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2017年04月22日
理系と文系についての雑感
学問はよく理系と文系とに分けて語られます。
しかしどんな人であっても、どちらか一方のみで十分だと考えるのは良くないでしょう。私は理系の出身ですが、理系科目だけやっていれば良いとは全く考えていません。
理系は非常にロジカルな分野です。数学や論理学を根底にし、さまざまな問題の原因をパズルのように解いてゆくのが専らその役割です。その「パズル解き」のプロセスにおいて、あっと驚くようなひらめきやアイデアが発揮されることもあります。そのような発見に関わることはとても楽しいことです。
しかしいくら問題の解き方がトリッキーであっても、それは結局何らかの法則やら公理やらの前提と、ある一定のルールに基づいた推論の結果にすぎません。理系の考え方に入り浸っていると、その前提やルールが自明のものであると信じて疑わない傾向が強くなっていくように感じます。つまり知らず知らずのうちに、思考の枠組みが形成されていってしまうのです。
一方文系は、答えのない問題を扱っています。
最もイメージしやすいのは政治学でしょう。現代人は、未だ誰も直面したことのない新しい問題を抱えながら生きています。そんな前代未聞の状況に直面しながら、何とか答えを出さなくてはいけないのが政治です。
そして極めつけは、哲学。
私とはなにか?
人間とはなにか?
言葉とはなにか?
考えるとはなにか?
ほとんどの学問が「前提」として素通りしてしまうような根本的な問題に、哲学は真正面から挑んでいます。問題が問題ゆえに、別々の哲学者が真逆の意見を言っていたりもしますが、だからといってその努力を敬遠すべきではないはずです。
少なくとも理系は、自らのロジックが通用しないという理由で、文系を軽んじてはならない、というのが私の主張です。
もちろん、扱う問題の種類にしたがって、理系と文系はそれぞれ別々の手法を用いています。しかしどちらかの問題がより優れているということはなく、両方の問題を深く考えることが、誰にとっても必要なのではないでしょうか。