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2017年04月07日
ヴァリ『化石の博物誌』〜恐竜と化石の話〜
私は幼い頃、恐竜が大好きでした。
恐竜の図鑑を熱心に読みこみ、主要な恐竜の名前はほぼ全て暗記していたほどです。しかし、何も私が特別というわけではありません。いつの時代も少年たちの中には一定数「恐竜ヲタク」と呼べるほどの恐竜好きがいるはずです。
なんてったって、恐竜はデカいしカッコイイ!
そりゃあ子どもたちを魅了しないはずはありません。
しかし、恐竜に魅了されるのは子どもたちだけではありません。大人たちもまた、未知なる恐竜を追い求めて世界各地で化石採掘に没頭しています。こうした子どものような情熱が「古生物学」、「博物学」の分野を発展させてきました。そんな歴史をたくさんの図版を交えて、最も楽しく学ぶ事ができるのが、この『化石の博物誌』という本です。
昔の化石ハンターたちには、今とは圧倒的に違う点がありました。
それは、「恐竜」という概念がまだなかった、ということです!
人々は地面の中から、考えられないほど巨大な生物の骨のようなものを発掘し、「なんじゃこりゃ?!」と思ったわけです。そしてそれを「巨人の骨だ」とか「怪物の骨だ」とか言って騒ぎ立てました。一つ目怪人「サイクロプス」の伝説は、マンモスの頭骨の化石(鼻に血液を送る為の巨大な空洞が、一つ目を想像させました)に解釈を与えるために生み出されたといいます。
そして時代が経つにつれ少しずつ、幾人かが想像を飛躍させていくことになるのです。
「かつて巨大な生物が、実際にこの地球上に住んでいたのかもしれない…」、と。
なんというワクワク感、なんというロマンでしょう!
これこそがまさに純粋な科学研究の原動力であるはずです。
そうした力に突き動かされ、数々の化石ハンターたちはたくさんの生物化石を博物館に集めていったのです。そして彼らの奔走劇こそが、「進化論」という生物学の最も重要な概念を育む土壌となったのです。