取り組んでいるのは昨年、楽曲コンペに提出した作品。
採用には至りませんでしたがお蔵入りするには勿体ないので、自分で出そうと思い、編曲し直して本腰を入れて早一ヶ月…。
一人アカペラ。すなわち声だけでリズム、メロディー、ハーモニーの音楽三要素を声だけで、しかも自分一人だけでやろうとする試み。
山下達郎さんがやられている一人多重録音を参考に取り組んでいますが、歌うのと違い伴奏としてのコーラスは違う歌唱テクニックが必要で、合わせるのがとても難しい。
やり直しを重ね、現在4度目…。
現在のバージョンでなんとか完成(多分)しそうですが、今までと何が違うかというと全ての声を聴きながら録音を重ねているという事。
これまでは録音素材の為と他を聴くと釣られるからガイド用に作った各パートの伴奏を頼りに個別に録音していましたが、最後に聴くと微妙に合わない。
子音でどのくらい音に入っているか、ビブラートを入れるかどうか、ピッチは低めなのか高めなのか、などなど細かい情報が声にはあり、「楽器はなんて楽なんだろう」と思えてしまうくらい。
他のパートを聴いて寄り添うように、合わせるように、でも独立したパートになるように楽器としての声を奏でる。
歌うエネルギーよりも聴くエネルギーの方が大切なように感じる一人アカペラ多重録音レコーディング。
この“聴く”重要性、芝居にも通じていて同じだと感じました。
芝居でも“聞く”ことはとても重要とされています。
相手役のセリフを聞く大切さ、その難しさ。
本来会話というものは相手が何かを言ってからするもので、相手が何を言うか本来は分からないもの。
なのに自分のセリフをどう言うか、どうやるかに意識がいってしまう傾向がある。(反省)
「相手のセリフを聞いて」とよく言われる事ですが、これが難しい。
自分のセリフを身体に入れつつも、相手のセリフ、動きに動機を得て発語する。
稽古で出来ても、いざ本番となった時に雑念が邪魔して出来なくなったりする。(反省)
落語の場合は上下(かみしも)を振る(右左と顔をふる事)会話の中で、動機を得て発語しています。
そこから考えるとオーケストラの奏者も聴くことが重要なのではないでしょうか。
“聞く耳を持つ”という言葉もある。
演出家からのダメ出し、共演者からのアドバイス、お客様のご感想などなど役者が聞くものは沢山ある。
しっかり“聞く”ことが出来たら、上達の特効薬として“効く”のかもしれません。
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