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2015年06月30日

弱虫ペダル 渡辺航(11〜31巻)


※一応ですが・・・ネタばれありです。

先週借りた弱虫ペダルを返しに行った際に、つい、勢いで借りてしまいました。

こんなに借りるつもりは無かったんですけどね。
「30冊で1200円(税抜)」のポスターが目に飛び込んできた瞬間、自然にレンタルコミックコーナーに足がいっちゃった訳です。
30冊借りるのはなかなか大変なんですが、こういうシリーズものを読んでいる時であれば、何も考えずに1冊1冊カゴに放り込むことができるので楽です。

さて、前巻に引き続きインターハイの戦いが繰り広げられます。
10巻では最初のスプリント勝負が終わり、いよいよ箱根の山に差し掛かろうというところでした。
主人公、坂道の得意分野です。そこに主将から「巻島と小野田で坂を引っ張れ」というオーダーが告げられます。さらにここで巻島のエピソードとして「去年はクライマーが一人だったため山岳賞の勝負が出来なかった。今年は小野田に任せて、思う存分山道で踏める!!」という話が展開され、ストーリーは一気に期待感を煽り、盛り上がりを予期させます。

さあ!!
箱根の上り!!

行け、巻島!!
引っ張れ坂道!!


というところで、

あれ?
坂道がいない!??

・・・

落車してんじゃん!!坂道!!

そんでもって最後尾かよ!!


という凄まじいアクシデントが総北を襲うんですね。
さっきまでの盛り上がりはどこへやら、一転して大ピンチです。
「山でみんなを引っ張る!!」といった坂道の思いや、
「今年は思う存分山道で踏める!!」といった巻島の猛る気持ちも、

全部パー・・・

巻島はチーム勝利のために自分の山岳勝負を捨て、チームを引っ張ることに専念するよう切り替えます。しかしそこに巻島のライバルである箱学の東堂が表れ、
「勝負しようぜ、巻ちゃん!!」と煽ります。
ここで二人のこれまでのエピソードが挿入され、戦い続けたライバルであること、前の戦いで巻島の自転車がパンクして最後まで勝負出来なかったこと、二人ともがこの最後の戦い(3年生のため)を心底楽しみにしていたこと・・・が読者に明らかになります。

それでも巻島はチームを優先して勝負しません。
東堂は繰り返し煽ります。勝つための戦術として煽っているのではなく、ただ巻島と勝負したいがゆえの純粋な煽りで、だからこそ巻島を強く揺さぶります。
それでも、巻島は勝負しませんでした。

東堂は悲痛な叫びを上げながら一人箱根を登っていく・・・

熱い。
熱いですよ!!

巻島は言います。
「3分だ。3分なら、追いつけるっショ」
3分て何のこと?

一方坂道は・・・?呆然と自転車を前へ進めています。
ああ、坂道のインハイはここで終わったのか・・・と思いましたが、ここでサポートに回っていた先輩の手嶋から「100人抜け!!」と背中を押され、再びペダルを回し始めます。

途中集団の壁(道いっぱいを集団で自転車を走らせているため後ろからでは抜けない)が立ち塞がるも、道路の側溝の溝を走って抜き去るというイニシャルDの拓海も驚きの戦法を使って切り抜けます。
突如として現れた御堂筋も振り切り、ついに、総北チームのもとに追いつきます!!

どうです?この展開。
多分日本全国の読者のほとんどが、この瞬間、「行け!!巻島ーーーー!!」と心の中で叫んだんじゃないでしょうか!?

そして一気に物語は佳境へ。
頂上へ向かって虚しくペダルを回す東堂のもとに、巻島が姿を現します。
「俺は今、絶好調になった!!」
そう言い放つ東堂と巻島の頂上に向けてのデッドヒート。一旦先頭に立った他の選手をあっという間に抜き去る!さあ、山を制するのはいったいどっちだ!?

どっちだ!!??

というところで箱根の山岳勝負編はラストを告げます。

ふう・・・凄い勝負だった。。。
(ここで自分は一旦燃え尽きました)

しかし、そう思ったのもつかの間、金城が「このジャージを一番のゴールに叩きこむ!!」とか言い出します。

え、今日のレースはこれで終わりじゃないの??
まだ続くの??

そうなんです。私自身、自転車ロードレースのルールを全然知らなかったんですけれど、前巻のスプリント勝負も、今回の山岳勝負も、レースの勝敗を決める勝負では無かったんです。
(大事なエッセンスではあるようですが)
本当の勝負は、「1日目のラストのゴールを誰が最初に切るか」という事だったんです。

そうとは知らない私としては気分的にさっきまでの山岳勝負で完全に燃え尽きていたわけで、再度心を奮い立たせ、めくるめく金城と福富との勝負に進んでいかないといけません。
実際に箱根を登り切ったような疲労感を覚える中、そこへ迫る御堂筋にハラハラさせられ、そして1日目のゴールへ・・・。

そしてレースは2日目、そして3日目と続きます。
この3日目のゴールを最初に切ったチームが勝つ訳です。
まだドラマは全然これからなんですよ。これだけ熱い戦いを繰り広げたにも関わらず。

それにしても、自転車ロードレースって独特ですね。
通常のスポーツ漫画なら、インターハイに出て、一回戦で強敵とあたり、次に二回戦、三回戦・・・と次々と違うチームと戦っていくという展開になります。野球やサッカー、柔道、バスケ、種目は違ってもこの展開は基本的に共通で、読者としても読み慣れているんですよね。
でも自転車レースは違うんですね。
1日目、2日目、3日目と一つのレースを全チーム・全出場選手が一斉に走る。
しかもずっと走りっぱなし。
そういえば作中でインターハイが始まる前に「20チーム・6人が一斉に走る。120人だ。こんなスポーツ、他には無え!!」と誰かが言っていました。あ、あれって、こういうことなんだ、と初めて体で理解することが出来ました。

6人それぞれが役割を持ち、最後3日目のゴールにその中のたった1人を誰よりも早く送り届けるために全力を尽くす。
これまでのスポーツ漫画にない新しい展開に、最初は戸惑いながらも、気が付けば初めての興奮を覚えている。これが、この「弱虫ペダル」が伝えようとする魅力そのものなんだな、と感じました。

一応31巻までには最初のインターハイ編は終わりますが、まとめて読むの、結構大変です。
過酷なロードレースの時間をずっと追っていく訳ですから、言うなれば読者も長い長いロードレース競技の間ずっと自転車を走らせている訳です。
疲労感は凄いものでした。
読み終えると同時に、倒れるように寝てしまったことからも、分かると思います。

続きを読むには少し体調を整えないといけないと感じる、こんな漫画は初めてでした。

面白さのあまり、読み手も疲労する漫画。
それが弱虫ペダルです。

というところで今日のまとめにしたいと思います。
長くなってしまいすみませんでした。

※読んでいただいた方、ありがとうございました。

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霧島もとみ
他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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