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2021年03月01日

久々のWSオーディションから思う日本の俳優修行

先週金曜日にワークショップオーディションに行ってきました。
久々の芝居環境でしたが、楽しい3時間となりました。
この状況下ですから上半期の演劇活動は諦めていたので、最近はオーディション情報をチェックしていなかったのですが、締め切りギリギリで気になっていた劇団のオーディションを見つけられて良かったです。

ワークショップオーディション。

同業者の方ならどんな内容か分かると思いますが、一般の方もこのブログを読まれていると思うのでご説明すると…。
一般的にオーディションというと自己紹介して自己PRして、質疑応答があって、当日や事前に受け取った台詞を読むという内容。一人でやる場合もあれば、二人、複数での場合もある。

ワークショップオーディションというのはワークショップ形式のオーディション。

そもそもワークショップって何??
となっている方、手を挙げてください。

…結構いらっしゃいますね。

ワークショップというのは僕が在団中に段々盛んになってきて俳優訓練の主流になりつつあるもので、シアターゲームをやったりして俳優の演技に対する感性を高めようとするもの。(多分)

シアターゲームっって何??
となっている方、手を挙げてください。

……結構いらっしゃいますね。

シアターゲームというのは鬼ごっこみたいなものや椅子取りゲームみたいなものをやったり、即興劇をやったりして、芝居に入る前に役者同士の緊張を和らげて芝居に入りやすくする為や感性、表現力、感度を高める為にやられています。(多分)

多分と言うのは僕はシアターゲームで育っていないから。

僕の養成所時代、遡ること24年前(…驚愕)の役者訓練は動物になったり木になったりしていた時代。
「俳優になるのになんで木にならなきゃならないだ!」って言って辞めた人も数知れず。

日本の俳優訓練は戦前から現在まで、西洋、アメリカ、イギリス、ロシアから様々なものを取り入れて行われてきた。
だけどまだ正解が出ていないと僕は感じていて「これをやれば優れた俳優になれる」という教科書がまだ日本にはないと思っています。

日本と西洋では文化も言語も違う。

日本では身振り手振りのボディーランゲージは殆どしないし、特に会話、言語に大きなアドバンテージがあると思う。
述語は最後だし、口先で発語出来るし、母音ばかりだし、強弱の他に音の高低の表現もあり、方言、なまり、イントネーションもある。

最近、韓国がドラマも歌も人気を集めているけれど文法は同じでも感情表現がはっきりしていて欧米的だからではないかと思っています。

外国の役者でセリフが棒読みという現象があるかどうか分からないけど、日本ではよくある現象。
ワークショップやシアターゲームは得意だけどセリフが不得意、どう言えばいいか分からないという方も多いのではないだろうか。

僕の母国語は津軽弁だったから標準語が標準的に言えるようになるには大変時間がかかった。
僕は独り言を標準語にしたり、日本語を学んだり、東京の人との会話を増やしたり、ら抜き言葉、鼻濁音無声音を普段から気をつけたり、朗読や落語、浪曲、狂言をやったりして台詞を言う際の違和感が無くなるようにこれまで取り組んできましたが、憧れのベテラン像にはまだまだという状況。

カンパニーによって方針や方法論も様々。
日本の役者はそれにも柔軟に対応しないといけない。
舞台での立ち振る舞い、身体の捌き方、感情の表現力、発声能力、台本の解釈、セリフの言い方、受け取り方などなどを何処でも通用する俳優の教科書の完成がこれからの日本演劇界の発展の鍵になるのではないでしょうか。


俳優修行には日舞、ジャズダンス、バレエ、パントマイム、殺陣、声楽と沢山やる事が多い。
こんなに色々やらなきゃ出来ないモノって俳優以外にあるのだろうか。
この難しさも魅力の一つなのかも知れない。

久々のWSオーディション。
久々に現場に行くとやはりスイッチが入るらしい。

なかには来週(つまり今週)高校の卒業式で4月から大学生という18才の女の子もいた。
そのピュアな演技に心を打たれた。
ご一緒する事になった時「お父さん何歳?」なんて自分で聞いたのにショックを受ける事は間違いない。
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