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2017年04月05日
デカルト『方法序説』
「我思う、ゆえに我あり」
(Cogito ergo sum)
近代哲学の土台となった、非常に有名なこの命題。
デカルトはいかにしてこう考えるに至ったのでしょうか。
そのいきさつがデカルト自身の手によって、詳しく解説されているのが、この『方法序説』です。「我思う、ゆえに我あり」を初めて世に問うた記念碑的著作でありながら、彼の辿った思考の道筋が、自伝的に分かりやすく述べられているため、哲学書を読んだことが無い人にもオススメできます(ページ数も少ないです)。
また本書では、デカルト自身が思索を進める上で自らに課したいくつかの規則、いわば「自分ルール」が明かされているのですが、これがまた私たちの生活にも役立ちそうな実践的なものばかりなのです。
例えば、自分の行動において一度それと決めたことには、確固として迷わず、一貫して従うことをデカルトは実践しました。
森の中で道に迷った旅人は、その場にとどまっていても、方向を定めずにあっちに行ったりこっちに行ったりしていても、森から抜け出す事は難しいはずです。だから一度「これ」といった道を決め、それに従ってまっすぐに突き進むのが良いと、デカルトは言います。
これは、自分の将来を思い悩む現代人にとっても、勇気を与えてくれる格率ですね。
さて、デカルトはさまざまな「自分ルール」に従って、全てを疑うことから始めました。そしてデカルトの懐疑主義は、それまで自分の精神のなかに入っていたすべてを疑うまでに至ります。そこで彼は気づいたのです。
そのようにして全てを疑っている「我」の存在だけは、必然的に何ものかでなければならない、と。
これが、彼の見出した「我思う、ゆえに我あり」の概要です。
そしてこれをきっかけに、心身二元論や動物機械論、実在論vs観念論といった、多くの重要な哲学的問題が生み出されていったのです。
かくしてデカルトは「近代哲学の父」と呼ばれています。