10月27日(日)、和竿同友会(世話人:高尾敏)の例会が10名参加のもと三宅島で行われた。
当会は、和竿を使用して石鯛釣りを楽しむ同好会で年2回(春と秋)例会が行われている。ポイント磯釣クラブ、岩礁磯釣クラブ、東京潮騒クラブ、クラブ一竿、東京磯釣俱楽部、竜宮会などに所属する有志で構成されている。
当日は、前日までの北東強風の影響で沖合の波が高いため三本渡船を断念し、阿古下〜今崎にかけて3カ所に分散して竿を出した。
水温は26.5度と例年に比べて高く、どこの磯も苦戦を強いられたが、何とか65.5cm、5.44kgのクチジロをみることができた。
今回釣れたのは阿古港のすぐ隣にある大長根とイシャリジの間にあるワタリシロギという磯である。地磯であるが干潮時にしか渡れず、さらに大石を下りなければならず渡船を利用するのが無難である。
竿がほとんど入らない磯のため過去の実績などが不明であるが、海底の状況とポイントについて下図に示したので参考にしていただきたい。
足場はよく3名位で竿を出すのがが理想である。やや右沖40m付近にサスマタという小根があり、その周辺が比較的深いためそこを中心に狙うことになる。その右にも同じような根があり、その方向30〜40m付近にやや深いエリアがあるのでそこを丹念に探ってみるのもいいだろう。
今回釣れた魚は、植松一行氏(クラブ一竿)がヤドカリをエサに釣ったものである。サスマタの左10m付近の船の上から見ると溝のように見える所である。
それ以外はこれといった当たりはなく、他の磯も小型がボツボツ釣れた程度であった。
今年の三宅島は芳しくない状況にある。例年なら春先までに何枚かの大型クチジロの情報があるのであるが、そのような話は聞こえてこない。
近年、海水温の上昇等による三宅島の水産資源の状況が大きく変わり、主要産物であった海藻(テングサ)、トコブシは壊滅状況にある。海藻が育たなければそれを餌にしている貝類や磯の生物にどれほどの影響があるかは言わずもがなである。
三宅島は大型の尾長メジナが釣れる事で有名であったが最近は大型どころか数も釣れないという。石物は長さに比べ重量のないものが多くなってきた。これは三宅をホームグランドにしている石物師の多くが感じていることである。このような状況が続けば三宅島の磯釣りが魅力のないものになっていくように思えてならない。
(クラブ一竿 柴田政俊)