2017年04月11日
スティーブン・ジェイ・グールド『ワンダブル・ライフ』
恐竜は確かにカッコイイですが、古生物の世界には他にもまだまだ魅力的なモンスターがたくさんいます。
たとえば、エビのような形の2本の触手で獲物を捕らえる「アノマロカリス」。5つの目と像の鼻のような触手を持った「オパビニア」。
これらは皆カンブリア紀の生き物たちです。カンブリア紀とは、約5億年前、目を持つなどの高度な進化を遂げた生物の痕跡が、初めて見られる地質年代です。
そんなカンブリア紀の生物たちのについて分かりやすく紹介し、一躍ブームの火付け役となったのが、この『ワンダフル・ライフ』です。
著者のグールドは、自身一流な古生物学者でありながら、エッセイストとしても非常に優秀で、たくさんの面白い本を遺しています。それらはグールド特有のユーモアで楽しみながら学べる、価値ある科学読み物と言えるでしょう。
さて、カンブリア紀のモンスターたちはあまりにも珍奇なので、数々の議論や謎を生むことになりました。
特筆すべきは、その多様性です。なんとカンブリア紀にはすでに、現在みられる動物体制の全ての「門」が、すでに出揃っていたというのです。
この現象は「カンブリア爆発の謎」として知られています。ダーウィンもこの謎については頭を悩ませました。
カンブリア紀に至るまでの生物進化において、一体何が起こったのか。喧喧諤諤の議論が続いていますが、それは結局、新たな化石がもっと見つからない限り、想像の域を超えることはできないでしょう。
「断続平衡説」を唱えたグールドと、『利己的な遺伝子』を著したドーキンスとの対立は良く知られています。還元するとこの対立は、進化に対して古生物学者のようなマクロ的視点をもつか、分子生物学者のようなミクロ的視点をもつか、という構造になっていると考えます。
この問題について語るには、一つの記事ではとても足りないので、ひとまず筆(正確に言うとスマホを動かす指)を置きます。とりあえず次のことだけは言っておこうとおもいます。
答えは「中庸」にあるかも知れない。
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