2019年02月01日
ソーシャルレンディングの匿名化・複数化の妥当性における金融庁の見解
ソーシャルレンディングの投資案件における「匿名化・複数化」問題については、個人投資家をはじめ事業者側からも見直しの要望が挙げられてきました。そんな中、規制当局の金融庁は2019年3月末までに「匿名化・複数化」の解除による指針を発出することになっています。しかしながら、これまでの道の期間に、個人投資家は不必要で多大なリスクを負いながら、そして悪徳なソーシャルレンディング業者を野放しにする結果を引き起こしました。
金融庁がなぜ匿名化・複数化を推進してきたのか。何を懸念していたのか。私たち個人投資家は知っておくべきこととして、今回これまでの彼らの主張を纏めてみました。平成30年2月27日(火)に開催された『第16回投資家等ワーキング・グループ』の議題の一つで、クラウドファンディングに係る規制改革が討論されており、金融庁側の主張が凝縮されています。
◇金融庁監督局総務課金融会社室 岡田実成貸金業調整官の発言
融資型クラウドファンディング事業における貸金業法の適用についてでございますが、実務の対応といたしましては、融資型クラウドファンディングの投資家が特定の借り手への貸付けに必要な資金を供給し、貸付けの実行判断を行っている場合には、投資家が貸付け行為を行っているものと評価して貸金業の登録が必要になると判断しております。これに該当すれば、実態としても、貸金業法の規制によりまして、資金供給者である投資家から借り手を適切に保護する必要があるものと考えております。 実務運用上、投資家が貸付け行為を行わない事業スキームか否かを実質的に判断する必要がありますが、その際に、事業者の相談事例も踏まえまして、借り手の匿名化、複数化がなされているかということを考慮の一要素となり得るものとして実務レベルでお示ししているということでございます。
※文中にある「事業者の相談事例」とは、おそらく『法令解釈に係る照会手続(ノーアクションレター制度)』によるOwnersBook等からの照会が念頭にあるものと思われます。
◇大崎貞和専門委員から金融庁へ向けた質問
まず、感想を申し上げますと、金融庁が融資型クラウドファンディングについて多重債務者のお話をいろいろ御説明いただいたのは、正直、残念な気がしております。多重債務者対策が間違っていたというようなことを何かここで検討しようということでは全くない訳でありまして、多重債務者が増えることを防止するために、投資家が、貸付けというものが証券化された商品に投資するときにその中身を知らない方がいいという論理は全く理解できないという感想を持った次第でございます。 融資型クラウドファンディングというのは、要するに、ローンに投資する証券化商品だと思うのです。ところが、それが社債とか、その他の形をとったときには非常に厳しい開示の規制を課されるのにも関わらず、この形をとると、逆に投資家に対して、何に投資しているのかを教えてはいけないというルールになるのは、合理的には全く理解できないと思うので、そこの違いがなぜ正当化できるのか、是非金融庁には考えていただきたいと思います。
◇金融庁総務企画局企画課 島村知亨信用機構企画室長の回答
多重債務の担当でございます。大崎さんからいただいた御指摘について、我々の考え方としては、多重債務対策は、融資の規律としてしっかりと守るべき利用者保護等の観点から達成すべき一現象として非常に重視しておりますので、その考え方なり規制の内容が、融資型クラウドファンディングの場合でございましても、ある程度当てはまるところはありまして、その規制の内容についてしっかりと我が国の法制度として堅持するところがあるという認識で御説明させていただいたところでございます。 一方で、具体的な事業の実態がいろいろございますこと自体はよく認識しておりまして、そこについては先ほど御説明したとおりで、実態を適切に把握していくことは重要な要素と認識しております。
ご覧の通り、島村さんは一体何を話しているのかチンプンカンプンです(;´・ω・)?どう贔屓目に見ても、大崎さんの方が完全に「筋が良い」ですね。金融庁側劣勢というか、肩を持つわけではありませんが、担当者の選定ミスではないでしょうか。分野がそもそも異なるような感じを受けました。
要するに、島村さんは、貸金業に該当する以上、貸金業者から多重債務者を保護する観点で発言されています。一方で、大崎さんは、性格的にはソーシャルレンディングの案件は証券化商品であるのだから、最終資金需要者である借り手の保護ではなく、投資家保護に努めるべきだと主張しています。
貸金業法の実態は、消費者向けの金融を規制するための法律の性格を有しています。そのため、事業性の金融商品をすべて規律づけるために想定されていません。当然のことで、いわゆるフィンテック関連の金融商品は、貸金業法制定時にまったく想定されていませんので、「運用」でどうにかなるモノではないでしょう。
もう少しわかりやすくかみ砕くと、例えば、不動産取引では「宅建業法」が事業者へ適用されます。しかし個人側に対しては適用外です。何故かと言えば、契約取引上は対等な契約者同士ではあるものの、業者対個人では明らかに業者側の方が経験値が優れていますので、事業者側を取り締まるのは当然の帰結です。しかし、これをソーシャルレンディングに見立てると、個人側を規制して事業者側を保護するという方針に現状なっています。そのことを大崎さんは主張しているわけですが、島村さんは、事業者側が多重債務者になるとよくわからないことを回答しています。「個人=多重債務者」で保護しないといけないという認識なんでしょうが、ソーシャルレンディングの実態は、この個人が事業者側へとそっくり置き換わります。
既存の取り決めをベースにして物事を考える前提では、新しい産業が成長する際の足かせでしかなく、従来型の規制に押し込めて運用する方針では、自ずと限界や矛盾が露見します。昨今営業を開始したFundsが対象とする案件には、新産業への貸付も視野に入れている事業者が増えています。時代は待ってくれません。スタートアップ企業に対するリスクマネーの供給経路のひとつとして、果たして今、ソーシャルレンディングの法令整備が十分に整っているのかという観点からも、早急に検討が必要な時期に差し掛かっていると思います。
話はかわりますが、こうやって議論の場が一般人にもオープンになっていることは、とても良い取り組みですね。個人的にはさらに議論を深めるのであれば、金融庁には、その場に個人投資家も同席して活発な意見交換の場を作って欲しいなとも思いました('ω')ノ
私ふまんだらけは、SBI Social Lending、OwnersBook、Fundsが一先ずソーシャルレンディングへ初投資される方にはおススメです。下記にアフィリエイトリンク添付しておきますので、ご興味のある方は宜しくお願いします。あと、たまにはBLOGの応援クリックしてくれると助かります(;´・ω・)ヨロシク
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金融庁がなぜ匿名化・複数化を推進してきたのか。何を懸念していたのか。私たち個人投資家は知っておくべきこととして、今回これまでの彼らの主張を纏めてみました。平成30年2月27日(火)に開催された『第16回投資家等ワーキング・グループ』の議題の一つで、クラウドファンディングに係る規制改革が討論されており、金融庁側の主張が凝縮されています。
◇金融庁監督局総務課金融会社室 岡田実成貸金業調整官の発言
融資型クラウドファンディング事業における貸金業法の適用についてでございますが、実務の対応といたしましては、融資型クラウドファンディングの投資家が特定の借り手への貸付けに必要な資金を供給し、貸付けの実行判断を行っている場合には、投資家が貸付け行為を行っているものと評価して貸金業の登録が必要になると判断しております。これに該当すれば、実態としても、貸金業法の規制によりまして、資金供給者である投資家から借り手を適切に保護する必要があるものと考えております。 実務運用上、投資家が貸付け行為を行わない事業スキームか否かを実質的に判断する必要がありますが、その際に、事業者の相談事例も踏まえまして、借り手の匿名化、複数化がなされているかということを考慮の一要素となり得るものとして実務レベルでお示ししているということでございます。
※文中にある「事業者の相談事例」とは、おそらく『法令解釈に係る照会手続(ノーアクションレター制度)』によるOwnersBook等からの照会が念頭にあるものと思われます。
◇大崎貞和専門委員から金融庁へ向けた質問
まず、感想を申し上げますと、金融庁が融資型クラウドファンディングについて多重債務者のお話をいろいろ御説明いただいたのは、正直、残念な気がしております。多重債務者対策が間違っていたというようなことを何かここで検討しようということでは全くない訳でありまして、多重債務者が増えることを防止するために、投資家が、貸付けというものが証券化された商品に投資するときにその中身を知らない方がいいという論理は全く理解できないという感想を持った次第でございます。 融資型クラウドファンディングというのは、要するに、ローンに投資する証券化商品だと思うのです。ところが、それが社債とか、その他の形をとったときには非常に厳しい開示の規制を課されるのにも関わらず、この形をとると、逆に投資家に対して、何に投資しているのかを教えてはいけないというルールになるのは、合理的には全く理解できないと思うので、そこの違いがなぜ正当化できるのか、是非金融庁には考えていただきたいと思います。
◇金融庁総務企画局企画課 島村知亨信用機構企画室長の回答
多重債務の担当でございます。大崎さんからいただいた御指摘について、我々の考え方としては、多重債務対策は、融資の規律としてしっかりと守るべき利用者保護等の観点から達成すべき一現象として非常に重視しておりますので、その考え方なり規制の内容が、融資型クラウドファンディングの場合でございましても、ある程度当てはまるところはありまして、その規制の内容についてしっかりと我が国の法制度として堅持するところがあるという認識で御説明させていただいたところでございます。 一方で、具体的な事業の実態がいろいろございますこと自体はよく認識しておりまして、そこについては先ほど御説明したとおりで、実態を適切に把握していくことは重要な要素と認識しております。
ご覧の通り、島村さんは一体何を話しているのかチンプンカンプンです(;´・ω・)?どう贔屓目に見ても、大崎さんの方が完全に「筋が良い」ですね。金融庁側劣勢というか、肩を持つわけではありませんが、担当者の選定ミスではないでしょうか。分野がそもそも異なるような感じを受けました。
要するに、島村さんは、貸金業に該当する以上、貸金業者から多重債務者を保護する観点で発言されています。一方で、大崎さんは、性格的にはソーシャルレンディングの案件は証券化商品であるのだから、最終資金需要者である借り手の保護ではなく、投資家保護に努めるべきだと主張しています。
貸金業法の実態は、消費者向けの金融を規制するための法律の性格を有しています。そのため、事業性の金融商品をすべて規律づけるために想定されていません。当然のことで、いわゆるフィンテック関連の金融商品は、貸金業法制定時にまったく想定されていませんので、「運用」でどうにかなるモノではないでしょう。
もう少しわかりやすくかみ砕くと、例えば、不動産取引では「宅建業法」が事業者へ適用されます。しかし個人側に対しては適用外です。何故かと言えば、契約取引上は対等な契約者同士ではあるものの、業者対個人では明らかに業者側の方が経験値が優れていますので、事業者側を取り締まるのは当然の帰結です。しかし、これをソーシャルレンディングに見立てると、個人側を規制して事業者側を保護するという方針に現状なっています。そのことを大崎さんは主張しているわけですが、島村さんは、事業者側が多重債務者になるとよくわからないことを回答しています。「個人=多重債務者」で保護しないといけないという認識なんでしょうが、ソーシャルレンディングの実態は、この個人が事業者側へとそっくり置き換わります。
既存の取り決めをベースにして物事を考える前提では、新しい産業が成長する際の足かせでしかなく、従来型の規制に押し込めて運用する方針では、自ずと限界や矛盾が露見します。昨今営業を開始したFundsが対象とする案件には、新産業への貸付も視野に入れている事業者が増えています。時代は待ってくれません。スタートアップ企業に対するリスクマネーの供給経路のひとつとして、果たして今、ソーシャルレンディングの法令整備が十分に整っているのかという観点からも、早急に検討が必要な時期に差し掛かっていると思います。
話はかわりますが、こうやって議論の場が一般人にもオープンになっていることは、とても良い取り組みですね。個人的にはさらに議論を深めるのであれば、金融庁には、その場に個人投資家も同席して活発な意見交換の場を作って欲しいなとも思いました('ω')ノ
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