てきます。
これは肉体の腐乱を止める魔法札(キョンシーみたいな感じ)なのですが、「何に使うんだよ」と聞いたアリババに対し、紅明は「死者を蘇らせるのですよ。」と言い放ちます。アリババは激昂して「死んだ人間を弄んでいいと思ってんのかよ・・・!!」と凄みますが、これに対して紅明とその仲間たち(煌帝国)は、いとも涼しい顔で次のように言います。
紅明「弄んでなどいません。彼らは死後も、世界を一つにするために、戦い続ける事ができるのです。」
部下A「すばらしいっ!!この上ない名誉ではありませんかっ!!」
部下B「俺も魂なき後も、煌のために、身体がちぎれるまで戦いたいものだ!!」
部下C「私もだ!!」
コレに対してアリババは呆然と呆れ返って、これ以上何も非難はしませんでした。
なんて危ねー国なんだ・・・と私も空恐ろしく感じましたが、しかし煌帝国に生きる人間にとってはごく当たり前の考えだということなんですよね。アリババもそれ以上言わなかったということは、少なくともこの世界において、「死者を蘇らせて戦わせる」ことが絶対に悪だという普遍的な価値観はないという事になります。
これもまた、漫画「マギ」が示す一つの真理なのかもしれません。
世界には様々な考え方・文化があり、それぞれがそれぞれにおいて存在しているのであり、「絶対的に正しい何か」なんて世界には無いんだというメッセージとも受け取れます。
そういえば、エリオハプトでの「そういう文化なんだよ、慣れろ」という台詞も、その一つかもしれません。
相変わらず考えさせられます。「マギ」。
まとめ
がらっと装いを新たにした新世界を舞台に進められる最終章。
金属器もない、魔法のバトルも繰り広げられない、どこか寂しい感じもしたマギ30巻ですが、活き活きと動く登場人物たちによって進められていく物語は何の翳りも見せない、むしろ「どう進んでいくんだろう?」というワクワクを感じさせるものです。
まだまだ最終章は始まったばかりで、物語が一体どこへ向かおうとしているのかは読み取れません。
そしてまだ姿を見せない、アラジン、モルジアナ。
30巻を読んだばかりでアレですけれど、
31巻が待ち遠しい!!
ということで、30巻の感想でした。
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
タグ:マギ
2016年04月16日
マギ 29巻 大高 忍 (※ネタバレ)
28巻の発売から3ヶ月・・・。
待ちに待ったマギの最新刊、29巻が発売されました!
表紙は不敵な笑みを浮かべるシンドバッド・・・
帯には”最終魔導冒険譚「最終章」突入!!!!!!!”のコピーが。
煌帝国編が完結するのは全巻の流れから分かっていましたが、なんと次は「最終章」と銘打たれ、怒涛の勢いでストーリーが加速していくという予感を感じさせます。
煌帝国編でアラジンの価値観が大きく揺らぎを見せたなか、シンドバッド王が世界を束ねようという動きを見せ、一体物語はどんな終わりを見せようとしているのか・・・
ドキドキが止まりません。
そんな感情を落ち着かせながら、29巻のページを捲りました。
※ところで最新刊、マギ30巻のネタバレ・感想のページはこちらです。※
↓↓
マギ 30巻 大高 忍 (※ネタバレ)
(読後の感想。ここからネタバレです)
ナニコレ!!
最終章のあまりの急展開に全然理解が追いつきません。ここに来て、また「マギ」は読者に新たな挑戦状を叩きつけてきましたよ。
これまでのマギは、帯のコピー”魔導冒険譚”に表されているとおり、魔法と金属器による魔導の戦いがメインの物語でした。
アラジンやジュダルといったマギが繰り出す魔法や、金属器使いがそれぞれの金属器・ジンの特性に沿った独自の魔装・極大魔法できらびやかな戦いを繰り広げ、その格好良さ、スケールの大きさに心を奪われてきました。
また、その魔法の背景となる「ルフ」の存在、そのルフが恨みなどの負の感情で黒く変わる「堕転」といった要素が絡み、「アルマトラン」「イル・イラー」という世界そのものが大きく揺さぶられるスケールの大きなファンタジーとしての物語でした。
それがなんと「最終章」では、世界から大きな争いは消えていて、戦争のない平和な世界がいきなり実現されているのです。
それを作り上げたのが他でもないシンドバッド。
世界には平和利用される魔法道具が満ち溢れ、携帯電話のような通信具、飛行船、空飛ぶ絨毯などがごくごく当たり前に使われています。
その代わりに、金属器は姿を消しています。
シンドバッドが作り出した国際同盟がほぼ全ての金属器を管理していて、誰も使えない状態にされているのです。
それはつまり、マギの大きな見どころだった「魔装」による派手な魔法の戦いが、今後は見られないということを意味します。
これって、あれですよ。
「ワンピース」に例えたら分かりやすいと思うのですが、「全員、悪魔の実の能力が使えなくなる」ということと同じなんですよ。
ルフィが手足が伸びないただの人間になり、チョッパーはただのトナカイになり、海軍の将軍たちもただの覇気使いに成り下がる。
ワンピースにとって「悪魔の実」は、それぞれの登場人物を特徴づける要素であり、ビジュアル的にも、戦いの演出的にもマンガの大きな売りとなっている部分です。
これは十分に納得していただける説明だと思いますが・・・。
マギでの「金属器」もこれと同じです。
それをいきなり封印してしまう。
これ、凄くないですか?
悪魔の実が一切出てこないワンピースになったら一体どうしたらいいのか、読者は大混乱するのではないかと思います。
マギは、29巻から、これをやろうとしているんです。
ユナンは「これにより世界は……暴力や国家権力ではなく、『商会』が力を持つ世界へと変わったんだ」とアリババへ伝えました。
商会・・・つまり、これからはビジネス・ファンタジー漫画になるんでしょうか。いやいや、そんな単純な話ではないでしょう。簡単には想像できません。
こんな大転換をしてしまうマギ。
やはり凄い…恐ろしい漫画です。今後どのように話が展開していくのか、全く目が離せなくなってしまいました。
しばらくハニワになっていたアリババが復活します。
ハニワも可愛かったのでちょっと寂しい気もしますが・・・
復活したアリババは何だか不思議な力を身に付けていて、金属器が無くても、屈強な兵士たちをやすやすと倒すという離れ業を見せます。
アリババが復活してから以降、29巻の途中からは、アリババを中心にストーリーが展開します。
シンドバットを訪ねたアリババは、「あなたはアルマトラン時代の魔道士『ダビデ』なのではありませんか?」といきなり核心を付きます。シンドバッドはこれを認めたうえで、軽くかわしますが、その真偽は定かではありません。
次にアリババが向かったのは煌帝国。ここで29巻は終わりますが、アラジンは忽然と姿を消したままの状態となっていますから、しばらくはアリババを中心に物語が進みそうです。
豊かで平和な世界を作り上げたシンドバッド。
しかしその意識は『ダビデ』と繋がっていて、更にアルマトランの魔術師であるアルバと手を組んでしまいました。
何を狙っているのか、さっぱり分かりません。
アリババは『ダビデ(つまりシンドバッド)』が「世界を自由にいじくるために聖宮の力を必要としている」とユナンに伝えます。
そしてシンドバッドは、アルバとの会話の中で「ソロモン王が作ったその古いきまりごとの外に出るためには・・・やはり聖宮の力が必要だな」と言いました。
シンドバッドが言う”その古いきまりごと”とは何なのか。
マギによって力を与えられた王が世界を収めるという、マギシステムのことなのか。
あるいは、ソロモン王がかつて言った言葉、
「真実を知ってしまった今、『運命』を神に支配されたままでは俺たちは絶望で生きてはいられない。
みんながそれぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界にしなくては。」
このことを指しているのか。
もしそうだとすれば、シンドバッドは、「それぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界」の外に出ようとしていることとなり、それはつまり、世界の『運命』を支配する神になろうという事にならないでしょうか。
うーん。。。
ますます分かりません。
シンドバッドの目的、目指す世界は一体何なのか。
アルバが寄り添っているところが何とも不気味な香りを漂わせていて、目が離せません。
26巻で白龍は「不幸だからと・・・あなたに生き方を決められたくはないな。」とアラジンに言い放ちました。
その後、自らが正しいと考える道に従い、国を自分の手の中に収めるためにシンドバッドと手を組み、兄弟に戦争を挑みました。
そして勝利を収めました。
ここまでが28巻までの話です。
ところがようやく国を我が手に取り戻した矢先、訪れてきたシンドバッドが
「国という垣根はいずれこの世界中から消えてなくなるだろう」
と語ります。
これに白龍は愕然とします。
だってそうですよね、「国」を自分の手に取り戻すために力を手にし、兵士の心を金属器で操り、兄弟を戦いの末に傷つけ、自分のマギであるジュダルを失ったんですよ。
多くの犠牲を払って取り戻した「国」、それを取り戻させようと炊きつけてきたシンドバッドその人が、「国」をこの世界から無くすと言ってきたのです。
ああ、もう、白龍が可哀想すぎる。。。
全巻でも白龍が可哀想と言いましたが、まだ先があったんですね。
そんな白龍が言った言葉。
「人間の『正しさ』など、変わるから・・・・・・」
これが正しい!という強い気持ちで突き進むのが少年漫画の主人公です。
少年漫画のヒーローなら、どんなに悩んだって、苦しんだって、やがては「これが正しい!」という信念の強さでそれらを乗り越えていくのが普通ですよね。
それなのに、「絶対的な正しさなんて無い」と、マギは読者に無常観をドンと提示してきます。
読者の価値観をとことん揺さぶり、「その考えは正しいのかい?」と問いかけてくるかのようです。
本当に恐ろしい漫画です。
最終章の始まりとなる第29巻は、非常に濃い内容が詰まった1冊でした。
1巻〜29巻をじっくりと読み込んで、もう一度自分の中の「マギ」を整理してみたいと思います。
凄い漫画や。。。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
待ちに待ったマギの最新刊、29巻が発売されました!
表紙は不敵な笑みを浮かべるシンドバッド・・・
帯には”最終魔導冒険譚「最終章」突入!!!!!!!”のコピーが。
煌帝国編が完結するのは全巻の流れから分かっていましたが、なんと次は「最終章」と銘打たれ、怒涛の勢いでストーリーが加速していくという予感を感じさせます。
煌帝国編でアラジンの価値観が大きく揺らぎを見せたなか、シンドバッド王が世界を束ねようという動きを見せ、一体物語はどんな終わりを見せようとしているのか・・・
ドキドキが止まりません。
そんな感情を落ち着かせながら、29巻のページを捲りました。
※ところで最新刊、マギ30巻のネタバレ・感想のページはこちらです。※
↓↓
マギ 30巻 大高 忍 (※ネタバレ)
(読後の感想。ここからネタバレです)
ナニコレ!!
最終章のあまりの急展開に全然理解が追いつきません。ここに来て、また「マギ」は読者に新たな挑戦状を叩きつけてきましたよ。
金属器封印!?
これまでのマギは、帯のコピー”魔導冒険譚”に表されているとおり、魔法と金属器による魔導の戦いがメインの物語でした。
アラジンやジュダルといったマギが繰り出す魔法や、金属器使いがそれぞれの金属器・ジンの特性に沿った独自の魔装・極大魔法できらびやかな戦いを繰り広げ、その格好良さ、スケールの大きさに心を奪われてきました。
また、その魔法の背景となる「ルフ」の存在、そのルフが恨みなどの負の感情で黒く変わる「堕転」といった要素が絡み、「アルマトラン」「イル・イラー」という世界そのものが大きく揺さぶられるスケールの大きなファンタジーとしての物語でした。
それがなんと「最終章」では、世界から大きな争いは消えていて、戦争のない平和な世界がいきなり実現されているのです。
それを作り上げたのが他でもないシンドバッド。
世界には平和利用される魔法道具が満ち溢れ、携帯電話のような通信具、飛行船、空飛ぶ絨毯などがごくごく当たり前に使われています。
その代わりに、金属器は姿を消しています。
シンドバッドが作り出した国際同盟がほぼ全ての金属器を管理していて、誰も使えない状態にされているのです。
それはつまり、マギの大きな見どころだった「魔装」による派手な魔法の戦いが、今後は見られないということを意味します。
これって、あれですよ。
「ワンピース」に例えたら分かりやすいと思うのですが、「全員、悪魔の実の能力が使えなくなる」ということと同じなんですよ。
ルフィが手足が伸びないただの人間になり、チョッパーはただのトナカイになり、海軍の将軍たちもただの覇気使いに成り下がる。
ワンピースにとって「悪魔の実」は、それぞれの登場人物を特徴づける要素であり、ビジュアル的にも、戦いの演出的にもマンガの大きな売りとなっている部分です。
これは十分に納得していただける説明だと思いますが・・・。
マギでの「金属器」もこれと同じです。
それをいきなり封印してしまう。
これ、凄くないですか?
悪魔の実が一切出てこないワンピースになったら一体どうしたらいいのか、読者は大混乱するのではないかと思います。
マギは、29巻から、これをやろうとしているんです。
ユナンは「これにより世界は……暴力や国家権力ではなく、『商会』が力を持つ世界へと変わったんだ」とアリババへ伝えました。
商会・・・つまり、これからはビジネス・ファンタジー漫画になるんでしょうか。いやいや、そんな単純な話ではないでしょう。簡単には想像できません。
こんな大転換をしてしまうマギ。
やはり凄い…恐ろしい漫画です。今後どのように話が展開していくのか、全く目が離せなくなってしまいました。
アリババ復活
しばらくハニワになっていたアリババが復活します。
ハニワも可愛かったのでちょっと寂しい気もしますが・・・
復活したアリババは何だか不思議な力を身に付けていて、金属器が無くても、屈強な兵士たちをやすやすと倒すという離れ業を見せます。
アリババが復活してから以降、29巻の途中からは、アリババを中心にストーリーが展開します。
シンドバットを訪ねたアリババは、「あなたはアルマトラン時代の魔道士『ダビデ』なのではありませんか?」といきなり核心を付きます。シンドバッドはこれを認めたうえで、軽くかわしますが、その真偽は定かではありません。
次にアリババが向かったのは煌帝国。ここで29巻は終わりますが、アラジンは忽然と姿を消したままの状態となっていますから、しばらくはアリババを中心に物語が進みそうです。
シンドバッドの目的は一体・・・!?
豊かで平和な世界を作り上げたシンドバッド。
しかしその意識は『ダビデ』と繋がっていて、更にアルマトランの魔術師であるアルバと手を組んでしまいました。
何を狙っているのか、さっぱり分かりません。
アリババは『ダビデ(つまりシンドバッド)』が「世界を自由にいじくるために聖宮の力を必要としている」とユナンに伝えます。
そしてシンドバッドは、アルバとの会話の中で「ソロモン王が作ったその古いきまりごとの外に出るためには・・・やはり聖宮の力が必要だな」と言いました。
シンドバッドが言う”その古いきまりごと”とは何なのか。
マギによって力を与えられた王が世界を収めるという、マギシステムのことなのか。
あるいは、ソロモン王がかつて言った言葉、
「真実を知ってしまった今、『運命』を神に支配されたままでは俺たちは絶望で生きてはいられない。
みんながそれぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界にしなくては。」
このことを指しているのか。
もしそうだとすれば、シンドバッドは、「それぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界」の外に出ようとしていることとなり、それはつまり、世界の『運命』を支配する神になろうという事にならないでしょうか。
うーん。。。
ますます分かりません。
シンドバッドの目的、目指す世界は一体何なのか。
アルバが寄り添っているところが何とも不気味な香りを漂わせていて、目が離せません。
価値観の揺さぶり
26巻で白龍は「不幸だからと・・・あなたに生き方を決められたくはないな。」とアラジンに言い放ちました。
その後、自らが正しいと考える道に従い、国を自分の手の中に収めるためにシンドバッドと手を組み、兄弟に戦争を挑みました。
そして勝利を収めました。
ここまでが28巻までの話です。
ところがようやく国を我が手に取り戻した矢先、訪れてきたシンドバッドが
「国という垣根はいずれこの世界中から消えてなくなるだろう」
と語ります。
これに白龍は愕然とします。
だってそうですよね、「国」を自分の手に取り戻すために力を手にし、兵士の心を金属器で操り、兄弟を戦いの末に傷つけ、自分のマギであるジュダルを失ったんですよ。
多くの犠牲を払って取り戻した「国」、それを取り戻させようと炊きつけてきたシンドバッドその人が、「国」をこの世界から無くすと言ってきたのです。
ああ、もう、白龍が可哀想すぎる。。。
全巻でも白龍が可哀想と言いましたが、まだ先があったんですね。
そんな白龍が言った言葉。
「人間の『正しさ』など、変わるから・・・・・・」
これが正しい!という強い気持ちで突き進むのが少年漫画の主人公です。
少年漫画のヒーローなら、どんなに悩んだって、苦しんだって、やがては「これが正しい!」という信念の強さでそれらを乗り越えていくのが普通ですよね。
それなのに、「絶対的な正しさなんて無い」と、マギは読者に無常観をドンと提示してきます。
読者の価値観をとことん揺さぶり、「その考えは正しいのかい?」と問いかけてくるかのようです。
本当に恐ろしい漫画です。
まとめ
最終章の始まりとなる第29巻は、非常に濃い内容が詰まった1冊でした。
1巻〜29巻をじっくりと読み込んで、もう一度自分の中の「マギ」を整理してみたいと思います。
凄い漫画や。。。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
2016年02月24日
「四月は君の嘘」の実写映画化について
えっ、本当!?とふと立ち寄った書店で告知を見たのは今日のこと。
でもこれ、既に去年の9月に発表されてたんですね・・・
不覚!
全然気付いていませんでした。
「四月は君の嘘」は、中学校三年生の”元・天才ピアニスト”有馬公生が主人公のクラシック音楽を題材にした漫画です。
月刊少年マガジンに2011年5月号から2015年3月号まで連載され、2013年には講談社漫画賞少年部門を受賞しました。
2014年10月からはフジテレビ「ノイタミナ」でアニメ化がされています。
・・・って、こんな基本情報はとりあえず置いといてですね。
これ、相当好きな漫画なんです。
アニメ化される前から読んでました。単行本が3巻まで発刊されていた時くらいだったと思います。
綺麗な絵なのに演奏シーンの迫力は凄く、登場人物は決めるときと可愛らしいときのメリハリが効いていて魅力的で、主人公2人が影響しあって成長していくストーリーが感動的で・・・。
最終回を読んだ時は、コンビニで立ち読みしながら涙を流してしまったくらい、心を揺さぶられました。
勿論、今もコミックス全巻持っています!
アニメも物凄く良かったです。
ピアノの演奏シーンの映像は実際の演奏をキャプチャーして作られたものだそうですが、なるほど、運指が物凄くリアルでした。演奏会で鳴らされるピアノの音楽と、登場人物たちの心の声との掛け合わせ(これがこの作品の魅力です)が、抜群のかみ合わせを見せていてぐっと盛り上げる構成になっていました。
ある回で演奏が終わったシーンでは、テレビの前で「よくやった!」と拍手を送ってしまったくらいです。
そして次は実写映画化。
ファンの間では賛否両論みたいですが、とにかくどんな形に仕上がるのか、今からとても楽しみです。
(ちなみに漫画が実写化されるときは「賛否両論」がとにかく巻き起こりがちです。
賛はともかく”否”の意味が私は分かりません。
極端な話として、もし結果として漫画の世界観を壊すような映画になってしまったとしても、別に元の漫画の素晴らしさが上書きされて消されてしまうなんてことはないわけですよ。漫画は漫画。映画は映画。別のものなんですよ!?単純に表現の可能性が広がることを歓迎するほうがいいんじゃないかと思う、訳なんですけどね・・・)
ところで不覚にもこの漫画の感想をまだこのブログには書いていませんでした。
「心に響いた本」を紹介するのが目的なのに、肝心のこの本が抜けていたとは・・・。
記事は改めて書きたいと思います。
とりあえず今日は、実写映画化されることを知ったということでその嬉しさを書き残しました。
でもこれ、既に去年の9月に発表されてたんですね・・・
不覚!
全然気付いていませんでした。
「四月は君の嘘」は、中学校三年生の”元・天才ピアニスト”有馬公生が主人公のクラシック音楽を題材にした漫画です。
月刊少年マガジンに2011年5月号から2015年3月号まで連載され、2013年には講談社漫画賞少年部門を受賞しました。
2014年10月からはフジテレビ「ノイタミナ」でアニメ化がされています。
・・・って、こんな基本情報はとりあえず置いといてですね。
これ、相当好きな漫画なんです。
アニメ化される前から読んでました。単行本が3巻まで発刊されていた時くらいだったと思います。
綺麗な絵なのに演奏シーンの迫力は凄く、登場人物は決めるときと可愛らしいときのメリハリが効いていて魅力的で、主人公2人が影響しあって成長していくストーリーが感動的で・・・。
最終回を読んだ時は、コンビニで立ち読みしながら涙を流してしまったくらい、心を揺さぶられました。
勿論、今もコミックス全巻持っています!
アニメも物凄く良かったです。
ピアノの演奏シーンの映像は実際の演奏をキャプチャーして作られたものだそうですが、なるほど、運指が物凄くリアルでした。演奏会で鳴らされるピアノの音楽と、登場人物たちの心の声との掛け合わせ(これがこの作品の魅力です)が、抜群のかみ合わせを見せていてぐっと盛り上げる構成になっていました。
ある回で演奏が終わったシーンでは、テレビの前で「よくやった!」と拍手を送ってしまったくらいです。
そして次は実写映画化。
ファンの間では賛否両論みたいですが、とにかくどんな形に仕上がるのか、今からとても楽しみです。
(ちなみに漫画が実写化されるときは「賛否両論」がとにかく巻き起こりがちです。
賛はともかく”否”の意味が私は分かりません。
極端な話として、もし結果として漫画の世界観を壊すような映画になってしまったとしても、別に元の漫画の素晴らしさが上書きされて消されてしまうなんてことはないわけですよ。漫画は漫画。映画は映画。別のものなんですよ!?単純に表現の可能性が広がることを歓迎するほうがいいんじゃないかと思う、訳なんですけどね・・・)
ところで不覚にもこの漫画の感想をまだこのブログには書いていませんでした。
「心に響いた本」を紹介するのが目的なのに、肝心のこの本が抜けていたとは・・・。
記事は改めて書きたいと思います。
とりあえず今日は、実写映画化されることを知ったということでその嬉しさを書き残しました。
2015年11月10日
バクマン。 1 〜5巻 大場 つぐみ (著), 小畑 健 (イラスト)
映画化で話題になっている「バクマン。」です。
私も映画化で再認識したクチでして、予告編の格好良いビジュアルと、主人公が佐藤健(!)だったこととで急に興味が湧いてきた、いわゆるにわか者です。
↓↓↓映画の予告編↓↓↓
(佐藤健めっちゃ格好良い・・・!!)
というわけでいつものようにレンタルコミックで借りてきました。
・・・
これねえ、面白いです。
高校生の二人組を主人公にして、舞台は「少年ジャンプ」、漫画に関わる作家・アシスタント・編集部という一連の人間たちを登場人物に話を作っているんですが、すっごくリアル感があります。
※忘れていたんですが、そういえば「デスノート」の原作・作画コンビでした。
少年ジャンプというフィールドで漫画という目標に向かって突き進む一途な熱さ。
少年ジャンプという超有名漫画雑誌の裏側を垣間見ることができる面白さ(真偽の程は不明だが、事実に基いて脚色されていると信じたい)。
これらが沸騰しているかのようなテンションで描かれていて、ぐいぐい引き込まれます。
更には、「そういえば俺はこんな風に何かに熱中しているのだろうか?こんなに真剣に向き合っていることがあるのだろうか?」と自分を振り返り、はっとさせられ、その点でも衝撃を受けてしまいました。
何故だろう?
他の漫画のように「別世界で活躍する登場人物の行く末にハラハラさせられる」のではなく、「親しい友だちが活躍することになり、その行く末が気になるとともに、一方自分はどうなのかと思い知らされて何か終わってしまっているかのような複雑な感情を覚える」という感覚があります。
このあたりは更に読み進めていけば、はっきりと見えてくるところがあるかもしれません。
うーん。
バクマン。とは直接関係はないのですが、漫画や小説、ビジネス書などを読んで、妙に「はっとさせられる」機会が最近自分の中で増えているような気がします。
それが本の力なのか、それとも受け取る自分自身に何か変化が出ているのか・・・。
私も映画化で再認識したクチでして、予告編の格好良いビジュアルと、主人公が佐藤健(!)だったこととで急に興味が湧いてきた、いわゆるにわか者です。
↓↓↓映画の予告編↓↓↓
(佐藤健めっちゃ格好良い・・・!!)
というわけでいつものようにレンタルコミックで借りてきました。
・・・
これねえ、面白いです。
高校生の二人組を主人公にして、舞台は「少年ジャンプ」、漫画に関わる作家・アシスタント・編集部という一連の人間たちを登場人物に話を作っているんですが、すっごくリアル感があります。
※忘れていたんですが、そういえば「デスノート」の原作・作画コンビでした。
少年ジャンプというフィールドで漫画という目標に向かって突き進む一途な熱さ。
少年ジャンプという超有名漫画雑誌の裏側を垣間見ることができる面白さ(真偽の程は不明だが、事実に基いて脚色されていると信じたい)。
これらが沸騰しているかのようなテンションで描かれていて、ぐいぐい引き込まれます。
更には、「そういえば俺はこんな風に何かに熱中しているのだろうか?こんなに真剣に向き合っていることがあるのだろうか?」と自分を振り返り、はっとさせられ、その点でも衝撃を受けてしまいました。
何故だろう?
他の漫画のように「別世界で活躍する登場人物の行く末にハラハラさせられる」のではなく、「親しい友だちが活躍することになり、その行く末が気になるとともに、一方自分はどうなのかと思い知らされて何か終わってしまっているかのような複雑な感情を覚える」という感覚があります。
このあたりは更に読み進めていけば、はっきりと見えてくるところがあるかもしれません。
うーん。
バクマン。とは直接関係はないのですが、漫画や小説、ビジネス書などを読んで、妙に「はっとさせられる」機会が最近自分の中で増えているような気がします。
それが本の力なのか、それとも受け取る自分自身に何か変化が出ているのか・・・。
2015年09月21日
湯神くんには友達がいない (少年サンデーコミックス) 佐倉 準
連休ということでTSUTAYAのレンタルコミックで大人借りしました。
30冊で1300円は安いですよね
さて、この「湯神くんには友達がいない」は、主人公もヒロインも最近はやりの「コミュ障」という画期的な(?)漫画です。
お一人様コメディというキャッチコピーで人気になっているこの漫画、主人公の高校生「湯神くん」は合理主義・完璧主義的な考え方で行動し、そのせいで周囲とは噛み合わずに浮いている・・・という話です。
野球部のエースという少年漫画の王道な設定もあるのですが、それがあっても彼の性格ゆえに周囲からは白い目で見られ、「扱いづらい」「面倒くさい」ということで敬遠されています。
わ、分かる…
湯神の気持ちが分かる。
言っていることはとても真っ当なんですよね。
でも、それが周囲の「なんとなくそうだ」という空気とは全く噛み合わないため、周囲からは浮いてしまう。
でも正しい。
ちょっと自分のことを振り返れば、同じように、周囲の人間が考えることがよく分からずに「なんであんな話で盛り上がってるのかわからないなあ…」と人の和に溶け込めないことがよくありました。
そんなとき、湯神はあっさりと「人間関係は切り捨てている」と言い放ち、とても楽しそうにしている。
完璧な1日を過ごせたとニヤリて笑う表情が堪らない。
そうか、こういう生き方もあるんだなろうなという面白さ。
自分の悩みはなんてつまらないものだったんだ!という一つのモデルを見せてくれる新鮮さがあります。
それにしても主人公の湯神がよく作りこまれているなあ、と思います。
一歩間違えたらただの自己中心的な嫌なやつというレッテルを貼られかねないキャラですが、冒頭のシーンでヒロインに対する優しさを見せることで「優しい人」という第一印象を植え付けておき、後から「実はちょっと変わったやつ」という見せ方を付け加えていきます。
優しい人という印象とのギャップに引き込まれるとともに、根っこでは嫌なやつじゃないということが分かっているから、読者も腹を立てずに読むことが出来るのではないでしょうか。
また、落語が好きだというのもキャラとして幅が出ています。
何より「何にでも一生懸命」という姿はやっぱり基本的に共感してしまいますよね。これは少年漫画の王道だと思います。
嵌まったなあ。
これは面白いです!
あれ、待てよ。
最近嵌まった漫画で、週間少年サンデーの漫画が続いている・・・。
30冊で1300円は安いですよね
さて、この「湯神くんには友達がいない」は、主人公もヒロインも最近はやりの「コミュ障」という画期的な(?)漫画です。
お一人様コメディというキャッチコピーで人気になっているこの漫画、主人公の高校生「湯神くん」は合理主義・完璧主義的な考え方で行動し、そのせいで周囲とは噛み合わずに浮いている・・・という話です。
野球部のエースという少年漫画の王道な設定もあるのですが、それがあっても彼の性格ゆえに周囲からは白い目で見られ、「扱いづらい」「面倒くさい」ということで敬遠されています。
わ、分かる…
湯神の気持ちが分かる。
言っていることはとても真っ当なんですよね。
でも、それが周囲の「なんとなくそうだ」という空気とは全く噛み合わないため、周囲からは浮いてしまう。
でも正しい。
ちょっと自分のことを振り返れば、同じように、周囲の人間が考えることがよく分からずに「なんであんな話で盛り上がってるのかわからないなあ…」と人の和に溶け込めないことがよくありました。
そんなとき、湯神はあっさりと「人間関係は切り捨てている」と言い放ち、とても楽しそうにしている。
完璧な1日を過ごせたとニヤリて笑う表情が堪らない。
そうか、こういう生き方もあるんだなろうなという面白さ。
自分の悩みはなんてつまらないものだったんだ!という一つのモデルを見せてくれる新鮮さがあります。
それにしても主人公の湯神がよく作りこまれているなあ、と思います。
一歩間違えたらただの自己中心的な嫌なやつというレッテルを貼られかねないキャラですが、冒頭のシーンでヒロインに対する優しさを見せることで「優しい人」という第一印象を植え付けておき、後から「実はちょっと変わったやつ」という見せ方を付け加えていきます。
優しい人という印象とのギャップに引き込まれるとともに、根っこでは嫌なやつじゃないということが分かっているから、読者も腹を立てずに読むことが出来るのではないでしょうか。
また、落語が好きだというのもキャラとして幅が出ています。
何より「何にでも一生懸命」という姿はやっぱり基本的に共感してしまいますよね。これは少年漫画の王道だと思います。
嵌まったなあ。
これは面白いです!
あれ、待てよ。
最近嵌まった漫画で、週間少年サンデーの漫画が続いている・・・。