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2024年12月14日

日本昔話 旅人馬







昔々、ある村外れに心優しい夫婦が住んでおりました。夫婦は貧しかったものの、互いを思いやる心を持ち、慎ましく幸せに暮らしていました。しかし、夫婦の心配事は一つ。それは、年老いた馬のタロウでした。

タロウは若いころから夫婦の家で働き者として村中に知られていました。重い荷物を運び、田畑を耕し、どんな仕事も嫌がることなくこなしてきた馬です。しかし、今やタロウもすっかり歳をとり、脚は細く、背中も痩せてしまっています。夫はある夜、妻にぽつりと話しました。

「もうタロウを養う余裕がない。こんなことを言うのは心が痛むが、森に放してやるしかないのかもしれない。」

妻は涙を浮かべてうなずきました。「でも、せめて安全な場所まで送ってやりましょう。」

翌朝、夫はタロウを連れて森へ向かいました。途中、優しい声でタロウに語りかけます。

「タロウ、お前は本当に良く働いてくれた。申し訳ないが、これからは自由に生きておくれ。」

タロウは夫の言葉をじっと聞き、まるで人間のように目を細めると、静かにうなずいたように見えました。

森の出来事

夫がタロウを森に置いて帰ろうとすると、突然どこからともなく若い旅人が現れました。その旅人は立派な衣をまとい、優しい顔立ちをしていました。

「その馬、譲っていただけませんか?」と旅人は尋ねました。

夫は驚きました。「この馬は年老いてもう役に立ちませんよ。」

しかし旅人は微笑んで、「この馬には何か特別な力を感じます。大切にしますので、ぜひ譲ってください。」

夫は少し戸惑いながらも、旅人の誠実そうな態度に心を動かされ、タロウを引き渡しました。旅人はタロウのたてがみを優しくなでると、「ありがとう」と言い残して森の奥へと消えていきました。

不思議な噂

それからしばらくして、村には奇妙な噂が流れ始めました。遠い町から旅人が訪れ、その馬に乗っている姿が話題になったのです。その馬は年老いているにもかかわらず、まるで風のように速く走り、どんな険しい道も難なく越えるのだとか。

「それってタロウじゃないか?」夫婦は互いに顔を見合わせました。

数日後、旅人が再び村にやってきました。夫婦は驚きましたが、旅人は笑顔で言いました。

「この馬のおかげで多くの困難を乗り越えられました。この恩をお返ししたいと思い、やってきました。」

旅人は夫婦にたくさんの金貨と食料を差し出しました。「どうか、これで幸せに暮らしてください。」

夫婦は感激し、涙ながらに旅人に感謝しました。タロウは旅人のそばで穏やかに目を閉じ、まるで「これで良かっただろう」と言っているかのように見えました。

終わりに

その後、夫婦は村で誰よりも幸せに暮らしました。タロウも旅人とともに新しい人生を送り、年老いた体ながらも、その力を惜しみなく発揮しました。

そして村では、「年老いても誠実な心を忘れないものには、不思議な幸運が訪れる」という話が語り継がれるようになりました。

ギャグ編

旅人馬 〜笑って泣けるタロウの物語〜

昔々、とある村に夫婦と一匹の馬が暮らしていました。夫婦は貧しくも仲良く暮らしていましたが、一つだけ頭を悩ませる問題がありました。それは年老いた馬のタロウ。年を重ねるごとにタロウはどんどん頑固になり、最近では畑仕事をしながら演歌を口ずさむ始末。しかも音痴。

ある日、夫は深刻な顔で妻に話しかけました。

「おい、タロウも限界だ。最近なんて、クワを持たせたら『腰が痛い』ってため息つくだけだぞ。」

妻も大きくうなずきました。「この前なんて、私が『荷物運んで』って頼んだら、わざと転んでサボったのよ。しかも転び方が舞台俳優みたいだったわ。」

二人は相談の末、タロウを森に放してやることにしました。

森での出会い

翌朝、夫はタロウを連れて森へ向かいました。途中、タロウは何度も立ち止まってこちらを振り返り、「本当に捨てるのか?」と言わんばかりの目でじっと夫を見つめてきます。

「お前、そんな目で見てもだめだ。俺だってつらいんだぞ!」
夫は泣きそうな顔をして前を向きました。

やっとのことでタロウを森の奥まで連れて行き、別れの言葉を伝えました。

「タロウ、自由に生きてくれ。きっと森の中では新しい仲間が見つかるさ。野生の馬とか、森の妖精とか…うん、きっと楽しいぞ!」

タロウは首をかしげ、まるで「そんな話、信じると思ってるのか?」と言いたげです。夫が帰ろうとすると、突然、木陰から派手な服を着た旅人が現れました。まるで街中の大道芸人のような格好です。

「ちょっと待った!その馬、譲ってくれませんか?」
旅人は笑顔で近づいてきました。

夫は驚きました。「いや、この馬は年を取りすぎてもう役に立たないんですよ。最近じゃ、カラスに『お前の方が遅い』って笑われる始末です。」

旅人はにっこり笑って、「いやいや、この馬、ただものじゃないオーラを感じます!大丈夫、僕が鍛え直します!」と自信満々。

タロウ、大出世

数週間後、村に奇妙な噂が流れ始めました。

「おい、聞いたか?近くの町で年老いた馬が大活躍してるらしいぞ。しかも旅人を背中に乗せながら、坂道を全力疾走だと!」
「それ、うちのタロウじゃないか?最近森に放したんだけど…。」

夫婦は耳を疑いましたが、その噂は日増しに広がり、とうとう旅人とタロウが村に戻ってきました。旅人は笑顔で言いました。

「見てください、この馬の筋肉!毎朝ジョギングさせて、プロテインも飲ませました。今や野生馬も追いつけない速さですよ!」

タロウも得意げに「ヒヒーン!」と嘶きます。ただ、嘶いた拍子に咳き込んで、旅人に水をねだっていました。

旅人は夫婦に金貨と食料を渡し、「この馬のおかげで大成功を収めました!感謝の気持ちです」と言いました。

夫は感激しましたが、タロウを見て一言。

「おい、俺が頼んでも走らなかったくせに、なんで今さら全力出してるんだ?」

タロウはふてぶてしい表情で「ヒヒン」と鳴き、まるで「俺のやる気スイッチは旅人専用だ」とでも言いたげでした。

終わりに

それからタロウは旅人とともに大活躍を続け、夫婦も金貨のおかげで裕福な生活を送りました。村ではタロウの伝説が語り継がれるようになり、いつしかこんな言葉が生まれました。

「やる気スイッチは誰にでもある。ただし、押す人を選ぶ。」




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