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2018年03月22日
不動産担保の評価額に過信は禁物? 〜不動産担保の「適正な価格」における価格の二面性〜
これまでにソーシャルレンディングでは遅延や元本毀損の事例が起こっています。その結果、安全な資産運用のために担保付きの案件に融資するレンダー(※1)も増えてきました。ただ一口に担保と言っても債券担保、代表者保証、動産担保などいろいろな担保が存在しています。そんな中、私ふまんだらけが注意喚起として今回フォーカスするのは、不動産担保です。
不動産担保は、債務者の返済履行が滞った場合、債権者は担保となっている不動産を強制的に売却して(※2)、その売却代金から融資したお金の回収をします。また競売にかける前に、債権者が別の第三者に払い下げて資金の回収を図る場合(※3)もあります。これは一般的に競売よりも任売での売却を利用した方が回収資金が多くなる確度が高いためです。
ところで、世の中には不動産鑑定士という専門家がいます。彼らの責務は、不動産が投機的取引の対象とならないように鑑定評価を行い、 不動産の「適正な価格」を提示することが目的とされています。例えば裁判所が取り仕切る競売では、依頼された不動産鑑定士により不動産価格を決定しています。また個人が相続税を物納で納税した不動産を一般の方に払い下げる場合にも、価格によっては不動産鑑定士に財務局が依頼して売却額を決定しています。
不動産鑑定士は全国に1万人弱、弁護士や会計士などは各々4万人弱であることから非常に珍しい専門職業といえます。そんな中で数多くあるソーシャルレンディング業者の中でも、ひときは異彩を放つのは岩野達志社長自身が不動産鑑定士であるOwnersBookです。ソーシャルレンディング業者が不動産の担保価値を判断し、鑑定評価額として私たちレンダーに提示する場合には、不動産鑑定士以外の者が公示してはいけない独占業務となっています。
OwnersBookの投資家説明会では、ボロワー(※4)が担保と差し入れる不動産については、自社で精査した上担保価値を判断していると説明されていました。ただ実際には募集案件の説明にもある通り、OwnersBook評価額は、外部専門家による査定額を参考に判断している旨の記載がされています。これについては評価が分かれるところと私ふまんだらけは思います。
私たちレンダーが興味があることは不動産鑑定士が査定した適正な不動産の価格ではなく、融資した資金の裏付けとした価値がその不動産にあるのか、という一点です。同じ不動産でありながら任売と競売では売却額が異なることを上記で指摘しました。要するにここで大切なことは、売主の意向により同じ不動産でも価格には幅があるということであり、必ずしも鑑定評価通りにはならないという事実です。
不動産鑑定士が作成した鑑定評価書の手数料体系は、鑑定した対象不動産の価格が高くなればなるほど高額になります。一般的に彼らに依頼する人々は誰でしょうか。売主又は買主で言えば当然売主側です。売主側のスタンスとしては少しでも高額で売却することが正直な気持ちになります。その売却価格に対して、第三者の専門家である不動産鑑定士がお墨付きを与える流れができあがります。
誤解を恐れずに書くと、私ふまんだらけは、不動産鑑定士という専門家を否定するつもりは毛頭ありません。実際はその真逆で、尊敬すらしています。それでも以前、私ふまんだらけ自身、鑑定評価に携わってきたこと、また不動産会社で契約業務に従事してきたことなど、現場の声、若しくは一意見として読者の方々に声を届けたいと考えています。
結論的にその思いは今も変わっていません。それは不動産価格において、そもそも完全な価格は存在しない。そこに横たわるのはそれを取り巻く人々の「都合」でしかないからだと私ふまんだらけは考えています。
※1)レンダー(lender)
インターネット上でお金を貸したい個人または法人のことをいう。
※2)競売
複数の買い手に値をつけさせて、最高価格を申し出た者に売る方法。なお一定額の金銭の支払いを目的とする債権(金銭債権)についての不動産強制執行のことを強制競売という。
※3)任意売却(任売)
債務者による返済が困難になった場合、債権者は担保権(抵当権等)の実行により債権を回収せずに、不動産会社の仲介や専門家の紹介等により債権者・債務者の調整を行い、市場で担保不動産を売却することをいう。
※4)ボロワー(borrower)
インターネット上でお金を借りたい個人または法人のことをいう。
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不動産担保は、債務者の返済履行が滞った場合、債権者は担保となっている不動産を強制的に売却して(※2)、その売却代金から融資したお金の回収をします。また競売にかける前に、債権者が別の第三者に払い下げて資金の回収を図る場合(※3)もあります。これは一般的に競売よりも任売での売却を利用した方が回収資金が多くなる確度が高いためです。
ところで、世の中には不動産鑑定士という専門家がいます。彼らの責務は、不動産が投機的取引の対象とならないように鑑定評価を行い、 不動産の「適正な価格」を提示することが目的とされています。例えば裁判所が取り仕切る競売では、依頼された不動産鑑定士により不動産価格を決定しています。また個人が相続税を物納で納税した不動産を一般の方に払い下げる場合にも、価格によっては不動産鑑定士に財務局が依頼して売却額を決定しています。
不動産鑑定士は全国に1万人弱、弁護士や会計士などは各々4万人弱であることから非常に珍しい専門職業といえます。そんな中で数多くあるソーシャルレンディング業者の中でも、ひときは異彩を放つのは岩野達志社長自身が不動産鑑定士であるOwnersBookです。ソーシャルレンディング業者が不動産の担保価値を判断し、鑑定評価額として私たちレンダーに提示する場合には、不動産鑑定士以外の者が公示してはいけない独占業務となっています。
OwnersBookの投資家説明会では、ボロワー(※4)が担保と差し入れる不動産については、自社で精査した上担保価値を判断していると説明されていました。ただ実際には募集案件の説明にもある通り、OwnersBook評価額は、外部専門家による査定額を参考に判断している旨の記載がされています。これについては評価が分かれるところと私ふまんだらけは思います。
私たちレンダーが興味があることは不動産鑑定士が査定した適正な不動産の価格ではなく、融資した資金の裏付けとした価値がその不動産にあるのか、という一点です。同じ不動産でありながら任売と競売では売却額が異なることを上記で指摘しました。要するにここで大切なことは、売主の意向により同じ不動産でも価格には幅があるということであり、必ずしも鑑定評価通りにはならないという事実です。
不動産鑑定士が作成した鑑定評価書の手数料体系は、鑑定した対象不動産の価格が高くなればなるほど高額になります。一般的に彼らに依頼する人々は誰でしょうか。売主又は買主で言えば当然売主側です。売主側のスタンスとしては少しでも高額で売却することが正直な気持ちになります。その売却価格に対して、第三者の専門家である不動産鑑定士がお墨付きを与える流れができあがります。
誤解を恐れずに書くと、私ふまんだらけは、不動産鑑定士という専門家を否定するつもりは毛頭ありません。実際はその真逆で、尊敬すらしています。それでも以前、私ふまんだらけ自身、鑑定評価に携わってきたこと、また不動産会社で契約業務に従事してきたことなど、現場の声、若しくは一意見として読者の方々に声を届けたいと考えています。
結論的にその思いは今も変わっていません。それは不動産価格において、そもそも完全な価格は存在しない。そこに横たわるのはそれを取り巻く人々の「都合」でしかないからだと私ふまんだらけは考えています。
※1)レンダー(lender)
インターネット上でお金を貸したい個人または法人のことをいう。
※2)競売
複数の買い手に値をつけさせて、最高価格を申し出た者に売る方法。なお一定額の金銭の支払いを目的とする債権(金銭債権)についての不動産強制執行のことを強制競売という。
※3)任意売却(任売)
債務者による返済が困難になった場合、債権者は担保権(抵当権等)の実行により債権を回収せずに、不動産会社の仲介や専門家の紹介等により債権者・債務者の調整を行い、市場で担保不動産を売却することをいう。
※4)ボロワー(borrower)
インターネット上でお金を借りたい個人または法人のことをいう。
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