昔々、山のふもとの村に、そこつ者のそう兵衛という男が住んでいました。とにかくこの男、何をやらせてもドジばかり。考えなしに行動するため、村中の人が彼の失敗談を知っているほどでした。
ある日、そう兵衛の妻が言いました。
「そう兵衛さん、今日は米を買いに町へ行ってきておくれ。それから、ちゃんと袋を持っていってね!」
妻の言うことなんて普段聞かないそう兵衛ですが、この日は珍しく「わかった、わかった」と素直に返事をしました。袋を肩に担いで、町へ向かいます。
しかし道中、袋を使うつもりで練習しようと思ったそう兵衛は、袋を頭にかぶり、踊りながら歩き始めました。「ほれ、どうだい! 袋使いの名人だろう!」と一人で大笑い。しかし、前が見えないので、川にドボン! 袋はびしょ濡れ、そう兵衛もぐしょぐしょ。
町に着いた頃には、袋は乾ききらず。米屋に行くと、店主が驚いて言いました。
「なんだ、その袋は? 米を入れるにはまだ湿ってるぞ!」
そう兵衛は「ははは、大丈夫、大丈夫! 湿ってたほうが米がツヤツヤするって聞いたんだ!」と強引に話を進め、米を入れてもらいました。袋の底が湿っていたせいで、家に帰るまでに米が少しずつこぼれ、村に着く頃にはほとんど空っぽに。
「ちょっと! 何してきたのよ!」と怒る妻に、そう兵衛は平然と答えます。
「おい、これでも運がいいほうさ! 残った米は新しい道しるべになるかもしれないだろう!」
妻は呆れて言葉も出ませんでした。
次の日、妻は心配になり、そう兵衛にもっと簡単な仕事を頼みました。
「この魚を村の鍛冶屋さんに届けてちょうだい。でも、絶対に寄り道しちゃダメよ!」
「わかってるさ!」と答えたそう兵衛は魚を持って出発しますが、途中で友達に会い、「いい魚だな、少し焼いて食べようぜ」と提案され、つい一緒に焼き魚を食べてしまいました。気がつけば魚は跡形もなし!
「困ったな」とそう兵衛は、鍛冶屋に向かう途中で道端の石を拾い、包み紙に包んで渡しました。
「奥さんからの贈り物だってさ!」
鍛冶屋は怪訝そうな顔をしながら包みを開け、中の石を見て大爆笑。「お前の奥さんが石を食わせるつもりか?!」と言われ、そう兵衛は大いに恥をかきました。
村人たちはそんなそう兵衛を見て言います。
「ああ、またか。またあのドジなやつがやらかしたよ!」
そう兵衛の失敗談はどんどん増えていき、村の笑い話の種になったのでした。
めでたし、めでたし
ギャグ編
昔々、どこかの村に、天下一のドジ男、そこつそう兵衛が住んでいました。何を頼んでも失敗するので、村人たちは「そう兵衛に頼むくらいなら自分でやる」と口を揃えて言うほど。けれども、そう兵衛本人は気にするどころか、「俺は天才だ」と本気で思い込んでいました。
ある日、妻が言いました。
「そう兵衛さん! 今日は米を買いに町へ行ってきてちょうだい。でも、ちゃんと袋を持っていくのよ!」
そう兵衛は胸を張りながら答えました。
「任せろ! 俺に米を買わせたら、日本一の米が手に入るぞ!」
妻が念押しして袋を渡すと、そう兵衛は袋を肩にかけて町へ出発。しかし、道中で袋を頭にかぶり、「袋マン!」と叫びながら踊り出しました。
「どうだ、この姿! この村で一番カッコいい男は誰だ? …俺だ!」
調子に乗って踊りながら歩いていると、もちろん前が見えません。次の瞬間、ドボーン! 川に落ちて袋はびしょ濡れ。道端にいたカラスまで爆笑しています。
「おい、笑うな! お前らだって濡れたら飛べないくせに!」とカラスに怒鳴りながら、びしょびしょの袋で町に到着しました。
米屋での大騒ぎ
米屋に着くと、店主が驚いた顔で言いました。
「そう兵衛さん、その袋どうしたんだい? 湿気がすごいじゃないか!」
そう兵衛は得意げに答えます。
「湿った袋で米を運ぶのが、通のやり方なんだ! ツヤツヤになるって噂だぜ!」
店主は半信半疑ながら米を詰めてくれました。しかし、帰り道で袋の底から米がポタポタこぼれます。それを見たスズメたちが大喜びで米を追いかけ、そう兵衛の周りは鳥だらけに。
「おいおい、俺は米屋じゃないんだぞ! …まあ、俺の人気っぷりには驚くよな!」と呟きながら帰宅。
家に着くと、袋の中はほぼ空っぽ。妻は呆れ果てて叫びます。
「何これ!? こんなに少ししかないじゃない!」
そう兵衛は肩をすくめて、満足げに言いました。
「いやぁ、道中の鳥たちが感謝してる顔が忘れられないんだよ。俺、村のヒーローになったかも!」
妻はその場でそう兵衛に炊飯しゃもじを投げつけました。
魚を届ける任務
次の日、妻はもっと簡単な仕事を頼むことにしました。
「この魚を村の鍛冶屋さんに届けてきて。絶対に寄り道しちゃダメよ!」
「任せろ! 魚を届けるプロフェッショナルって呼ばれてるからな!」と胸を叩いて出発。
しかし、途中で友達の熊五郎に出会います。熊五郎は魚を見て言いました。
「いい魚だな! これ、焼いたら絶対うまいぞ!」
「だろ? 俺のセンスだ!」と調子に乗ったそう兵衛は、つい友達と魚を焼いて食べてしまいます。魚は跡形もなし。
「さて、鍛冶屋に何を渡そうかな…」と考えたそう兵衛、道端にあった石を拾い、包み紙で包みます。そして鍛冶屋に到着すると、堂々と渡しました。
「奥さんからの贈り物だ! 大事にしてくれよ!」
鍛冶屋は不思議そうに包みを開け、中から出てきた石を見て大爆笑。
「お前の奥さん、俺に石焼きでもさせる気か?」
そう兵衛は首をかしげて言いました。
「いやいや、それは最新の料理法だぞ! 『石の風味』が今流行ってるらしい!」
村人たちはその話を聞いて大笑いし、そう兵衛の新たな伝説がまた一つ増えました。それでもそう兵衛本人は涼しい顔で言います。
「いやぁ、俺みたいな天才がこの村にいるのは幸運だな!」
村人たちは口を揃えて言いました。
「お前がいるだけで十分笑わせてもらってるよ!」
めでたし、めでたし
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image