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2016年04月18日

社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年  木村 元彦



「スポーツ・マネジメント事業の基礎知識」
を読んで以来、自分のなかでJリーグに関する事柄に関心が高まり、サッカービジネスに関する本を何冊か購入しました。

その中の一冊として購入した本です。

大分トリニータの事はこれまで全然知りませんでしたが、書評レビューで国家公務員だった溝畑宏さんが中心となってチームを牽引していたというような事が書かれていたことを見て、面白そうだなと思いました。

また、タイトルが秀逸です。
天国と地獄。

大分トリニータの15年間に一体どんな物語があったのか、興味を持ちながらページを捲りました。

どんな本だった?


どんな本だったかという言葉よりも、一つの事実を述べたいと思います。

僕はこの本を読んで、泣きました。

移動中のバスの中でしたが、溢れる感情を堪え切れず、ハンカチで目頭を抑えました。

まさかサッカービジネスの本で涙を流すなんて、自分でも思いもしませんでした。

涙してしまったその訳は、本書で書かれている溝畑さんの「大分トリニータ」についての情熱と、それに裏打ちされた数々の行動です。
まるで「それが自分の全て」とでも言わんばかりの行動がこの書中では描かれていて、私は驚きとともに感動を覚えました。

チームを愛するとともに、自分、そしてチームに力を貸してくれた人間を大事にする。今の世の中で「人間関係が希薄化している」とメディアで囁かれるなか、あくまで義理人情を大事にする溝畑さんの生き様に感銘を覚えました。
朝日ソーラーのこと、ペイントハウスのこと、マルハンのこと、小室哲哉のこと。チームを救ったスポンサーとのやりとりとエピソードはずしりと心に響きます。

一方で、営業・接待の席での振る舞いのエピソードにも別の意味で驚愕しました。

私にとってこの本は、「真剣に生きるということは、こういうことなんだ」ということを強く突き付けてくる本でした。
自分を振り返り、どこまで真剣に生きているのか・・・と改めて自分を顧みるきっかけになる本だと思います。

読むことで得られるもの


Jリーグのクラブチームの経営について、経営者の観点から大分トリニータの歴史を題材に追体験することができるこの本は、まず読み物として十分に面白いです。

次に、自分を顧みずに「社会のため」「人のため」の行動に没頭することの美しさ、その凄さと苦しさとを感じる事ができます。

これ以外にも、プロスポーツのチームを地域で支えていくためのヒント、今の流行で言えば「地方創生」のヒントを得ることが出来る本ではないかな、と思いました。

兎にも角にも、著者の木村元彦さんの取材力、構成力に脱帽です。
相当面白いですよ、この本。

どんな人にオススメできる?


サッカー好きな人、スポーツ好きな人。
地元にJリーグクラブチームがある人。

仕事への情熱の出し方が分からなくなってしまった人、生き方が分からずに悩んでいる人にもヒントになるんじゃないかと思います。

興味が出て、「大分トリニータ」について検索してみたところ、現在はJ3のチームになっていました。
あれだけ一人の個人が情熱を傾け、周りが支え、そしてJ1昇格とナビスコカップ優勝までこぎつけたチームがJ3まで降格しているというのは、何とも寂しい気持ちです。
何かが象徴されているかのような気もしますが・・・。
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霧島もとみ
他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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