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2017年01月02日

マギ 31巻 大高 忍 (※ネタバレ)

迂闊でした。

世間ではとっくに31巻が発売されていた・・・そのことに気が付きませんでした。
発売日を調べてみると11月18日。
既に一ヶ月以上が過ぎてしまっているこの体たらく。何ということだ!

あれだけ楽しみにしていた単行本の発売日を忘れるなんて・・・まるで「仕事に没頭するあまり家庭を全く顧みず、妻は子供を連れて家を出て、気が付けば一人ぼっちになっていた哀愁サラリーマン」みたいじゃないかと、呆然としてしまいました。
世間で言われているワークライフバランスは一体どこへ行ってしまったんだ。

ごめんよマギ。
僕は、本当に大切なものが何だったかを見失ってしまっていた。
きっとルフも濁っていただろう。でもきっと今からでも遅くない、本来の運命の流れに帰るんだ。
ピィピィ、ピィ・・・(ルフの囁き)

すみません。脱線してしまいました。
発売日を見逃していたことに、とにかく大きなショックを受けていたということを言いたかっただけなのです。そしてそんな自分にちょっとひたってしまった、そんな訳です。

ここ数ヶ月の人生の過ごし方に悲哀の涙をわずかに滲ませながら、ページを捲りました。
マギ31巻は、煌商会のメンバーとして活動するアリババが、レーム帝国でティトスやムーと再開を果たしたところから始まります。


商談を進めろ!アリババ。そしてシンドバッドからの挑戦状。


これまで順調に転送魔法陣設置の同意を得てきたアリババ。
レーム帝国でも話はトントン拍子に進みます。
ここでは
・レーム帝国は国際同盟に参加していない。生き方を条約に縛られず、自分たちの意思で国を作っていくため。
・アリババに関しての話を聞く
・トトとオルバに子供ができていた→アリババが落ち込むとお決まりのパターン
といった要素を抑えておきたいと思います。

あと、「ネルヴァの反乱」のくだりが気になります。今のところ大きなインパクトは無いのですが、その動機が不明なままで、違和感が残っています。ムーとティトスの
「おだてられやすいボンボンといった感じの男なんだが・・・」
「誰かに焚き付けられたのかなぁ?」
という会話は、後々の伏線でしょう。今までも全然目立っていなかった男なので、どれくらいインパクトがあるのかは分かりませんが・・・。確か、魔装もできなかったはず・・・。

さてその後、商談をまとめたアリババはパルテビア帝国へ向かい、シンドバッドと再会します。シンドバットに仲介を頼み、紹介されたのはパルテビアの皇帝。ここでもトントン拍子に話が進みます。そのことに一抹の違和感を感じながらも、アリババは煌帝国に戻り、皆と喜びを分かち合うのでした。

しかしそれも束の間。転送魔法陣の設置に同意してくれていた全ての国から「許可できない」と一気に手のひらを返されてしまった煌帝国。それでも諦めないアリババは頼みのシンドバッドを訪れますが、そこで待っていたのはシンドバッドからの手痛い反撃の言葉でした。

「アリババ君、それは変だ。なぜなら、君が言ったのではなかったか?俺が他国のやり方に、口を出すべきではない、と・・・」

「それに、『商会』が他の『商会』に助けを求めるとは、どういう了見だ?」

30巻でシンドバットを手玉に取ったかのように言いくるめていたアリババでしたが、今となってはそれは手のひらの上で踊らされていただけのような印象にさえ見えてしまいました。
それほどの、シンドバッドからの痛烈な反撃を受け、完全に沈黙してしまうアリババ。

空気がシビれます。
でもそれでもアリババは諦めない。
第303夜の最後はアリババの立ち絵1枚でビシッと締め、これからの勝負に明るい気持ちで立ち向かっていくアリババが描かれて終わります。

さあ、新世界の「煌商会」編の導入部はこれでとりあえず終わりました。
シンドバッドが作り上げた新世界の仕組みを、アリババと煌帝国の奮闘を通じてひととおり説明を終えたという感じの印象でした。

シンドバッドがアリババに対して「王族の血を簡単に捨てられることが理解しがたい」「私はかつて喉から手が出るほど欲しかった」という台詞を言ったことがちょっと喉に引っかかりましたが。今のところ本来のエピソードとは関係ないような台詞ですが、後から効いてくるんでしょうね。
いつも余裕しゃくしゃくのシンドバッドからこんな台詞が出てきたことには静かな驚きを感じました。


アラジン再登場、明らかになるシンドバッドの狙い


ここからは、アラジン、モルジアナ、白龍の再登場によって一気に話が加速します。
(青年になったアラジンはソロモン王に似てめっちゃ格好良いです・・・)
正直なところ後半部分は内容が濃すぎて、レビューを書こうとすると、結局全ての話を書いてしまうことになり、それなら単行本を読んでもらったほうが早いという何だか良く分からない話になってしまいそうです。

話は面白いのですが、ブログ記事を書くのには辛い。

そこで!
ここでは思い切って、明らかになった「シンドバッドの狙い」に絞って感想を書いていきたいと思います。

第305夜「交わらない意思」で、シンドバッドが30巻で言っていた「聖宮の力が必要」という言葉の意味が遂に明かされました。
シンドバッドは、アラジンとの討論(?)の中でこう言います。

「ルフシステムの根本を書き換えるんだ!」


そう言い放つシンドバッドの表情はとても明るい。うきうき、わくわく、そんな印象さえ受ける表情です。
シンドバッドはルフシステムを書き換えることで、「自分が良いと思っていることを皆に良いと思わせて、そのとおりに行動させる世界を作り出す」ことを達成しようとしていることをこのあと話すのですが、心の底からそれが「良いことだ!」と心の底から考えているといった様子なのです。

なるほど、こう来たか・・・と思いました。
これが実現すると、ルフ、つまり「運命」に関する定義が、

1.イル・イラーが作り出した流れに沿うという単純なもの
  ↓↓↓ 
2.ソロモン王が考えた「皆が自分の意思で生き方を選べる」という世界
  ↓↓↓
3.シンドバッドが考えた「俺が良いと考えたことだけが全て」という世界


へと変わることになる訳ですね。
こうすれば世界から争いが無くなる、というのが今のところのシンドバッドの言い分な訳です。

ん?これって、まあ一つの立派な考えかもしれませんが、つまりは「お前らはつまらん考えで争いばっかりする奴らで結局は不幸を作るだけなんだ」「俺の言うことだけを聞けばいい。というかそれしか考えられないようにルフを書き換えて、存在そのものを作り変えてやる」という、超乱暴な話じゃないですかね。

早い話が最初のイル・イラーに自分がとって変わるだけのような気もします。

こんな展開が最終章でいいの?と正直なところ思いました。
もっと深い、恐ろしい話を織りなしてくれるに違いない、そんな期待を抱いていた自分としては、僅かだけですが拍子抜けした感じです。

ちょっとスプリガン(たかしげ宙)の「バベルの塔」のエピソードに似てますよね。
スプリガンでは、世界に絶望した魔道士がオーパーツである「バベルの塔」を使い、全世界を「オレ様教」という一つの宗教に統一することで世界を平和にしようと企んだ、というものでした。
「聖宮=バベルの塔」という視点で見てみると、物語の構造としてはよく似ています。
悪役の格好良さは全く異なりますが・・・。

この「バベルの塔」では、まあ、主人公たちに結局は魔道士が倒されてしまい、目的は達成されませんでしたが、マギではどうなるんでしょうかね。。。

そして単純に「皆のルフを書き換えて終わり」「それを阻止して終わり」という単純な話になるのでしょうか。
いや。
そんな訳はない。
なぜならマギだから。

きっと皆の想像を裏切る、超える展開を持ってくることを作者は考えているはずです。
まだまだ伏線もいっぱい残っていますしね。

そして32巻へ


31巻の最終話では、アルバとユナンが戦います。その目的は、アルバが暗黒大陸にいるアラジンを倒すこと。この戦いの向こうにはアラジンが見えている訳です。

2人のマギ同士は魔法全開で戦います。
30巻で「これからは金属器や魔法の戦いは見られない」とうそぶいた自分の考えは全く浅はかでした。
戦いの決着はまだ着かず、さあ、32巻は一体どうなっていくのでしょうか!?

という事で、久し振りにブログの記事を書いた訳ですが、何だかまとまりのない長い文書になってしまいました。やれやれ。
すっかり勘が鈍ってしまったようです。時間も相当かかってしまったし。。。

ワークライフバランスを考えないといけませんね、本当に。。。
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

↓↓過去のマギについての記事はこちら

マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)

マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)

マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)

マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)

マギ 大高 忍 (11〜26巻)

マギ 大高 忍(1〜10巻)
posted by 霧島もとみ at 2017年01月02日 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミック
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他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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