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注目する価値わずか69psしかない新車のフォード・フィエスタ1.1スタイル 3ドアと、8年落ちとは言え、自然吸気で450psを発揮するアウディRS5 4.2 V8クワトロ Sトロニック・クーペが同じ1万4000ポンド（199万円）で購入できるなど本当だろうか？
そう思うのも無理はないが、だからこそRS5には注目する価値があるのだ。





自然吸気4.2L V8エンジンが繰り出すパンチにドライバーは思わず笑顔になるだろう。確かに、この車両は決して少ないとは言えない24万5000kmもの距離を走破しているが、明らかにそのほとんどは高速道路上で重ねられたものだ。
驚いたことにワンオーナーで完ぺきなメンテナンス履歴を持つこのクルマには、新品のピレリPゼロが装着されており、エンジンのカーボン除去まで行われている。
さらに、新車時であれば6万5000ポンドにも達する数々のオプションまで装備しているが、このクルマはオーナーにそれだけの価値を感じさせ、完ぺきな満足を与えることに成功していただろう。
「掘り出し物」としても良かったが、コンディションと来歴を重視する目利きならいざ知らず、より新しく価格も高いフェイスリフト後のモデルよりも、初期のRS5に狙いを定めているようなひとびとにとって、この走行距離は問題かも知れない。
パフォーマンスモデルの宿命RS5 V8クーペが登場したのは2010年のことだった。
2年後にはフェイスリフトが行われ、大型のシングルフレームグリルと新形状のバンパー（ヘッドライトがよりアグレッシブな印象になった）、そして新たな10スポークデザインの19インチアルミホイールが採用されている。





アウディRS5　中古車バイヤーズガイドインテリアにおける最大の変更点は、アウディ最新のマルチメディア・インターフェイスシステムの導入だった。
だが、メカニカル面においてはご多分に漏れず、R8が積む5.2L V10に由来を持つ自然吸気V8エンジンと、クワトロ四輪駆動システム、7速Sトロニック・デュアルクラッチギアボックス（マニュアルが設定されることはなかった）、さらにはメカニカル・センターディフェレンシャルに変更はなかった。
リアアクスルにもフェイスリフト前と同じ、状況に応じてトルク配分を行う電子制御式ディフェレンシャルが装備され、標準のダイナミック・ライドコントロール・ダンパーもそのままだった。
パフォーマンスモデルの中古車両を検討する際、忘れてならないのは、車両価格が下がっていたとしても、維持費はそうではないということだ。
そして、この重要な事実を見逃した夢見がちなオーナーは、十分なメンテナンスを行わないようになる。
オーナーが理解しておくべきことだからこそ、メンテナンスノートに手軽なガレージで行われたサービス履歴しか残っていないような車両は避けるべきなのだ。
決してこうしたガレージで働いているメカニックの能力を疑っているわけではないが、RS5というモデルを理解しているということは、このクルマをトラブルフリーで維持するには重要なポイントとなる。





電子制御式ディフェレンシャルとダイナミック・ライドコントロールが、RS5のハンドリングを優れたものにしている。このクルマの実力を発揮させるには11万3000kmでのチェーンテンショナーのメンテナンスや、詰まり易い吸気バルブに対するカーボン除去が重要なのだ。
吸気バルブに詰まりが発生する原因としては、クランクケース・ベンチレーションシステムからのオイルミストや、ポート噴射であればガソリンが洗い流してくれたであろうカーボンが、直噴であるが故に溜まり易いといったことがあげられる。
確かにこれらはすべて技術的な問題だ。
だが、専門ガレージか大型ディーラーにおける定期的なトランスミッションオイルの交換など、十分なメンテナンス実績が残されていることが、RS5とその450psを発揮するV8エンジンを健康に保つ秘訣だということをオーナーは理解しておく必要がある。
アウディRS5の中古車　購入時の注意点◇エンジン

エンジンをコールドスタートした時にタイミングチェーンから異音がするようであれば、テンショナーの緩みが疑われる。
適切な頻度でのオイル交換が重要であり、定期的なメンテナンスを受けている車両を選ぶ必要がある。





アウディRS5　中古車バイヤーズガイド走行距離11万3000km以上の車両でエンジンが始動し辛かったり、不安定なアイドリングやパワー不足といった症状が出るのは、吸気バルブの詰まりが発生している証拠だ。もしカーボンクリーニングを行っても症状が改善しない場合、エンジンヘッドを取外しての作業が必要になる。
◇ギアボックス

6万4000kmごとのオイルとフィルター交換が必須だ。メンテナンス履歴だけでなく、実際の作業の請求書を確認しよう。
マニュアルとオートの双方でスムースな変速が行われるか確認したほうが良いだろう。
◇サスペンション

フロントサスペンションアーム（片側4つだ）の摩耗はよくある不具合であり、交換には費用が掛かる（アーム1個で100ポンド/1万4000円だ）。路面からのショックを吸収できなくなってくることで摩耗が発生していることが分かる。
アダプティブダンパーからのオイル漏れも確認したほうが良いだろう。
タイヤ内側に偏摩耗が見られる場合、ブッシュが摩耗してトーが外側に広がっている可能性がある。
ブレーキディスクの摩耗も確認が必要であり、交換には1枚あたり400ポンド（5万7000円）が必要となる。
◇電気系

ウインドスカットルのドレインホールが閉塞するとトラブルの原因となる。
溜まった水が花粉フィルターからカーペットへと浸入し、集中ドアロックとパワーウインドウを制御しているECUを水浸しにしてしまうのだ。
◇ボディ

錆は100%事故が原因だ。
◇インテリア

締め上げられたサスペンションと、固い足回りによって多少は緩みが生じているかも知れないが、キャビンの組立品質にはアウディらしいタイトさが残っているか確認しよう。
あまりにも異音が酷いような車両は避けるべきだ。
専門家の意見を聞いてみる◇サイモン・ハワース（AMD TECHNIK創業者）

「アウディのパフォーマンスモデルを扱って30年になるので、RSのことはすべて理解しています。個人的にはRS5よりもB7世代のRS4のほうが好みです。純粋なドライビング好きが選択するモデルであり、実用性と希少性を兼ね備えています」
「RS5の販売車両は数多く存在していますが、一度でも駐車場でドアを開閉したことはおありですか？　非常にドアが長いために、隣のクルマにぶつけない様にするには、体を捩って乗り降りする必要があります。まるで米国市場向けに創り出されたモデルのようです」





アウディRS5　中古車バイヤーズガイド「それでも、ひとびとが素晴らしいV8エンジンとクーペスタイルに魅了されるのも理解できます。フェイスリフト前後でそれ程変わりはなく、価格の下落に伴い走行距離の少ない個体が人気となっています。このクルマは、そのパフォーマンスにしてはお買い得なモデルだと評価されているのです」
◇知っておくべきこと

RS5は心配性のひとにはお勧めできないモデルだ。
「掘り出し物を発見」でご紹介している車両に対して、12カ月間、走行距離1万6000kmまでのメーカー保証を付ける場合、免責100ポンド（1万4000円）で2135ポンド（30万4000円）、181ポンド（2万6000円）/月のコストが必要となる。
だが、そうすれば少しは枕を高くして眠ることが出来るだろう。
いくら払うべき？◇1万4000〜1万9999ポンド（199万〜284万円）

走行距離9万7000kmから19万3000km以上の2010年と2011年モデルが対象となる。ほとんどが完ぺきなメンテナンス履歴を備えた車両だ。
◇2万〜2万1999ポンド（285万〜313万円）

完ぺきなメンテナンス履歴を備え、複数オーナーではない走行距離7万2000kmから11万3000kmの2010年と2011年モデルが候補となる。
◇2万2000ポンド〜2万3999ポンド（314万〜341万円）





アウディRS5　中古車バイヤーズガイドもっとも安価な認定中古車を含む、走行距離4万mから8万km、2011年登録のフェイスリフト前の車両がほとんどだ。走行距離6万8000kmの2011年モデルを2万2450ポンド（万円）で発見している。
◇2万4000〜2万5999ポンド（342万〜370万円）

走行距離8万km以下、フェイスリフト後の2012年と2013年モデルに加え、さらに走行距離は増えるが2014年モデルも候補となる。
◇2万6000〜2万9999ポンド（371万〜426万円）

完ぺきなメンテナンス履歴を備え、走行距離7万2000km以下の2013年と2014年モデルがより多くなる。
◇3万〜3万4999ポンド（427万〜498万円）

ほとんどが2015年以降のモデルであり、多くのカブリオレも候補となる。
◇掘り出し物を発見

アウディRS5 4.2 V8 FSI、2011年前期登録、走行距離12万6000km、1万8795ポンド（268万円）
完ぺきなメンテナンス履歴を備えたわずか2オーナーの車両であり、「新車同様のコンディション」との説明が付いている。
さらにサービスパックと12カ月間の保証付きだ。
それでもタイミングチェーンの異音はチェックしたほうが良いだろう。
◇RS5カブリオレ

2013年登録、走行距離12万1000kmの比較的コンディション良好な車両を2万5000ポンド（356万円）辺りから見つけ出すことができる。


by AUTOCAR JAPAN


輸入車のハイスペックモデルも型落ち、年数落ちになれば、びっくりするくらいの中古車販売価格の安値で存在していたりする。


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