2018年05月12日
いばら姫 / 憤狼のクラッシャー
雷鳴轟き雨風が吹き荒れる酷い天候の日だがここ数日頭の中に響く悪魔の声から逃れたい私は聖堂へと足を進めていた。このままでは私はいつか声に従いあの憎き男を屠ってしまう。
刹那、眼前に閃光が貫き巨大な影が蜃気楼のように立ち上がり私に向かってやおう牙を見せる。何故憤怒と殺意に身を委ね刃を振り下げぬのかと尊大な詰問の声が頭に響き意識が遠のく。
薄れゆく意識の中で私は必死に祈り絶り続けた。主よ!主よ!どうか愚かな子羊を導き悪を退け給え!私は誰も殺シたくハないノです!誰も、ダレも……憎しみヲ抱く相手以外ハ。
気が付けば目の前にはあの憎き男の亡骸が転がっていた。右手に握った銃を眺め私は呆然と空を見上げた。再びあの方の声が聞こえ私はもう一人恨んでいる相手がいたことを思い出した。
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