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2024年08月09日

日本昔話 大きな運と小さな運







村の外れに、小さな家がひっそりと建っていた。その家に住むのは、おじいさんとおばあさんの二人だけだった。二人は長年連れ添ってきたが、裕福ではなく、いつも質素な暮らしをしていた。それでも、お互いに寄り添い、助け合って毎日を過ごしていた。

ある冬の寒い朝、おじいさんは森へ薪を拾いに出かけた。森の中は白い雪に覆われ、静寂が広がっていた。その時、突然、木々の間から不思議な声が聞こえてきた。

「おじいさん、待っておくれ。」

驚いて振り返ると、そこには見知らぬ男が立っていた。男は見た目からは年齢がわからない、不思議な雰囲気を持っていた。おじいさんは少し警戒しながらも、声の主に尋ねた。

「何の用だい?」

男は微笑んで答えた。

「私は運だ。今日は特別に、あなたに二つの運を選ばせてあげよう。大きな運か小さな運、どちらか一つを選びなさい。」

おじいさんは目を見開いた。「運」とは何とも不思議な申し出だ。しかし、おじいさんはよく考えた。大きな運が手に入れば、もしかするとこの貧しい暮らしから抜け出せるかもしれない。一方で、小さな運はどうなるのだろうか?

「大きな運を選べば、それはとても幸運なことになるが、あなたの望むものが必ずしも手に入るとは限らない。小さな運を選べば、ささやかながらも確実に幸せを手に入れることができる。」男はそう説明した。

おじいさんは悩んだ末、こう言った。

「私は小さな運を選ぼう。欲張ることなく、日々の小さな幸せを大切にしたい。」

男はにっこり笑い、小さな運を手渡すようにおじいさんに差し出した。何も見えないが、おじいさんはその運をしっかりと受け取った気がした。

その日から、村でささやかながらも素晴らしいことが次々と起こった。おじいさんの家の庭には、美味しい野菜が豊かに実り、家の屋根に積もった雪は自然と落ち、薪も絶えることなく手に入った。おばあさんも体調を崩すことなく元気で過ごし、二人はますます仲良く、静かで平穏な日々を送るようになった。

時が経ち、村の人々はおじいさんの家がいつも豊かであることに気づき始めた。そして、ある日、おじいさんが森で見知らぬ男から「運」を受け取ったという話が広まった。

村の裕福な男が、その話を耳にしてこう考えた。「もしあの大きな運を私が手に入れたら、さらに豊かになれるのではないか?」

裕福な男は森に行き、その不思議な男に会い、こう言った。「私は大きな運をください。」

男は無言で頷き、彼に大きな運を手渡した。裕福な男は喜び勇んで家に帰った。しかし、彼の家では、次々と奇妙なことが起こり始めた。大きな収穫を期待していた畑は、突然の嵐で全ての作物が流され、家族間の争いが絶えず、財産を失うことさえあった。

大きな運は確かに強力であったが、それは制御不能な力でもあった。裕福な男は次第にその運の重荷に耐えきれなくなり、結局は村を出ていくことになった。

おじいさんとおばあさんは、相変わらず静かで平穏な日々を過ごしていた。村の人々は、この二人を見習い、欲張らず、日々の小さな幸せを大切にすることの大切さを学んでいった。

---

この物語は、大きな幸運を追い求めることが必ずしも良い結果をもたらすわけではなく、小さな幸せを積み重ねることが真の豊かさであることを教えてくれます。

ギャグ編


むかしむかし、ある村の外れに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。二人とも、なんともドンくさいけど憎めないコンビで、毎日些細なことで笑い合っていました。

ある日、おじいさんは薪を拾いに森へ出かけました。雪がしんしんと降る中、ぼんやり歩いていると、おじいさんはうっかり木の根っこにつまづいて、盛大に転びました。

「うわぁ!腰が…痛たたた!」

その瞬間、頭の上から声が聞こえてきました。

「おじいさん、ちょっとそこの腰、気をつけなよ!」

見上げると、そこには…どこか抜けた感じの男が立っていました。奇妙な帽子に、もじゃもじゃの髪、まるで妖精がグータラしてるような風貌です。おじいさんは腰をさすりながら立ち上がり、困惑顔で男を見ました。

「誰だい、お前さん?」

男はにやりと笑って言いました。

「俺は運。運を司る者さ。今日は特別に、おじいさんに選んでもらおうと思ってな。大きな運か小さな運、どっちにする?」

おじいさんはしばし考えました。そして、自分に問いかけます。「大きな運か、小さな運か…どうしようかねぇ。」その時、頭の中で何かがピンときました。

「そうだ!」おじいさんは急に閃いた顔で、こう答えました。「大きな運があるなら、大きな運動会もできるんじゃないか?」

男は一瞬絶句しましたが、すぐに笑い出しました。「いやいや、そんなことにはならないんだよ、おじいさん。これは、運命の運だ。」

おじいさんは「ああ、そういうことか」と少し残念そうに言いましたが、すぐに気を取り直して言いました。

「じゃあ、小さな運でいいや。何でもちょこちょこ得するのが一番だよな。大きな運だと、わしの腰が持たん。」

男は嬉しそうに頷いて、おじいさんに見えない何かを手渡しました。「これが小さな運だ。これからは、小さなラッキーがたくさん訪れるだろう。」

家に帰ったおじいさんは、おばあさんにその話をしました。おばあさんは「おやおや、また変なこと考えたもんだねぇ」と笑いましたが、二人はさっそくその「小さな運」の効果を楽しむことにしました。

その日から、おじいさんとおばあさんの周りには、笑いが絶えませんでした。おばあさんがご飯を炊くと、なぜかいつも美味しいおこげができたり、おじいさんが釣りに行くと、なぜか竿に靴下が引っかかったり(しかも、ちゃんとペアで)。二人はそれを見て「これはラッキーだ!」と大笑いしました。

しかし、村の裕福な男はそんな二人を見て、鼻で笑いました。「そんな小さな幸せで喜ぶなんて、愚かなことだ。私は大きな運をもらうぞ!」

そして彼は森へ行き、男から大きな運をもらいました。ところが、その運は思わぬ方向へ働きました。彼が新しく買った馬車は、次の日には二階建てになっていて、操縦が難しくなってしまったり、鶏が金の卵を産んだと思ったら、その金の卵が転がってどこかへ消えてしまったり…。

「これじゃあ、運が良すぎて手に負えない!」裕福な男は大きな運をもてあまし、結局、村を出る羽目になりました。

一方で、おじいさんとおばあさんは、小さな運のおかげで毎日笑いの絶えない生活を送り続けました。村の人々は、その光景を見て、「やっぱり、欲張らないのが一番だ」と思い直したのでした。

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この物語は、ちょっとしたおかしな出来事が織りなす、幸せの形を描いています。笑いながらも、「小さな幸せ」の大切さに気づける、そんな物語になっています。



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