2016年06月01日
米原万里の「愛の法則」 米原万里
米原万里さんはロシア語通訳として活躍され、その後に作家・エッセイストとして活動されていた方です。
独特のユーモア溢れる語り口で書かれる文章は、読んでいるだけで楽しいです。
それに下ネタも時々入ってくる。これがまた面白いんです。
前に米原さんの本を読んだことがあったのですが、Amazonでふらふらと探索しているときに偶然この本を見つけけました。何が惹かれたのかは分かりませんが、ポチッと購入してしまいました。
ということで少し紹介させてください。
この本は、米原さんの幾つかの講演をまとめた本となっています。
「愛の法則」
「国際化とグローバリゼーションのあいだ」
「理解と誤解のあいだー通訳の限界と可能性」
「通訳と翻訳の違い」
という4本の講演によって構成されています。
「愛の法則」では、男性、女性についての米原さんの捉え方を話していく、という内容です。
文学作品や、オス・メスに関する生物学上の現象、自分自身の経験などから”男女の愛”という現象を解き明かしていくという構成です。
この章を読むにあたっては、内容が学術的にどうかということを考えるのではなく、米原さんの物の見方を
楽しんでみるという姿勢で臨むことで、とても面白く読むことが出来ました。
物事の捉え方が少し広がったと感じます。
「愛の法則」の章は面白く読まさせていただきましたが、どちらかというと本の内容的にはオマケかな?と感じました。
それは何故かと言うと、2つ目以降の講演の内容が一段と充実しているからです。
2つ目以降の講演では、「国際化」や「言葉」について語っていくという内容になっていますが、米原さん自身が子供の頃から海外で過ごした経験、さらに通訳者として仕事をした経験から組み立てられた内容は深い洞察にもとづいていて、なるほどなあ、と考えさせられる点がとても多かったです。
普段何気なく使っている「国際化」という言葉の意味や、「国際社会とは何か」という事について、机の上の解説ではなく、実際に世界で過ごした肌感覚での意味を感じることが出来ます。
サミットでの同時通訳のエピソードは目から鱗でした。
米原さんによると、サミットでの首脳同士の会話の同時通訳について、日本語は一端英語へ通訳されたあと、英語から他の言語、例えばドイツ語に通訳されるというのです。ドイツ語が日本語に通訳される時も、同様に英語への通訳を経由するのだと。一方、日本以外の参加国については、それぞれの言語が一対一の関係で通訳されるのだそうです。
米原さんはこれを”異常事態”だと言いますが、全くそのとおりではないかと考えさせられました。例えば人間同士のコミュニケーションで、間に2人の人間が入ったら、物凄く遠い感じがするのではないかと。ニュアンスだって、伝言ゲームよろしくその間に変わってしまう可能性が高くなりますよね。
軽いショックを覚えました。
この本を読むことで、「国際化」という概念について、自分の中に新しい感覚を持つことが出来たと思います。
また、言葉というものについても、「通訳者という、言葉を用いて相手の意図を別の人間に出来るだけ近しい形で伝える特殊な仕事」を通じての関わりという、私たちの日常的な関わりとは違う角度からの分析が新鮮でした。
言葉というものは単なる「コード」であり、その言葉を使ってコミュニケーションを成り立たせるという行為の本質はこうだよ、ということを鋭く指摘しています。
書中では、次のような表現で出てきます。
言葉やコミュニケーションについても、新しい感覚を持つことが出来たと思います。
どんな人にもオススメできる本だと思いましたが、特にオススメしたいのは、「言葉とは何か」や「国際化とは何か」ということについて興味がある人に対してです。
実際の経験を通じた肌感覚での解説、それもリアリスティックな視点での解説はとても分かりやすく、イメージが湧きやすいです。
米原さんが言うところの”もやもやの正体”がきっと分かると思います。
独特のユーモア溢れる語り口で書かれる文章は、読んでいるだけで楽しいです。
それに下ネタも時々入ってくる。これがまた面白いんです。
前に米原さんの本を読んだことがあったのですが、Amazonでふらふらと探索しているときに偶然この本を見つけけました。何が惹かれたのかは分かりませんが、ポチッと購入してしまいました。
ということで少し紹介させてください。
どんな本だった?
この本は、米原さんの幾つかの講演をまとめた本となっています。
「愛の法則」
「国際化とグローバリゼーションのあいだ」
「理解と誤解のあいだー通訳の限界と可能性」
「通訳と翻訳の違い」
という4本の講演によって構成されています。
「愛の法則」では、男性、女性についての米原さんの捉え方を話していく、という内容です。
文学作品や、オス・メスに関する生物学上の現象、自分自身の経験などから”男女の愛”という現象を解き明かしていくという構成です。
この章を読むにあたっては、内容が学術的にどうかということを考えるのではなく、米原さんの物の見方を
楽しんでみるという姿勢で臨むことで、とても面白く読むことが出来ました。
物事の捉え方が少し広がったと感じます。
「愛の法則」の章は面白く読まさせていただきましたが、どちらかというと本の内容的にはオマケかな?と感じました。
それは何故かと言うと、2つ目以降の講演の内容が一段と充実しているからです。
2つ目以降の講演では、「国際化」や「言葉」について語っていくという内容になっていますが、米原さん自身が子供の頃から海外で過ごした経験、さらに通訳者として仕事をした経験から組み立てられた内容は深い洞察にもとづいていて、なるほどなあ、と考えさせられる点がとても多かったです。
読むことで得られるもの
普段何気なく使っている「国際化」という言葉の意味や、「国際社会とは何か」という事について、机の上の解説ではなく、実際に世界で過ごした肌感覚での意味を感じることが出来ます。
サミットでの同時通訳のエピソードは目から鱗でした。
米原さんによると、サミットでの首脳同士の会話の同時通訳について、日本語は一端英語へ通訳されたあと、英語から他の言語、例えばドイツ語に通訳されるというのです。ドイツ語が日本語に通訳される時も、同様に英語への通訳を経由するのだと。一方、日本以外の参加国については、それぞれの言語が一対一の関係で通訳されるのだそうです。
米原さんはこれを”異常事態”だと言いますが、全くそのとおりではないかと考えさせられました。例えば人間同士のコミュニケーションで、間に2人の人間が入ったら、物凄く遠い感じがするのではないかと。ニュアンスだって、伝言ゲームよろしくその間に変わってしまう可能性が高くなりますよね。
軽いショックを覚えました。
この本を読むことで、「国際化」という概念について、自分の中に新しい感覚を持つことが出来たと思います。
また、言葉というものについても、「通訳者という、言葉を用いて相手の意図を別の人間に出来るだけ近しい形で伝える特殊な仕事」を通じての関わりという、私たちの日常的な関わりとは違う角度からの分析が新鮮でした。
言葉というものは単なる「コード」であり、その言葉を使ってコミュニケーションを成り立たせるという行為の本質はこうだよ、ということを鋭く指摘しています。
書中では、次のような表現で出てきます。
私たちは、この概念が表現されたものを、文字とか音で受け取ったときに、まずその内容を解読しますね。聞き取って解読する、あるいは読み取って解読する。解読して、ああこれが言いたかったのかと、もやもやの正体というものを受け取るのです。そこで、このもやもやの正体がわかったところで、理解できた、となるわけです。文字そのものではないのです。
言葉やコミュニケーションについても、新しい感覚を持つことが出来たと思います。
どんな人にオススメできる?
どんな人にもオススメできる本だと思いましたが、特にオススメしたいのは、「言葉とは何か」や「国際化とは何か」ということについて興味がある人に対してです。
実際の経験を通じた肌感覚での解説、それもリアリスティックな視点での解説はとても分かりやすく、イメージが湧きやすいです。
米原さんが言うところの”もやもやの正体”がきっと分かると思います。
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