2016年04月16日
マギ 29巻 大高 忍 (※ネタバレ)
28巻の発売から3ヶ月・・・。
待ちに待ったマギの最新刊、29巻が発売されました!
表紙は不敵な笑みを浮かべるシンドバッド・・・
帯には”最終魔導冒険譚「最終章」突入!!!!!!!”のコピーが。
煌帝国編が完結するのは全巻の流れから分かっていましたが、なんと次は「最終章」と銘打たれ、怒涛の勢いでストーリーが加速していくという予感を感じさせます。
煌帝国編でアラジンの価値観が大きく揺らぎを見せたなか、シンドバッド王が世界を束ねようという動きを見せ、一体物語はどんな終わりを見せようとしているのか・・・
ドキドキが止まりません。
そんな感情を落ち着かせながら、29巻のページを捲りました。
※ところで最新刊、マギ30巻のネタバレ・感想のページはこちらです。※
↓↓
マギ 30巻 大高 忍 (※ネタバレ)
(読後の感想。ここからネタバレです)
ナニコレ!!
最終章のあまりの急展開に全然理解が追いつきません。ここに来て、また「マギ」は読者に新たな挑戦状を叩きつけてきましたよ。
これまでのマギは、帯のコピー”魔導冒険譚”に表されているとおり、魔法と金属器による魔導の戦いがメインの物語でした。
アラジンやジュダルといったマギが繰り出す魔法や、金属器使いがそれぞれの金属器・ジンの特性に沿った独自の魔装・極大魔法できらびやかな戦いを繰り広げ、その格好良さ、スケールの大きさに心を奪われてきました。
また、その魔法の背景となる「ルフ」の存在、そのルフが恨みなどの負の感情で黒く変わる「堕転」といった要素が絡み、「アルマトラン」「イル・イラー」という世界そのものが大きく揺さぶられるスケールの大きなファンタジーとしての物語でした。
それがなんと「最終章」では、世界から大きな争いは消えていて、戦争のない平和な世界がいきなり実現されているのです。
それを作り上げたのが他でもないシンドバッド。
世界には平和利用される魔法道具が満ち溢れ、携帯電話のような通信具、飛行船、空飛ぶ絨毯などがごくごく当たり前に使われています。
その代わりに、金属器は姿を消しています。
シンドバッドが作り出した国際同盟がほぼ全ての金属器を管理していて、誰も使えない状態にされているのです。
それはつまり、マギの大きな見どころだった「魔装」による派手な魔法の戦いが、今後は見られないということを意味します。
これって、あれですよ。
「ワンピース」に例えたら分かりやすいと思うのですが、「全員、悪魔の実の能力が使えなくなる」ということと同じなんですよ。
ルフィが手足が伸びないただの人間になり、チョッパーはただのトナカイになり、海軍の将軍たちもただの覇気使いに成り下がる。
ワンピースにとって「悪魔の実」は、それぞれの登場人物を特徴づける要素であり、ビジュアル的にも、戦いの演出的にもマンガの大きな売りとなっている部分です。
これは十分に納得していただける説明だと思いますが・・・。
マギでの「金属器」もこれと同じです。
それをいきなり封印してしまう。
これ、凄くないですか?
悪魔の実が一切出てこないワンピースになったら一体どうしたらいいのか、読者は大混乱するのではないかと思います。
マギは、29巻から、これをやろうとしているんです。
ユナンは「これにより世界は……暴力や国家権力ではなく、『商会』が力を持つ世界へと変わったんだ」とアリババへ伝えました。
商会・・・つまり、これからはビジネス・ファンタジー漫画になるんでしょうか。いやいや、そんな単純な話ではないでしょう。簡単には想像できません。
こんな大転換をしてしまうマギ。
やはり凄い…恐ろしい漫画です。今後どのように話が展開していくのか、全く目が離せなくなってしまいました。
しばらくハニワになっていたアリババが復活します。
ハニワも可愛かったのでちょっと寂しい気もしますが・・・
復活したアリババは何だか不思議な力を身に付けていて、金属器が無くても、屈強な兵士たちをやすやすと倒すという離れ業を見せます。
アリババが復活してから以降、29巻の途中からは、アリババを中心にストーリーが展開します。
シンドバットを訪ねたアリババは、「あなたはアルマトラン時代の魔道士『ダビデ』なのではありませんか?」といきなり核心を付きます。シンドバッドはこれを認めたうえで、軽くかわしますが、その真偽は定かではありません。
次にアリババが向かったのは煌帝国。ここで29巻は終わりますが、アラジンは忽然と姿を消したままの状態となっていますから、しばらくはアリババを中心に物語が進みそうです。
豊かで平和な世界を作り上げたシンドバッド。
しかしその意識は『ダビデ』と繋がっていて、更にアルマトランの魔術師であるアルバと手を組んでしまいました。
何を狙っているのか、さっぱり分かりません。
アリババは『ダビデ(つまりシンドバッド)』が「世界を自由にいじくるために聖宮の力を必要としている」とユナンに伝えます。
そしてシンドバッドは、アルバとの会話の中で「ソロモン王が作ったその古いきまりごとの外に出るためには・・・やはり聖宮の力が必要だな」と言いました。
シンドバッドが言う”その古いきまりごと”とは何なのか。
マギによって力を与えられた王が世界を収めるという、マギシステムのことなのか。
あるいは、ソロモン王がかつて言った言葉、
「真実を知ってしまった今、『運命』を神に支配されたままでは俺たちは絶望で生きてはいられない。
みんながそれぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界にしなくては。」
このことを指しているのか。
もしそうだとすれば、シンドバッドは、「それぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界」の外に出ようとしていることとなり、それはつまり、世界の『運命』を支配する神になろうという事にならないでしょうか。
うーん。。。
ますます分かりません。
シンドバッドの目的、目指す世界は一体何なのか。
アルバが寄り添っているところが何とも不気味な香りを漂わせていて、目が離せません。
26巻で白龍は「不幸だからと・・・あなたに生き方を決められたくはないな。」とアラジンに言い放ちました。
その後、自らが正しいと考える道に従い、国を自分の手の中に収めるためにシンドバッドと手を組み、兄弟に戦争を挑みました。
そして勝利を収めました。
ここまでが28巻までの話です。
ところがようやく国を我が手に取り戻した矢先、訪れてきたシンドバッドが
「国という垣根はいずれこの世界中から消えてなくなるだろう」
と語ります。
これに白龍は愕然とします。
だってそうですよね、「国」を自分の手に取り戻すために力を手にし、兵士の心を金属器で操り、兄弟を戦いの末に傷つけ、自分のマギであるジュダルを失ったんですよ。
多くの犠牲を払って取り戻した「国」、それを取り戻させようと炊きつけてきたシンドバッドその人が、「国」をこの世界から無くすと言ってきたのです。
ああ、もう、白龍が可哀想すぎる。。。
全巻でも白龍が可哀想と言いましたが、まだ先があったんですね。
そんな白龍が言った言葉。
「人間の『正しさ』など、変わるから・・・・・・」
これが正しい!という強い気持ちで突き進むのが少年漫画の主人公です。
少年漫画のヒーローなら、どんなに悩んだって、苦しんだって、やがては「これが正しい!」という信念の強さでそれらを乗り越えていくのが普通ですよね。
それなのに、「絶対的な正しさなんて無い」と、マギは読者に無常観をドンと提示してきます。
読者の価値観をとことん揺さぶり、「その考えは正しいのかい?」と問いかけてくるかのようです。
本当に恐ろしい漫画です。
最終章の始まりとなる第29巻は、非常に濃い内容が詰まった1冊でした。
1巻〜29巻をじっくりと読み込んで、もう一度自分の中の「マギ」を整理してみたいと思います。
凄い漫画や。。。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
待ちに待ったマギの最新刊、29巻が発売されました!
表紙は不敵な笑みを浮かべるシンドバッド・・・
帯には”最終魔導冒険譚「最終章」突入!!!!!!!”のコピーが。
煌帝国編が完結するのは全巻の流れから分かっていましたが、なんと次は「最終章」と銘打たれ、怒涛の勢いでストーリーが加速していくという予感を感じさせます。
煌帝国編でアラジンの価値観が大きく揺らぎを見せたなか、シンドバッド王が世界を束ねようという動きを見せ、一体物語はどんな終わりを見せようとしているのか・・・
ドキドキが止まりません。
そんな感情を落ち着かせながら、29巻のページを捲りました。
※ところで最新刊、マギ30巻のネタバレ・感想のページはこちらです。※
↓↓
マギ 30巻 大高 忍 (※ネタバレ)
(読後の感想。ここからネタバレです)
ナニコレ!!
最終章のあまりの急展開に全然理解が追いつきません。ここに来て、また「マギ」は読者に新たな挑戦状を叩きつけてきましたよ。
金属器封印!?
これまでのマギは、帯のコピー”魔導冒険譚”に表されているとおり、魔法と金属器による魔導の戦いがメインの物語でした。
アラジンやジュダルといったマギが繰り出す魔法や、金属器使いがそれぞれの金属器・ジンの特性に沿った独自の魔装・極大魔法できらびやかな戦いを繰り広げ、その格好良さ、スケールの大きさに心を奪われてきました。
また、その魔法の背景となる「ルフ」の存在、そのルフが恨みなどの負の感情で黒く変わる「堕転」といった要素が絡み、「アルマトラン」「イル・イラー」という世界そのものが大きく揺さぶられるスケールの大きなファンタジーとしての物語でした。
それがなんと「最終章」では、世界から大きな争いは消えていて、戦争のない平和な世界がいきなり実現されているのです。
それを作り上げたのが他でもないシンドバッド。
世界には平和利用される魔法道具が満ち溢れ、携帯電話のような通信具、飛行船、空飛ぶ絨毯などがごくごく当たり前に使われています。
その代わりに、金属器は姿を消しています。
シンドバッドが作り出した国際同盟がほぼ全ての金属器を管理していて、誰も使えない状態にされているのです。
それはつまり、マギの大きな見どころだった「魔装」による派手な魔法の戦いが、今後は見られないということを意味します。
これって、あれですよ。
「ワンピース」に例えたら分かりやすいと思うのですが、「全員、悪魔の実の能力が使えなくなる」ということと同じなんですよ。
ルフィが手足が伸びないただの人間になり、チョッパーはただのトナカイになり、海軍の将軍たちもただの覇気使いに成り下がる。
ワンピースにとって「悪魔の実」は、それぞれの登場人物を特徴づける要素であり、ビジュアル的にも、戦いの演出的にもマンガの大きな売りとなっている部分です。
これは十分に納得していただける説明だと思いますが・・・。
マギでの「金属器」もこれと同じです。
それをいきなり封印してしまう。
これ、凄くないですか?
悪魔の実が一切出てこないワンピースになったら一体どうしたらいいのか、読者は大混乱するのではないかと思います。
マギは、29巻から、これをやろうとしているんです。
ユナンは「これにより世界は……暴力や国家権力ではなく、『商会』が力を持つ世界へと変わったんだ」とアリババへ伝えました。
商会・・・つまり、これからはビジネス・ファンタジー漫画になるんでしょうか。いやいや、そんな単純な話ではないでしょう。簡単には想像できません。
こんな大転換をしてしまうマギ。
やはり凄い…恐ろしい漫画です。今後どのように話が展開していくのか、全く目が離せなくなってしまいました。
アリババ復活
しばらくハニワになっていたアリババが復活します。
ハニワも可愛かったのでちょっと寂しい気もしますが・・・
復活したアリババは何だか不思議な力を身に付けていて、金属器が無くても、屈強な兵士たちをやすやすと倒すという離れ業を見せます。
アリババが復活してから以降、29巻の途中からは、アリババを中心にストーリーが展開します。
シンドバットを訪ねたアリババは、「あなたはアルマトラン時代の魔道士『ダビデ』なのではありませんか?」といきなり核心を付きます。シンドバッドはこれを認めたうえで、軽くかわしますが、その真偽は定かではありません。
次にアリババが向かったのは煌帝国。ここで29巻は終わりますが、アラジンは忽然と姿を消したままの状態となっていますから、しばらくはアリババを中心に物語が進みそうです。
シンドバッドの目的は一体・・・!?
豊かで平和な世界を作り上げたシンドバッド。
しかしその意識は『ダビデ』と繋がっていて、更にアルマトランの魔術師であるアルバと手を組んでしまいました。
何を狙っているのか、さっぱり分かりません。
アリババは『ダビデ(つまりシンドバッド)』が「世界を自由にいじくるために聖宮の力を必要としている」とユナンに伝えます。
そしてシンドバッドは、アルバとの会話の中で「ソロモン王が作ったその古いきまりごとの外に出るためには・・・やはり聖宮の力が必要だな」と言いました。
シンドバッドが言う”その古いきまりごと”とは何なのか。
マギによって力を与えられた王が世界を収めるという、マギシステムのことなのか。
あるいは、ソロモン王がかつて言った言葉、
「真実を知ってしまった今、『運命』を神に支配されたままでは俺たちは絶望で生きてはいられない。
みんながそれぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界にしなくては。」
このことを指しているのか。
もしそうだとすれば、シンドバッドは、「それぞれの生き方で未来を変えられる可能性がある世界」の外に出ようとしていることとなり、それはつまり、世界の『運命』を支配する神になろうという事にならないでしょうか。
うーん。。。
ますます分かりません。
シンドバッドの目的、目指す世界は一体何なのか。
アルバが寄り添っているところが何とも不気味な香りを漂わせていて、目が離せません。
価値観の揺さぶり
26巻で白龍は「不幸だからと・・・あなたに生き方を決められたくはないな。」とアラジンに言い放ちました。
その後、自らが正しいと考える道に従い、国を自分の手の中に収めるためにシンドバッドと手を組み、兄弟に戦争を挑みました。
そして勝利を収めました。
ここまでが28巻までの話です。
ところがようやく国を我が手に取り戻した矢先、訪れてきたシンドバッドが
「国という垣根はいずれこの世界中から消えてなくなるだろう」
と語ります。
これに白龍は愕然とします。
だってそうですよね、「国」を自分の手に取り戻すために力を手にし、兵士の心を金属器で操り、兄弟を戦いの末に傷つけ、自分のマギであるジュダルを失ったんですよ。
多くの犠牲を払って取り戻した「国」、それを取り戻させようと炊きつけてきたシンドバッドその人が、「国」をこの世界から無くすと言ってきたのです。
ああ、もう、白龍が可哀想すぎる。。。
全巻でも白龍が可哀想と言いましたが、まだ先があったんですね。
そんな白龍が言った言葉。
「人間の『正しさ』など、変わるから・・・・・・」
これが正しい!という強い気持ちで突き進むのが少年漫画の主人公です。
少年漫画のヒーローなら、どんなに悩んだって、苦しんだって、やがては「これが正しい!」という信念の強さでそれらを乗り越えていくのが普通ですよね。
それなのに、「絶対的な正しさなんて無い」と、マギは読者に無常観をドンと提示してきます。
読者の価値観をとことん揺さぶり、「その考えは正しいのかい?」と問いかけてくるかのようです。
本当に恐ろしい漫画です。
まとめ
最終章の始まりとなる第29巻は、非常に濃い内容が詰まった1冊でした。
1巻〜29巻をじっくりと読み込んで、もう一度自分の中の「マギ」を整理してみたいと思います。
凄い漫画や。。。
↓↓過去のマギについての記事はこちら
マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)
マギ 大高 忍 (11〜26巻)
マギ 大高 忍(1〜10巻)
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