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2019年05月30日

加工用食用油は値上げで決着!

マーガリンやマヨネーズに使う加工用食用油は、4〜6月期の大口取引価格交渉が値上げで決着しました。


物流費の高騰分や製造コストの上昇分を反映して大豆油は5四半期ぶり、菜種油は2四半期連続の上げとなります。ただ、米中貿易摩擦に伴う足元の原料相場は下落している事と、内需の弱さから加工食品メーカーは「むむむ・・・」と言う感じの為、実際は上げ幅が圧縮された状態です。


「これじゃ7〜9月期の価格交渉も難航しそう」という見方が強いです。


新価格は大豆油が1〜3月期比5円(2%)高い1キロ236円(中心値)、菜種油が3円(1%)高い1キロ242円(同)となりました。


物流に関連する業界の方であれば予想はつくと思いますが、最大の上げ要因は、国内物流費の上昇です。食用油の運搬に使うタンクローリーの運転手が不足し、人件費も上昇しています。「タンクの洗浄費など付帯費用の負担も増えた」(某製油会社)との事で、なんでも高騰中。


ちなみに、大口荷主向けのトラックのチャーター運賃(東京発大阪行き)は5月に前年の同時期より1割値上がり。


原料大豆の国際価格は上昇中。今回の交渉の参考となる1〜3月のシカゴ市場の大豆先物は1ブッシェル9ドル前後・・・円換算せずにいつも、前回比を見るのですが、前回2018年10〜12月期と比べ3%ほど高い事がわかります。


一方で、搾油時に生産され飼料となる大豆ミール(大豆かすのこと)の販売価格は国際相場安を映して下落。外販で生産コストを補うには不十分で、結果として大豆油の製造コストが増すと言う事になりました。


菜種の国際価格は、ニューヨーク菜種先物が1〜3月期に1トン470カナダドル前後と2%ほど安い状態。ただ、製油会社が手元に持つ18年産の原料菜種は油分が少ない事から、必要な油量を確保するための買い付け量が増加し、結果コスト増になっています。


日清オイリオグループなど製油大手各社は3月、加工用油脂の販売価格を1キロあたり15〜20円値上げすると表明し、5月・6月出荷分での価格改定を目指して、加工油脂や調味料メーカーなど販売先との交渉を進めています。


ただ、春以降、米中貿易摩擦が再び激化し、大豆先物が約10年半ぶりの安値水準まで急落し、かつ加工食品メーカー側は販売先である製パン業などからマーガリンの引き合いが弱いことも理由に油脂価格の引き上げに難色を示しているという事です。


2回目の「ちなみに」ですが、日本マーガリン工業会によると、18年のマーガリンなど食用加工油脂の生産量は前年比2.4%減の約69万トンと3年連続の前年割れ、この結果も掘っていけば面白そうな話題になりそうですね。


そんなこんなで、交渉の結果、大豆は当初掲げた値上げ額の半分程度の1キロ5円上げでおおよそ決着。菜種は1キロ3円程度の値上げにとどまったというわけ。


何かと油業界も国内だけ見ていては先がわかりませんから、世界で情報を拾ってこないといけないお話でした。



タグ:値上げ
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