2015年03月24日
かぐや姫の物語
見終わった後、子供を、できれば赤ちゃんを抱きしめたくなるような作品でした。
我が家には幸い10か月になる次男君が居たので、抱きしめました。
そして、「生きていてくれているだけで、それでいいんだ」
と強く思いました。
かぐや姫の物語を、録画で5歳長男と3歳長女と観ました。
ネタバレも含みますので、これから観たい方はこの項をスルーしてくださいね。
5歳長男にとっては、全体的には退屈な内容だったようなのですが、権力者たちの求婚が始まる辺りまでは、真剣に観ていました。
プリンセス好きな3歳長女は最後まで良く観ていました。
感情移入できていたようで、最後は泣いていました。
私の感想は簡単に言うと、
この作品は、翁が主人公の悲劇だったのか
という驚きでした。
描写はかぐや姫が中心なんですが、そう感じました。
かぐや姫を竹から見つけた翁は、姫を「高貴の姫君」として育てなければならないという使命感に燃え、当時の最高の環境で、最高の教育を施し、最高の結婚相手と添わせようとします。
かぐや姫の幸せを思っての事だったようですが、かぐや姫本人は生まれ育った野山での自由奔放な暮らしを望んでいました。
そんなかぐや姫の思いには全く気付かず、翁は理想の教育を推し進めます。
かぐや姫は最初「高貴の姫君」になる為のお歯黒や眉墨を拒み、口を空けて笑わないという高貴の姫君を「人間でない」とすら言い放ちます。
しかし、翁や媼(おうな)に目立った反抗は見せず、次第に大人しくなり高貴の姫君となっていきます。
翁は満足そうでしたが、かぐや姫は笑わなくなり、微笑むこともなくなり、幸せそうではありませんでした。
そんな中、かぐや姫の求婚者もついには帝になり、翁は大喜び。
しかしかぐや姫は自決をほのめかしてまで断ります。
さすがにその時は翁も引きさがりましたが、権力を傘に屋敷に押しかけた帝を屋敷に招き入れてしまい、かぐや姫はいきなり帝に抱きしめられてしまいます。
これが「ここ(地球)に居たくない」という思いの決定打になり、かぐや姫は月へ帰ってしまうのです。
親の「お前の為だと思って」という思いが子供の心を、またはそのものを「殺して」しまったという事だと思いました。
かぐや姫も、人間としての死を選ぶ位ならもっと早くに逃げたらいいのに、と思う方も居るかもしれませんが、子供は健気で従順なので、親の期待に応える為なら心を殺すことは可能です。
子育てをしている人、かつて自分がそうであった人ならわかるかと思います。
全ての子供に当てはまるとは言いませんが・・・。
翁は、「姫の為」と言いながら姫の意見は全く聞かずに物事を進め、姫の出すサインをことごとくスルーし、最後の最後「居なくなる」と分かる時まで、自分の非を認めません。
子供の為だと奔走し、子供の幸せを願ってやってきた事なのに、翁にとっては理不尽な結果となったと思います。
この結果を招いてしまったのは、翁の「姫の幸せの為」という「向上心」に基づいた崇高な目的が、いつしか理想を叶えることが目的となってしまった自己満足という「欲」に擦りかわってしまっていた事が原因ではないでしょうか。
子供は最初は分からなくても、いつか理解し受け入れ、親に感謝し幸せになると思っていたのかもしれません。
実際そういった事も多くあると思います。
しかし、子供が親の理想に応えられずに「居なくなる」選択をした時、今までの理想などどうでもよくなるのではないでしょうか。
居てくれるだけで、それでいい。という気持ちになるのではないでしょうか。
人間は向上心と欲がある生き物です。
元気で生まれたら、健やかに育って欲しい。
健やかに育ったら、美しくなって欲しい。
美しくなったら、賢くなって欲しい。
賢くなったら、権力や富を得て欲しい。
あらゆる幸せを手に入れて欲しい。
どれもこれも手に入れたくなるものです。
向上心と欲は表裏一体。
親の子供に対するそれが暴走してしまった話が「かぐや姫の物語」なのかなと思いました。
翁の失敗は「やりすぎた」「押し付けすぎた」「姫の気持ちを聞かなかった」「姫の限界を気づこうとしなかった」点でしょうか。
これは多かれ少なかれ、子育てをする親も他人事ではないと思います。
「お前の為」とやっている事は実は親の理想と満足の為で、実は子供にとっては苦しみでしかないかもしれません。
例えば、寒いから服を着なさいというような事でも、子供にとっては寒くないというような些細な事でさえも。
子供の個を認め、意見を聞き、相談しながら進めたなら、きっと結果は違っていたことでしょう。
自分も子育てをするにあたって、子供の個を認めて、意思を尊重しながら可能性を提示してあげることができたらいいなと思いました。
そして、常に居てくれることがすでに幸せなんだという原則を忘れないようにしたいと思いました。
この物語は
「足るを知らぬは、不幸なりけり」
なんていう一文が最後に付くのかな、なんてふと考えてしまう、教訓と戒めを伝える「昔話」そのものであると思いました。
子供よりも、子育て世代にお勧めの作品です。
我が家には幸い10か月になる次男君が居たので、抱きしめました。
そして、「生きていてくれているだけで、それでいいんだ」
と強く思いました。
かぐや姫の物語を、録画で5歳長男と3歳長女と観ました。
ネタバレも含みますので、これから観たい方はこの項をスルーしてくださいね。
5歳長男にとっては、全体的には退屈な内容だったようなのですが、権力者たちの求婚が始まる辺りまでは、真剣に観ていました。
プリンセス好きな3歳長女は最後まで良く観ていました。
感情移入できていたようで、最後は泣いていました。
私の感想は簡単に言うと、
この作品は、翁が主人公の悲劇だったのか
という驚きでした。
描写はかぐや姫が中心なんですが、そう感じました。
かぐや姫を竹から見つけた翁は、姫を「高貴の姫君」として育てなければならないという使命感に燃え、当時の最高の環境で、最高の教育を施し、最高の結婚相手と添わせようとします。
かぐや姫の幸せを思っての事だったようですが、かぐや姫本人は生まれ育った野山での自由奔放な暮らしを望んでいました。
そんなかぐや姫の思いには全く気付かず、翁は理想の教育を推し進めます。
かぐや姫は最初「高貴の姫君」になる為のお歯黒や眉墨を拒み、口を空けて笑わないという高貴の姫君を「人間でない」とすら言い放ちます。
しかし、翁や媼(おうな)に目立った反抗は見せず、次第に大人しくなり高貴の姫君となっていきます。
翁は満足そうでしたが、かぐや姫は笑わなくなり、微笑むこともなくなり、幸せそうではありませんでした。
そんな中、かぐや姫の求婚者もついには帝になり、翁は大喜び。
しかしかぐや姫は自決をほのめかしてまで断ります。
さすがにその時は翁も引きさがりましたが、権力を傘に屋敷に押しかけた帝を屋敷に招き入れてしまい、かぐや姫はいきなり帝に抱きしめられてしまいます。
これが「ここ(地球)に居たくない」という思いの決定打になり、かぐや姫は月へ帰ってしまうのです。
親の「お前の為だと思って」という思いが子供の心を、またはそのものを「殺して」しまったという事だと思いました。
かぐや姫も、人間としての死を選ぶ位ならもっと早くに逃げたらいいのに、と思う方も居るかもしれませんが、子供は健気で従順なので、親の期待に応える為なら心を殺すことは可能です。
子育てをしている人、かつて自分がそうであった人ならわかるかと思います。
全ての子供に当てはまるとは言いませんが・・・。
翁は、「姫の為」と言いながら姫の意見は全く聞かずに物事を進め、姫の出すサインをことごとくスルーし、最後の最後「居なくなる」と分かる時まで、自分の非を認めません。
子供の為だと奔走し、子供の幸せを願ってやってきた事なのに、翁にとっては理不尽な結果となったと思います。
この結果を招いてしまったのは、翁の「姫の幸せの為」という「向上心」に基づいた崇高な目的が、いつしか理想を叶えることが目的となってしまった自己満足という「欲」に擦りかわってしまっていた事が原因ではないでしょうか。
子供は最初は分からなくても、いつか理解し受け入れ、親に感謝し幸せになると思っていたのかもしれません。
実際そういった事も多くあると思います。
しかし、子供が親の理想に応えられずに「居なくなる」選択をした時、今までの理想などどうでもよくなるのではないでしょうか。
居てくれるだけで、それでいい。という気持ちになるのではないでしょうか。
人間は向上心と欲がある生き物です。
元気で生まれたら、健やかに育って欲しい。
健やかに育ったら、美しくなって欲しい。
美しくなったら、賢くなって欲しい。
賢くなったら、権力や富を得て欲しい。
あらゆる幸せを手に入れて欲しい。
どれもこれも手に入れたくなるものです。
向上心と欲は表裏一体。
親の子供に対するそれが暴走してしまった話が「かぐや姫の物語」なのかなと思いました。
翁の失敗は「やりすぎた」「押し付けすぎた」「姫の気持ちを聞かなかった」「姫の限界を気づこうとしなかった」点でしょうか。
これは多かれ少なかれ、子育てをする親も他人事ではないと思います。
「お前の為」とやっている事は実は親の理想と満足の為で、実は子供にとっては苦しみでしかないかもしれません。
例えば、寒いから服を着なさいというような事でも、子供にとっては寒くないというような些細な事でさえも。
子供の個を認め、意見を聞き、相談しながら進めたなら、きっと結果は違っていたことでしょう。
自分も子育てをするにあたって、子供の個を認めて、意思を尊重しながら可能性を提示してあげることができたらいいなと思いました。
そして、常に居てくれることがすでに幸せなんだという原則を忘れないようにしたいと思いました。
この物語は
「足るを知らぬは、不幸なりけり」
なんていう一文が最後に付くのかな、なんてふと考えてしまう、教訓と戒めを伝える「昔話」そのものであると思いました。
子供よりも、子育て世代にお勧めの作品です。
タグ:ジブリ 感想
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