むかしむかし、山あいの小さな村に、とても貧しいけれど心優しい夫婦が暮らしていました。彼らの家は古びて、風が吹くたびに壁の隙間から寒い風が吹き込むほどでした。それでも夫婦は手を取り合って毎日を生き抜いていました。
ある年の冬、雪は例年にも増して厳しく、村人たちは食べ物を探すのに苦労していました。夫婦も例外ではなく、食料の蓄えは尽きてしまい、夫は意を決して、山に狩りに出かけることにしました。
「気をつけてな、早く帰ってきておくれ」と妻は心配そうに声をかけます。夫はうなずき、弓矢を背負って深い雪の中に足を踏み入れました。
森の奥へと進むにつれ、夫は獲物の気配を探しましたが、雪の静寂はそのままに何の音もありません。やがて、彼は凍えそうになりながら小さな祠を見つけ、しばし休息をとることにしました。祠には「ほそごし」という名が彫られた古びた木板がありました。
「ほそごし…?妙な名前じゃな」と夫はつぶやきました。すると、不意に冷たい風が吹き、祠の中からかすかな声が響きました。
「わたしの名を呼んだか?」
驚いた夫は後ずさりましたが、そこには小さな、しかし不思議な姿をした老人が立っていました。細い体に大きな眼鏡をかけ、まるで風そのものが人の形をとったかのような姿です。
「もし、あなたが困っているのなら、わたしが助けてあげよう」と老人は言いました。「その代わりに、わたしの細さをもらってくれないか?」
夫は何のことかわからず困惑しましたが、助けを求める気持ちが勝ちました。「お願いします。何でもいたします。妻が飢えています。どうか、どうか助けてください」
すると、老人は細い指をひと振りすると、一陣の風と共に姿を消しました。代わりに夫の前には食べ物が山のように積まれた包みがありました。夫は驚きながらもその包みを抱え、急いで家に帰りました。
家で待っていた妻は夫を見て大喜びしました。「こんなにたくさんの食べ物、一体どうしたの?」
夫はその日の出来事を話し、二人は涙を流しながら感謝しました。しかし、夫の体は日ごとに痩せ細っていきました。老人の「細さ」を受け取った夫は、やがて村一番の「ほそごし」と呼ばれるようになったのです。
それでも夫婦は幸せでした。彼らは助け合い、生きる喜びを知り、村人たちと共にその後も長く幸せに暮らしたということです。
ギャグ編
ある寒い冬の日、山あいの村に暮らす貧乏夫婦がいました。家はあまりにボロボロで、風が吹くたびに「寒っ!やだもう!」と妻がつぶやき、夫が「いや、今日こそ大丈夫…たぶん」と無理やり楽観的な返事をしていました。しかしその日は違いました。食料は尽き、夫はついに言いました。
「今日こそオレ、狩りに行って伝説の獲物を手に入れるんだ!その名も『山の中で噂のホットケーキ』だ!」
妻は眉をひそめて言いました。「あなた、ホットケーキじゃなくて普通に獲物捕まえてきてくれる?あと、オレって誰?」
夫は深くうなずき、出発しました。山は寒く、彼の歯がガチガチ鳴る音が森全体に響きました。「さ、さ、さむい…この音で獲物が逃げたらどうしよう!」と思っていると、彼は小さな祠を見つけました。祠の扉には「ほそごし」と書かれた木板が貼られていました。
「ほそごし?細い腰でも守るおまじないか?」と夫がふざけて言ったその瞬間、冷たい風が吹き荒れ、祠の中から老人が飛び出してきました。老人は細くて眼鏡をかけ、風に揺れる髭がまるでネギのようです。
「わたしの名を呼んだかのぅ?」と老人が言いました。
夫は驚き、「いやいやいや、呼んだんじゃなくて読んだだけですよ!」と手を振りました。
しかし老人は聞いていませんでした。「わしの細さを授けてやろう。それと引き換えに、お前に食べ物を与えよう」と宣言しました。
「いや、ちょっと待って!細さって何?」と夫が焦りましたが、老人はニヤリと笑い、「細くて得すること、たくさんあるぞ。例えば…ええと、隙間から楽々脱出できるとか!」と訳のわからないことを言いました。
一瞬のうちに、夫の目の前に食べ物が山積みされました。夫は叫びました。「おお、これは夢か?いや、これは現実だ、リアルホットケーキだ!」
夫は急いで家に戻り、妻はその山積みの食べ物を見て目を丸くしました。「ちょっと!何この量!まさかあの『伝説のホットケーキ』?」
夫は笑って答えました。「いや、これ全部老人がくれたんだ。あと、ちょっとだけ痩せてくる副作用があるらしい」
その後、夫の体はみるみる細くなり、ついに妻から「ねぇ、ほそごしってあなたのことだったのね」と言われる始末。夫はにやりと笑い、「これで村一の細マッチョさ!」と言いながら腕を振り上げたが、風に飛ばされそうになりました。
それでも夫婦は笑い、食べ物に囲まれて幸せに暮らしました。村では、「細くなるといいことあるらしい」という妙な伝説が生まれ、みんながダイエットを始めたとか、始めなかったとか。
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